マルチメディアサーバ用途だけに利用するならば、書き込み速度がかなり向上した本機にSambaを無理に導入する必要はなくなったのかもしれない。しかし日常的にPCからNAS内のファイルを読み書きし、さまざまなファイルのバックアップ先とする場合などはやはりSambaを導入しておきたい。
LAN Tankにおいて大きな課題だったWebDAVでの転送速度は大きく向上した。とはいえ、WebDAVでは一部の対応ソフト以外では本機内ファイルを直接読み書きできず、やや使いにくいところがある。またバックアップツールなどの使用においても本機のフォルダはバックアップ先に指定できないうえ、2Gバイト以上のファイルを扱えない制限もある。
ちなみにWindows XPではSP1まではWebDAVの共有フォルダにドライブレター([Z]ドライブなど)を割り振ることもできたが、この機能はSP2で削られてしまった(レジストリの変更により不可能ではないが)。LAN Tankのレビュー時にすでに触れているが、Samba導入によりネットワーク名でのアクセスが可能になるので、DHCPクライアントしての運用が楽になるという副次的なメリットもある。
Sambaの導入手順は基本的にLAN Tankと同じなので、前回のレビューを参照願いたい。
ではWebDAV時と同じ条件でSambaでのファイル転送速度をチェックしてみよう。
Aパターン(500Mバイト/1ファイル) | |||||
PC | ハブ | 経過時間 | 転送速度 | ||
1000BASE-T NIC | ギガビットLAN Hub | 読み込み | 36秒 | 14.0Mバイト/秒 | 112.0Mbps |
書き込み | 64秒 | 7.9Mバイト/秒 | 63.0Mbps | ||
100Mbps Hub | 読み込み | 70秒 | 7.2Mバイト/秒 | 57.6Mbps | |
書き込み | 74秒 | 6.8Mバイト/秒 | 54.5Mbps | ||
100BASE-TX NIC | 100Mbps Hub | 読み込み | 73秒 | 6.9Mバイト/秒 | 55.2Mbps |
書き込み | 76秒 | 6.6Mバイト/秒 | 53.0Mbps |
Bパターン(合計100Mバイト/20ファイル) | |||||
PC | ハブ | 経過時間 | 転送速度 | ||
1000BASE-T NIC | ギガビットLAN Hub | 読み込み | 9秒 | 11.4Mバイト/秒 | 91.0Mbps |
書き込み | 14秒 | 7.4Mバイト/秒 | 58.5Mbps | ||
100Mbps Hub | 読み込み | 15秒 | 6.9Mバイト/秒 | 54.6Mbps | |
書き込み | 16秒 | 6.4Mバイト/秒 | 51.2Mbps | ||
100BASE-TX NIC | 100Mbps Hub | 読み込み | 16秒 | 6.4Mバイト/秒 | 51.2Mbps |
書き込み | 17秒 | 6.1Mバイト/秒 | 48.2Mbps |
500Mバイトのファイル読み出し時で、最高112Mbps(14Mバイト/秒)となった。ギガビットLAN対応のNASとして特別に高速ではないが、例えば筆者宅ではファイルサーバとして、Athlon XP 1700+を搭載し、NICだけ1000Mbps対応のギガビットLANカード(32ビットPCI)を搭載するお古のPCを使いまわしたものを使用している。このマシンからの転送速度はおよそ120Mから130Mbps程度となる。設置面積や消費電力の違い、そして価格(お古のPCを流用しているため比較は難しいが)を考慮すると、本機のこのパフォーマンスは喜ばしいといえるだろう。
WebDAVでの読み書き性能が向上したぶん、LAN Tankと比較すると本機ではSambaを導入によるパフォーマンス面でのアドバンテージはやや少なくなったかもしれないが、ギガビットLAN環境であれば、WebDAVに対して読み出しで倍以上のパフォーマンスが得られるうえ、ファイルサイズの制限などもなくなり、アプリケーションからも特に制限無く直接読み書きできる。やはりSambaは、本機でも使い勝手の面で導入しておくほうがよいだろう。
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