M1710、M1210、そしてM2010とノートPCの発表が続いたデルのXPSシリーズであるが、デスクトップのラインアップも筐体デザイン一新のXPS 700が登場している。今回はデルが発表会で自ら「最速の処理能力に価値を見出すユーザーにも使ってもらいたい」と語った最強のパフォーマンスと「XPSの名に恥じない」新しいデザインを持ったXPS 700の実力を紹介しよう。
XPSブランドを冠するPCにとって重要なのが「デザイン」であることは、先のデルの発言を聞くまでもなく、すでに日本でも登場していたXPS 600やCESで公開されたQuad SLI対応のXPS Renegadeの筐体を見ればすぐに理解できる。従来のXPS 600からデザインを変更されたXPS 700も筐体上部を前傾させた斬新なスタイルを採用している。
その特徴は筐体を横から見るとよく認識できる。上部を前方にぐにっと押したような平行四辺形のシルエットを持つ筐体は、残念ながら正面から見ると「なんかちょっと平衡感覚が狂ってしまったかな?」と不安定な感じを抱かせてしまう。その平行四辺形のサイドパネルの左下隅には赤いXPSのロゴが取り付けられている。ゴテッとしたデザインが多いゲームユーザー向けPCケースが多い中にあって、この“さりげなさ”はかえってシャープな印象を見る人に与えてくれる。
中央にくびれを入れたアラビア数字の「8」のような正面パネルの中央にはマイクとヘッドフォン、2つのUSB 2.0と1つのIEEE 1394が用意されている。その部分で正面パネルは上部と下部の2つのユニットに分けられたデザインとなっている。
その上部には4つの5インチベイと1つの3.5インチベイ、それからコンパクトフラッシュ、メモリースティック、SDメモリカード、スマートメディアそれぞれに対応したカードスロットドライブが隠されている。上部も下部も横方向に桟が入った共通のデザインに見えるが、下部は全面にスリットが開いていて筐体内部に外気を取り入れるようになっている。
このことからも分かるように、XPS 700はBTXフォームファクターを採用している。BTXの筐体では正面に冷却用のファンを導入し、そのファンによって取り入れた外気を一直線に並んでいるCPUやチップセットといった発熱パートに送りこんで冷却をする。
この「正面にファンを組み込む」という仕様のためにファンから発する騒音が「静音性能」を重視する昨今の志向に合わず、BTXフォームファクターを採用するPCケースはユーザーからなかなか受け入れてもらえなかった。しかし、最近では大口径のファンを低速で回転させることでファンの騒音を抑えることが主流となっていて、BTXのPCケースでも静音性能に優れている製品が見られるようになってきた。
XPS 700も、今回の作業で使った評価機が「CPU:」「グラフィックスカード:GeForce 7900GTXのNVIDIA SLI構成」というパワフルな構成であったにもかかわらず、その発する音は3DMarkシリーズを走らせているときでもいたって静かである。「BTXはうるさいっ」という認識はこのPCには当てはまらないと言っていいだろう。
先にも述べたようにXPS 700の発表会においてデルのスタッフは「最速の処理能力に価値を見出すユーザーにも使ってもらいたい」と発言しているが、同時に「常に最新のパーツで構成したいユーザーを意識してパーツの交換が簡単にできる構造」(デルの発表会資料より)もコンセプトとして取り入れている。
もともと、デルのデスクトップPCシリーズはDimensionもOptiPlexもメンテナンス性を重視したツールフリー(工具要らず)でパーツやドライブの換装ができる筐体を採用していた。可動部のロックを外すレバーのグリーンのカラーリングといったコピー機でよく見られるようなガイドが施されるなど、その作業性はこれまでもパワーユーザーから高く評価されていた。XPS 700もそのメンテナンス性を配慮したデザインが受け継がれている。ツールフリーで作業ができるのは当然として、取り回しの扱いが面倒な各種ケーブルを筐体内にタップで固定して整理するなど細かい配慮が行き届いている。
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