「いつも両手で握っていたい」秀逸の使い心地──ソニー「VAIO type U VGN-UX50」(1/4 ページ)

» 2006年05月17日 09時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

どこまで使えるVAIO type Uの内蔵キーボード

新世代VAIO type U「VGN-UX50」 やはり内蔵されたキーボードが目をひく

 従来のVAIO type Uは標準でUSB接続のキーボードが用意されていたものの、その基本的な使い方はスタイラスペンによるタッチオペレーションか、もしくは液晶ディスプレイ両脇に用意されたポインティングデバイスとクリックボタンを使った操作であった。テキスト入力が必要なときは手書き入力ソフト「NEXT TEXT」を利用するなどその使い方はTablet PCに近い。

 今回登場した新世代VAIO type U「VGN-UX50」の最も大きな、そして気になる変更点はやはり液晶ディスプレイをスライドさせると姿を現す内蔵キーボードだろう。はたしてこのキーボードはどれだけ使い物になるのだろうか。

 VGN-UX50の「違い」を最もユーザーに印象づけるキーボードの姿を見てウィルコムの「W-ZERO3」を思い浮かぶユーザーも多いはずだ。その使い方はW-ZERO3、そしてこれまでも多数登場してきたキーボード内蔵PDA(有名なところではHP 200LXまでさかのぼってもいいかもしれない)ユーザーのように「親指タイピング」ということになる。

 VGN-UX50の150.2ミリという横幅は少なくとも身長172センチの成人男子にとって両方の親指で内蔵されているキーボートをすべて「触ること」ができるギリギリのサイズだ。「HP 200LXからの親指タイピング」で修行を積んだPCUPdate編集長は親指の腹でも十分キーボードが操作できたし「親指タイピングは携帯電話でもようやりません」という筆者もツメを立てればなんなくキー入力はできる。ただし、ツメを立てると「両手で握るようにして持つ」VGN-UX50のホームポジションともいえる安定した持ち方ができなくなる。指の腹で入力するのに越したことはないようだ。

ここでVAIO type Uを持つのは身長172センチの成人男子である。両方の親指ですべてのキーはタイプ可能だ。VGN-UX50の断面は両手で握るように持つのに適した形状をしている。ただし、「爪を立ててキーをタイプ」となると少々無理な持ち方になってしまうのは否めない

 キーボードの入力で気になったのがキーに割り振られた機能キーのレイアウトだ。VGN-UX50のキーは全部で69個。「Page Up」「Page Down」、そして「F1」「F2」などのファンクションキーは「Fn」と組み合わせて機能する。Fnキーは左下段に配置されているので当然左親指で押すことになるが、機能キーの中でも使う機会が多い「F1」などのファンクションキーもキーボード左側(Y、H、Nより左側)に配置されている。そのためファンクションキーを使うには左親指でFnキーを押しつつ右親指をぐわっと伸ばして押さなければならない。

 なお、「Alt」キーと「Ctrl」キー、「Shift」キーも左側にしかないため、Windowsアプリでよくある「AltキーやCtrlキー、Shiftキーと組み合わせたショートカットキー」の操作も難しい。ただし、これらのコンビネーションはWindowsが持っている「ユーザー補助のオプション」の「固定キー機能」を使えば左親指だけでも可能になるので、それほど致命的な問題にはならない。

 キーの配列は通常のキーボードのように列ごとにずらすのではなく縦横にすっきりと並んだレイアウトになっている。W-ZERO3では親指の付け根を中心とした弧を描くようにキーボードを配列しているが、VGN-UX50は「京の都のように」直線の格子状に並ぶ。そのピッチはすべて同じで「Enter」キーもほかのキーと同じ大きさである。わずかにスペースキーが通常の2倍の横幅となっているのみだ。

 縦横に均等に並ぶキーの配列や「Enter」キーがほかのキーと同じピッチであることから打ちにくそうなイメージを持つかもしれないが、実際に打鍵するとその配置にストレスを感じることはない。ただしタッチタイプをするにはキーが小さいので、どうしても位置を確認して「ポチポチ」と押すようにキー入力をするようになる。その感触は押す力といいストロークといい「キー」というよりは「ボタン」に近い。筆者の場合はブラインドタッチとはいかず、キーの場所を確認しながらの入力となったためEnterキーの大きさがほかのキーと同じでもさほど問題を感じなかったのである(それよりも両脇に配置されたキーが筐体の湾曲部分にあるため親指と湾曲部分が干渉してすんなりと押せなかったほうが気になった)。

 こういうデバイスのレビュー記事では「この原稿は内蔵されたキーボードで書いている」みたいな文句がよく登場する。筆者もそれを目指してみたが、やはり「長文」を徒然と入力するのは難しい。しかし、長文の原稿や速度が求められるRTCチャットは無理としても、Googleで検索ワードを入力したり短文のメールを作成するのはまったく苦にならない。日々のブログ更新だって大丈夫だろう。「受信8割発信2割」といったPCの使い方なら内蔵キーボードはなんの不満もなく使えると考えていい。

格子状にきれいに並んだキー配列。左側にあるキーにFnキーと組み合わせて使うファンクションキー(F1やF2など)があることに注意。VAIOオーナーメードモデルでは英語(ASCII)配列のキーボードも用意されている。日本語配列では横14列だったキーボードが英語配列では横13列になる

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