VALUESTAR Lといえば、TV機能や美しい液晶、そして豊富なソフトをそろえた定番シリーズとして、液晶一体型のVALUESTAR VR(今回よりRシリーズに変更)と並ぶ人気のデスクトップPCだ。とくに初心者を中心に人気の高い製品だが、逆にコアユーザー、また初心者の中でもセカンドマシンを求めている人には、使わない機能が多すぎて敬遠されていた節もある。その一方で、よりシンプルなモデルとしてValueOneシリーズが発売されているものの、この製品は本体サイズが大きく、ソフトもほとんど付属しないことから、初心者からはショップマシンや自作PCと同じ認識を受けたのか、手を出しにくかった人も多いようだ。
そこで登場したのがこのスリムタイプだ。本機はLaVie Lのベーシックタイプ同様に、上位シリーズの機能を削ることで価格を抑えたエントリーモデルに位置付けられる。とはいえ付属ソフトの多くはスタンダードタイプと共通になるため、省スペースな低価格機でありながら、初心者へもきちんと配慮されている。拡張性の面で大きな差はあるものの、味付け的にはこれまでのVALUESTAR LとValueOneという2機種のちょうど中間に相当する製品と考えていいだろう。
本製品は上位モデルのスタンダードタイプとはデザインが大きく異なる。その外観は、本体の幅が66ミリと非常に薄く、正面から見ると縦置きした光学ドライブから左右に10ミリ程度しか厚みがないのが一目瞭然で、メーカー製の個人向けデスクトップPCでは特筆して薄い本体といえる。ただ、最近のVALUESTAR Lとしてはめずらしく、本体前面インタフェースのカバーが省かれ、光学ドライブのベゼルはむき出しになっている。また、下部の吸気口スリットが目立つなど、デザイン性を兼ね備えていた同シリーズとしてはシンプルさ、あえて言うならそっけなさを感じる。
これは本製品の筐体が、NECの法人向けモデルである「Mate/Mate J」シリーズのコンパクトタワータイプ(MHシリーズ)をそのまま採用しているためで、カラーリングを除けば構造はまったく同じとなる。このためVALUESTAR Lの名を冠するシリーズとしては違和感を感じる人がいるかもしれない。だが、元々が法人向けのモデルなので、シャシーはいたって堅牢にできており、また工具なしで開けられるカバーなどメンテナンス性はスタンダードタイプ以上といえる。なにより本体が軽いため、持ち運びや設置の際に本体を動かすこと自体が楽に行えるのはうれしい。
ただし、そのコンパクトさゆえに拡張性は低い。USB 2.0は6基用意されているものの、IEEE1394やメモリカードスロットはもちろん、PCカードスロットも一切装備していない。また、背面のUSB 2.0のうち2つは一見PCIで提供されているように見えるが、これはマザーボードから引き出した延長ケーブルをブラケット部分に設置しているだけで、マザーボード上にはPCIスロットそのものが用意されていない。各種メモリカードスロットは外付けUSBの製品でカバーできるが、DV機器を接続してビデオ編集などを行うといった用途で本製品を購入しようとしている人は注意しなければならない。
付属の液晶ディスプレイは、高い色再現性を誇るスーパーシャインビューEX液晶を採用し、輝度・視野角ともに良好といえる。スタンダードタイプのようにSoundVuやAUTHENSOUNDではないが、ステレオスピーカーも内蔵しており、設置時に必要なスペースは小さくてすむ。ただし、この液晶はDVIではなくアナログRGB接続のため、デジタル接続に慣れている人には表示がぼやけて見えるかもしれない。
なお、この本体はスタビライザの使用による縦置きが基本だが、元が法人向けだけに横置きにも対応するなど、設置場所を選ばない点は好印象だ。しかし、横置きにして上に付属液晶を置くと、排気口となる部分が液晶のスタンド部分で覆われてしまい、熱暴走などの原因となるため、メーカーでは推奨していない。
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