2006年3月、開発コード名OrigamiことUltra Mobile PCがインテルとマイクロソフトから発表されたとき、「何だ、VAIO type Uではないか!」、と思わず心の中でツッコミを入れた読者も多いのではないかと思う。かく言う筆者もその1人だ。
偶然にもUMPCが正式発表になった直後、ソニーの開発陣と話をする機会があり、その旨を伝えたところ「ですよねぇ。まぁ、見ていてください」と意味深なコメントが得られた。このニューVAIO type U VGN-UX50がその成果であり、マイクロソフトへの返答であり、メッセージともいえるだろう。厳密に言えば、マイクロソフトが定義するUMPCはこちらにあるようにOSがWindows XP Tablet PC Edition 2005である必要があるが、そのようなことを吹き飛ばすだけのインパクトが新VAIO Uにはある。
VGN-UX50のいでたちは同社のクリエ「PEG-VZ90」とウィルコムの「W-ZERO3」を連想させるものがあるが、随所にソニーらしいこだわりや工夫が見られる。実際の使用感やレビュー記事の前に、まずはその中身を見ていこう。
製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは編集部が使用した製品のものであり、すべての個体にあてはまるものではありません。
VAIO type U VGN-UX50の主なスペック | |
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CPU | Intel Core Solo U1300(1.06GHz) |
チップセット | Intel 945GMS Express |
メモリ | 512Mバイト(DDR2-400/増設不可) |
HDD | 30GB(1.8インチ/4200rpm) |
グラフィックス | チップセット内蔵 |
液晶パネル | 4.5インチ抵抗膜方式タッチパネル |
画面解像度 | 1024×600ドット |
無線LAN | IEEE802.11a/g/b準拠 |
Bluetooth | Bluetooth 2.0+EDR |
有線LAN | 100BASE-TX/10BASE-T(付属アダプタ経由) |
FAXモデム | − |
USB | USB 2.0×1 |
バッテリー | 7.4V 2600mAh |
駆動時間 | 最大約3.5時間 |
本体サイズ | W150.2×D95〜100.5×H32.2〜38.2ミリ |
重量 | 約520グラム |
OS | Windows XP Home Edition(SP2) |
予想実売価格 | 17万円前後 |
さて、歴代のVAIO type Uシリーズだが、その源流は2002年4月に発表されたPCG-U1だ。1024×768ドット表示対応の6.4インチ液晶ディスプレイと、14ミリピッチの84キーボードを搭載した超小型ノートPCで、重量は約820グラムあった。この流れは2003年3月発表のPCG-U101まで続き、2004年5月のVGN-U50へと継承される。大胆にもキーボードを省いたVGN-U50は、サイズがSバッテリー装着時で167(幅)×108(奥行き)×26.4(高さ)ミリ、重量が約550グラムと、当時は世界最小・最軽量のWindows XP搭載PCとして名をはせた。
しかし、その大胆さ故に広範なユーザーの評価は得られず、後継機は1モデルのみで終息した。店頭向けモデルとしては2004年5月に登場したVGN-U50を、直販のソニースタイルでは2004年12月発売のVGN-U71Pを最後に、その系譜は途絶えたかに見えたが、15カ月の雌伏の時を経て、ついに復活を果たした格好だ。
VGN-UX50の主なスペックは右にまとめたが、ボディの厚さを除けば旧VAIO Uシリーズを上回るコンパクトさと軽さを実現しているのが分かる。
新VAIO Uの外観はまさにブ厚い文庫本で、例えれば京極夏彦氏の長編小説“京極堂”シリーズをほうふつとさせる。見た目の質感はなかなかよく、液晶部分を上方向にスライドさせると69キーの小型キーボードが現れる。キーボードを露出させると、スタンバイ状態では約5秒でPCが復帰するほか、キートップが青く光るギミックも気が利いている。
液晶面の上部には、指紋認証センサーや有効31万画素のMOTION EYEがVAIOロゴの横に並ぶ。右上にはスティックポインターが、左上には左クリックボタンと右クリックボタンが上下に配置され、両手を使ってオペレーティングをする。
ちなみに、液晶ディスプレイはタッチパネルになっており、底面に収納されているスタイラスペンでも操作可能だ。また、液晶ディスプレイの裏面に有効131万画素のMOTION EYEがあり、本体上部にあるキャプチャボタンを押すことでデジカメライクに撮影できるのもユニークと言える。
なお、底面中央部分からグリップの左手側にシステムユニットが、グリップの右手側にバッテリーが位置する。
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