1.8インチドライブ、ハイブリッドHDDなどを投入──シーゲイト、新HDD製品群を一挙発表(2/2 ページ)

» 2006年06月08日 23時50分 公開
[小林哲夫&編集部,ITmedia]
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信頼性向上を目的とするBarracuda 7200.10の特別仕様モデル「Barracuda ES」

photo Barracuda ESは性能よりも容量を求める「Storage Hungry」なモデルだ。パフォーマンスはやや劣るが、大容量と価格でカバーする

 デスクトップ向けの3.5インチドライブは、2006年4月に最大750Gバイトのモデルも用意する「Barracuda 7200.10」シリーズを投入したのが記憶に新しいが、今回は新たに「Barracuda ES」というモデルの存在も明らかになった。

 Barracuda ESは、Barracuda 7200.10をベースにテスト工程を増やすことで信頼性をより向上させ、かつ信頼性向上のためのファームウェアを搭載した特別仕様のモデルとなる。従来Barracuda 7200.9をベースとした製品はNL35と呼んでいたこともある。

 ESはEnterprise Storageの略。エンタープライズ向けとして、とくに大容量と信頼性が望まれる市場向けに投入する。エンタープライズ向けとして高スループット、高いアクセスレートを実現する「Cheetah」シリーズが存在するが、最近は性能よりも容量を求めるニーズも増えている。

 Barracuda ESはBarracuda 7200.10から、主に5つの機能が追加されている。

 1つめは「ERC」(Error Recovery Control)。ERCはアクセスから12秒以内に問題が出た場合にホストに通知するもので、これによりリトライやドライブ交換要求などをホストが把握しやすくなり、システムレベルのアベラビリティが高まる効果がある。

 2つめは「Write Same」。セットアップ時向けの機能で、ドライブのイニシャライズにかかる時間を軽減する。同じデータの書き込み要求を行う処理をバックグラウンドで行うことにより、CPUはほかの処理を行える。

 3つめ、4つめは「Workload Management」と「Advandes Power Management」。ドライブの温度を監視し、信頼性に影響を与えるほど温度に上昇した場合に自動的に回転数を抑えたり、リードアフターライトを行うことにより信頼性を上げる効果がある。温度は消費電力に大きく左右されるが、ノートPC向けドライブで使用される「Advandes Power Management」(APM)も用意している。

 5つめは「One Step MicroCode Download」。同機の利用形態においては、1つのシステムで複数のHDDを搭載することが想定されるが、これらのファームウェアを1回の設定でいっぺんに書き換えられる機能となるものだ。

photo 多数のドライブを取り付けると総合的なパフォーマンスが低下する。RVFFにより20台程度の中規模RAIDでは他社と大きなパフォーマンスの差が出るとしている

 ちなみにBarracuda ESは、1つのシステムで複数のドライブを搭載するさいにおけるパフォーマンスダウンを抑えるRVFF(Rotational Vibration Feed Forward)を備え、24時間/7日、つまり常時運用を前提に設計される。HDDは内部でディスクが高速で回転しているわけだが、その振動はケースを伝わりほかのドライブにも影響を及ぼすことになる。RVFFは外部からの振動要因が存在する場合でもパフォーマンスへの影響を最小限に抑える機能となる。また、NSシリーズでは最大容量の500GバイトモデルにのみRVFFを用意していた、Barracuda ESではすべての容量のモデルで搭載する。

 エンタープライズ向けとしてラインアップされる「Barracuda ES」シリーズだが、大容量/信頼性という性能はコンシューマPCユーザーにも望まれるニーズだ。とりわけ国内の自作PCユーザーは、複数のHDDを1台のPCに内蔵させることはとくに珍しいことではなく、録画・エンコード用途などのほか家庭内サーバを設置し、ストレージサーバなどとして常時運用するユーザーも多い。

 同社では「コンシューマユーザーはコストパフォーマンスの高い“Barracuda 7200.10”シリーズを勧めたい」としているが、同一容量のモデルで比較すると5〜10%ほどの価格差しかないようだ。このため、信頼性の高さを望むのであればBarracuda ESを選ぶ意義はありそうである。

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