発表記事でも触れたが、GUIに関してはちょっと新味に欠ける。基本的にWindows用のプレーヤーと同じ機能、同じデザインだからだ。しかも、Mac用ソフトならウインドウの左上にあるはずのボタン類が右側にあるところまでWindows版と同じで、Macユーザーとしては少々違和感をおぼえる。加賀電子では「既にWindows版を使っている人も多く、最初のプレーヤーは操作性を統一するべきだと考えた」と説明しているが、Mac用のアプリケーションなら、それらしく仕上げてほしかった。
またMac版のオリジナル機能として、Dock内に入れたとき(最小化)も動画表示が可能になっている。デスクトップにスペースがないときや、音声中心でよい場合には有効だろう。もっとも、テレビ画面(のウインドウ)は任意の場所に置けるし、拡大/縮小も可能なので、これが大きく使い勝手を変えるわけではない。ミニチュア化されたテレビ画面を女の子に見せて、関心してもらうのが一番良い使い方だろう。
TVのチャンネルは、画面上にカーソルを持っていくと表示される「インデックス画面」で選択するか、プルダウンメニュー、あるいはキーボードの上下キーで変更できる。表示するチャンネルは「テレビ・ビデオ設定」でカスタマイズ可能。たとえば見ないチャンネルを削除したり、放送局名を編集することができる。なお、キーボードショートカットは、チャンネル以外にもリモコンの起動(Cmd+R)や音量調整(左右キー)、消音(Shift+Cmd+M)などが用意されている。
伝送レートは「オート」と手動設定の「1〜6」。数字が大きくなるほど情報量が増える(=高画質)。1〜3くらいまでは“画面の内容がわかる”程度に考えておいた方がいいが、有線接続など条件の良い場合は6を選択すると非常にキレイな画質で視聴できるだろう。逆にインターネット利用時など帯域を確保しにくいときは、画質を下げた方が見やすいこともある。
外部入力に接続した機器は、LF-PK1のリモコン機能を使ってプレーヤーから操作できる。プリセット機種は豊富で、設定もメーカーと機種を選択するだけ。すべての機能とまではいかないが、たとえばDVDレコーダーのHDD/DVD切り替え、EPG、方向キー、録画一覧ボタンなど、少なくとも再生や録画予約に関しては不自由しないだけのボタンが用意されている。操作時には2〜3秒のタイムラグが生じるものの、EPGと方向キーを使えば、出先からの録画予約も簡単だ。
駆け足でTLF-MACを見てきたが、Macユーザー、ことPowerBooKやMacBookを日常的に使用している人にとって、ロケーションフリープレーヤーの登場は特別な意味を持っていると思う。Windowsでは当たり前のように内蔵されているテレビチューナーだが、アップルは自社製品にかたくなにテレビ機能を入れようとしない。もちろんサードパーティ製の外付けチューナーという手段はあるが、移動が前提のノートでは利用しにくい。
ところが、ロケーションフリーなら外付けユニットも必要ない。ネットワーク接続さえ確保できれば、自宅はもちろん、会社だろうが、ホットスポットの喫茶店だろうが、地下鉄のホームだろうが、気になったときにテレビを視聴できるのだ。
実際、本稿執筆中もテレビを“ながら見”しているわけだが、かなーり快適。今までは、ディスプレイの横に「PSP」を置いてテレビを表示していたが、やはり同じディスプレイ……というかエディタの傍らにテレビ画面があると、視線を動かす必要がなくていい。逆にテレビに気を取られて執筆が遅くなるというデメリットも……。
ちなみに、6月のサッカーW杯で日本代表の初戦となるオーストラリア戦は、日本時間の12日午後10時キックオフ。次のクロアチア戦も18日午後10時だ。普通のサラリーマンなら帰宅できる時間だと思われるが、もしアナタが深夜残業を強いられる立場だったら……ロケーションフリーは強い味方になってくれるかもしれない。
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