使いやすさで勝負する――NEC「LaVie J LJ700/EE」(1/2 ページ)

» 2006年07月07日 00時00分 公開
[兼子忍,ITmedia]

 「LaVie J LJ700/EE」は、NECが本格モバイルユーザー向けに放った軽量1スピンドルノートPCだ。モバイルノートPCとしては大型の12.1インチ液晶を搭載しながら、重量が約1066グラムと極めて軽く、厚みも最厚部で37.2ミリとコンパクトなため、無理なく常時携帯できる。また、天面に凹凸状のデザインを施した本体は、150kgfの加圧試験に耐える堅牢性を持ち、通勤・通学時の満員電車で人に押されても破損の心配は少ない。さらに、HDDを衝撃吸収ラバーで包みことにより、耐衝撃性も備える。モバイルノートPCとして優れた資質を備える1台と言っていい。

軽量ボディに高度なセキュリティ機能を搭載

 約1066グラムという軽さを実現するために、本機には軽量化のための工夫が随所に盛り込まれている。本体を形成するマグネシウム合金板には厚み0.5ミリと肉薄な部材を用いたほか、液晶フレーム部には金属フレームなしでも十分な強度を持たせる構造が採用されている。また、マザーボードは搭載チップの共通化と実装密度の向上を徹底した結果、本機の前身となるLJ700/5Eに比べ40%以上の小型化と30%以上の軽量化を果たした。

 紛失や置き忘れ、盗難といったトラブルに遭遇しやすいモバイルノートPCには、データの流出を防止するためのセキュリティ機能も欠かせない。その点、本機はTCG v1.1b準拠のセキュリティチップを搭載し、HDD内のデータが漏えいするリスクを解消している。確実な個人認証を行なうための指紋センサーは未搭載だが、同社の直販サイト「NEC Direct」限定モデルの「LaVie G タイプJ」には指紋センサー搭載モデルが用意されている。より強固なセキュリティ機能を必要とするなら、こちらを選ぶといいだろう。

旧世代のアーキテクチャだが性能に不足なし

PCMark05 ベンチ結果
PCMarks: N/A
CPU: 1922
Memory: 1764
Graphics: N/A
HDD: 3101

 続いて基本性能をチェックしよう。本機は、Pentium M 753(1.2GHz)とIntel 855GMEチップセット、Atheros製IEEE802.11a/b/g無線LANモジュールを組み合わせたシステムで構成される。試用中にベンチマークテストを実行したところ、PCMark05はチップセットに内蔵されるグラフィック機能の性能不足から総合スコアを得ることができなかった。また、CPU性能も最新のIntel Coreプロセッサーに比べるとやはり見劣りしてしまう。しかし、本機がモバイルユースを補う目的に特化した製品であることを考慮すれば、実際の利用シーンで性能不足を感じるケースはほとんどないだろう。

(※記事初出時、無線LANモジュールがIntel製と記述されていましたが、正しくはAtheros製となります。お詫びして訂正いたします。)

 その一方で、熱設計の完成度の高さは群を抜く仕上がりと言っていい。システムに高い負荷をかけた状態でも、ボディはキーボードの左半分が温まる程度で、使用感を損なうまでの発熱はない。また本体後部の排気口から聞こえるファンノイズも、ほとんど気にならない程度に抑えられている。Webブラウズやメールチェックなどでは生かし切れない高性能なシステムを搭載するのではなく、実際の使い勝手を重視した構成には好感が持てる。

 メモリはオンボードの256Mバイトと、256MバイトのPC2700 SO-DIMMの組み合わせで実装される。搭載済みのSO-DIMMを交換することで最大1280Mバイトまで容量を拡張することが可能だ。80GバイトのHDDも、モバイルノートPCとしては余裕のある容量といえる。

(※記事初出時、最大メモリ容量が1.5Gバイトと記述されていましたが、正しくは1.25Gバイト(1280Mバイト)となります。お詫びして訂正いたします。)

 光学ドライブは未搭載だが、別売のUSB接続のDVDスーパーマルチドライブ「PC-AC-DU002C」を導入すれば、2スピンドルノートPCと同等の機能を実現できる。PC-AC-DU002Cの重量は専用USBケーブルを含めて約420グラムと、本体と合わせても1.5キロ以下に収まる。また、USB端子からの給電で駆動するためACアダプタを持ち歩く必要もなく、収納性が後退する点に妥協できれば、外出先での利用も現実的だ。

 ただし、本機との接続には電源供給用を含め2基のUSB端子を使用する。このため、PC-AC-DU002Cを使うさいは、本体右側のUSB端子がすべて占有されてしまう点に注意したい。本機の付属ソフトとして、HDDにCD/DVDのイメージファイルを作成する仮想CD/DVDソフト「Virtual CD 7」が同梱されているので、可搬性を重視するならこちらを使うのも手だ。

底面に拡張用メモリスロットを備えるが、出荷時で256Mバイトのモジュールがすでに埋まっている(写真=左)。オプションのDVDスーパーマルチドライブ(実売3万5000円前後)。天面は耐圧150kgfの性能を実現する独自構造になっている

バッテリー駆動時間は必要十分

 バッテリーには、重量とサイズのバランスがよい4セルタイプを採用する。このコンパクトなバッテリーは本体サイズの小型化にも貢献しており、ボディの厚みが最厚部で37.2ミリと、カバンにも楽に収納できるサイズに収まっている。そのぶんバッテリー容量は5200mAhとけっして大きくはないものの、電源効率の高い独自開発の液晶インバータを採用したり、電源回路の設計を見直すなど、省電力性能を向上する工夫の積み重ねにより、最大約6時間のバッテリーライフを確保している。

 なお、付属の電源管理ユーティリティ「パワーモードチェンジャー」を使えば、CPU性能とバッテリーライフの優先度を4段階から選択でき、状況に応じて最適な電源設定を簡単に呼び出せる。高いCPU性能を求められる作業では、パワーモードチェンジャーの「ブーストボタン」により、電源設定に関わらずワンタッチでCPUを最高性能で駆動可能だ。

バッテリー駆動時間は約6時間。ACアダプターのサイズは、約93(幅)×42(奥行き)×28.0(高さ)ミリと比較的小型だ(写真=左)。「パワーモードチェンジャー」のグラフ表示画面では、バッテリーの残量と駆動可能時間、現在適用されている電源設定、CPUの動作状態を確認できる(画面=右)
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