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予想の上を行く日本HPの新鋭機――「HP Officejet 6310 All-in-One」SOHO向けインクジェット複合機の定番となるか?(1/2 ページ)

» 2006年06月16日 13時09分 公開
[榊信康,ITmedia]

コストパフォーマンスをさらに向上

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)のビジネスOfficejetシリーズに新モデルが登場した。例年ならば、春先ごろにラインアップが改変されるが、今年は少々遅れる格好になった。新たに加わったのは、エントリークラスの「HP Officejet 6310 All-in-One」(以下、「Officejet 6310)と、A3+対応のハイエンド機「HP Officejet Pro K850」および「同K850dn」の3モデル。ここではまず、Officejet 6310から紹介していきたい。

 Officejet 6310はプリンタ、スキャナ、コピー、FAXの機能を備えたインクジェット複合機だ。先代のOfficejet 6210はハイコストパフォーマンスで名を馳せたが、Officejet 6310はさらにこの上を行く。何しろ実売価格は2万円弱で、6210の登場時より1万円も安い。それでいて各エンジンの性能を向上したほか、ネットワーク機能まで内蔵しているのだ。

 Officejetシリーズの特徴として第一に挙がるのがADFの存在だ。ハイエンドモデルは言うに及ばず、エントリーモデルにまで例外なくADFを装備している。低価格帯ではADFを搭載した製品自体が稀有であり、6210の人気もここに起因するところが大きかった。

 もちろんこの特徴はOfficejet 6310も受け継いでいる。簡易なものではあるが、フィード精度は悪くない。通常のコピー用紙から、やや厚手の用紙まで試したが、紙詰まりは発生しなかった。装填枚数も35枚に増えており(6210は最大20枚まで)、より利便性も向上している。適用はコピー、スキャナ、FAXのいずれにも可能で、資料の作成からマルチページPDFファイルの生成まで幅広く活用できる。原稿台からのコピー/スキャンと比べても所要時間の開きが小さく、かなり快適だ。

プリンタ、スキャナ、コピー、FAX機能を搭載(写真=左)。ADFを標準装備し、装填枚数も35枚に増加した(写真=右)

 ただし、いずれの機能でも片面でしか運用できないという難点も存在する。Officejet 6310は自動両面印刷ユニットを持たないため(増設も不可)、両面コピーができないのはやむを得ないとして、両面スキャンまで利用できないのは残念だ。上位モデルとの差別化のために機能を制限したのかもしれない。

プリント/スキャン/コピー性能を検証

 プリンタとしての性能は、単機能機のPhotosmart 2575と同等だ。インクカートリッジはブラック、3色カラー、フォトカラー、フォトグレーの4タイプに対応。プリントヘッドが2カートリッジ式なので、目的に応じて排他的に装填することになる。同梱品はブラック(HP129)と3色カラー(HP136)のみなので、ほかの2種類は必要に応じて購入すると良い。フォトバリューパックに対応したインクセットなので、割合に安く上がるはずだ。ただ、4色インクによるフォトプリントでも、それなりの品質は得られる。階調性や粒状性が二の次となる事務機器としてのフォトプリントが主体ならば、わざわざフォトカラーを買い足す必要はないだろう。普通紙への印刷については、さすがに一日の長があり、モノクロ、カラーとも綺麗に出力できた。

プリント速度
普通紙 J1/モノクロテキスト/1部
はやい(最速)3秒4
はやい(標準)6秒2
普通紙 J6/モノクロテキスト/6部※括弧内はファーストプリント
はやい(標準)2分3秒6(22秒4)
きれい2分45秒0(26秒7)
プレミアムプラスフォト JIS 2004 N3RGB/1部 ※カラー+ブラックタンク
高画質2分54秒4
最大dpi5分18秒9

 一方のスキャナもPhotosmart 2575と同等性能だ。光学解像度は2400×1200dpiで、先代の6210よりも向上している。また、インタフェースがUSB 2.0 High-Speedになったこともあって、速度面での大幅な向上が見られた。CISによる密着光学系のため、対応する原稿種は反射原稿のみだが、このクラスのOfficejetに透過原稿を期待する人も居ないだろう。

 このスキャンユーティリティはなかなか多機能で、スキャンボタンを押した場合の出力データフォーマットから、解像度、データ転送先など詳細な設定が可能だ。もちろんTWAINにも対応しているので、アプリケーションからも呼び出せる。ただ、これを使用するためにゴテゴテとしたユーティリティをインストールしなければならないのには閉口した。オフィス向けとはいえ、もう少しシンプルな設計にしても良さそうなものだ。

 スキャン品質については、価格なりというところ。低価格帯のCISでよく見られる、やや褪せたような色味になってしまう。高品位でスキャンしたいならば、ユーティリティでの入念な調整が必要になるだろう。

スキャン速度
原稿台からの片面スキャン
プレビュー15秒2
300dpi37秒3
600dpi1分10秒5
1200dpi2分32秒0
ADFでの片面スキャン
プレビュー
300dpi48秒0
600dpi1分22秒0
1200dpi2分41秒6

 コピー機能はいたって快適だ。本体のインタフェースは簡素だが、日本HPのプリンタではおなじみのメディア種検知センサーとメディアサイズ検知センサーにより、ユーザは面倒な設定をする必要がない。基本的には品質(高画質/きれい/はやい)を選択して、用紙をセットし、モノクロまたはカラーコピーのボタンを押すだけだ。メニューの設定で「コピー用紙サイズ」と「用紙の種類」が「自動」になっていれば、セットした用紙のサイズに拡大または縮小してコピーが行われる。モノクロ2ライン液晶でもこれだけの簡便さを実現できたのは、日本HPならではというべきだろう。

コピー速度
原稿台からの片面コピー
はやい21秒2
きれい44秒5
高画質2分8秒0
ADFでの片面コピー
はやい32秒7
きれい46秒2
高画質2分10秒2

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