ITmedia 海外モデルと国内モデルの違いは何でしょうか。
――国内モデルはBluetoothを内蔵していない点、1.8インチHDDの最大容量が60Gバイトまでとなる(海外では80Gバイトモデルもある)点、そしてワイヤレスWANを内蔵しない点が主な違いです。
Fujitsu Siemens Computersが今年3月に発表した欧州モデルでは、3Gの通信機能UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)を内蔵しています。これは他社でもリリースされていますが、実際に発売を行なうのは弊社が最初かと思います。Mini PCI Expressを2スロット内蔵しており、無線LANのモジュールとワイヤレスWANのモジュールを搭載できます。とくに今回は薄型ボディのため内部の空間にゆとりがなく、後者のモジュールはノイズと熱の両面で苦労しましたが、わたしたちには以前のH"IN搭載PCでつちかったノウハウがありますので、思ったほど悩まずにすみました。
本機のワイヤレスWANは音声通話も可能で、弊社ではデジタルバイブと呼ばれる2つのチップを液晶パネルの両脇に内蔵しています。これは一番いいポイントで音を録るためにこの場所に入れました。アナログ系で配線するとほとんど実用に耐えない音質になってしまいます。やはり音声通話には良好な音質が必要と考え、デジタル信号で入力してノイズの軽減に努めています。
将来的には無線ネットワークのインフラが整ってきますので、そうなるとモバイルの可能性はどんどん広がると思っています。ちなみに、日本国内ではワイヤレスWANのテストができず、担当者は海外を飛び回って検証していました。2カ月でマイレージが6万マイルたまったとのことです(笑)。また、本機の設計はここ(神奈川県川崎市にある富士通 川崎事業所)で、製造は島根富士通で行っていますので、まさにMade in Japanです(遠山 賢治氏)。
ITmedia ビジネス用のPCではまだまだワイド液晶モデルが少ないですが。
――最近の欧州では、法人向けでもワイド液晶ディスプレイが意外と人気があります。日本でも、いずれはワイドの需要が徐々に高まってくるでしょう。小型PCにはワイド画面のほうが便利だと思います(パーソナルビジネス本部 本部長代理 五十嵐 一浩氏)。
――従来、業務用のシステムはXGA(1024×768ドット)ベースで作られていた場合が多いですが、今ではWebベースのシステムに移っていますので、4:3へのこだわりは少なくなっていると思います。また、本機の画面解像度は1280×800ドットに増えています。薄型化という観点では、LEDバックライトの採用が大きいです。これまでは厚さ0.3ミリのLCDガラスを用いていましたが、今回は0.21ミリという極薄のガラスを採用しています。LCDのフレームがほとんどない軽量のパネルです(遠山 賢治氏)。
――輝度は300カンデラ/平方メートルと非常に明るく、なおかつ輝度を落とすと暗くなります。本機の場合はダイナミックレンジが広く、輝度の調整が柔軟に行えます(栗林 健氏)。
ITmedia 写真では分かりにくいですが、非常にカッチリと仕上がっていますね。
このところ、「おっ」と思わせるような特徴のあるPCが少なくなっている気がします。われわれがやらなければ誰がやるという気概を持って今回の製品を作りました。パートナーのFujitsu Siemens Computersと協力して、徹底的に「とんがった」PCを目指したおかげで、単なるスペックや価格競争で終わらないものに仕上がったと思います。
品質にこだわるのが弊社のアイデンティティであり、そこに妥協することはけっしてありません。価格は30万円前後からと安くはないですが、買って使われたかたには満足のいく品質と使い勝手のよさを実感していただけると思います。軽くて薄いボディのまま、もっと性能を上げて、なおかつ通信機能を充実させていくのが将来的な道と考えています(五十嵐 一浩氏)。
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