その性能は本当に“Extreme”なのか──Intel Core2を検証するイマドキのイタモノ(3/3 ページ)

» 2006年07月14日 14時29分 公開
[笠原一輝,ITmedia]
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すべてのテストでAthlon 64 FX-62を上回ったCore2 Duoシリーズ

 SYSmark2004 SEのOffice Productivityは、Microsoft OfficeやWebブラウザ、Adobe Acrobatなどを利用して、オフィスワーカーが文章を作るまでをシミュレートしたベンチマークテストだ。実在するオフィスアプリケーションを利用しているため、ユーザーの実利用環境に近い結果が出ると言われている。

 結果は、なんとCore2 Duo E6700+Intel P965がトップとなり、クロックが上のCore2 Extreme X6800を上回ってみせた。これは、Intel P965のメモリコントローラがより最適化が進み、レイテンシなどがIntel 975Xに比べて短くなっているためだろう。こうしたオフィスアプリケーションではメモリレイテンシが性能に与える影響が大きいと言われており、そうしたことが結果に表れていると言える。

 SYSmark2004 SEのInternet Content Creationは、Adobe PhotoshopやPremiereなど実在するコンテンツ作成ソフトウェアを利用して、コンテンツを作成し、最終的にWebサイトを作るまでをシミュレートするベンチマークソフトだ。コンテンツデータの編集をする場合の性能の目安になる。

 こちらもクロック通りの順当な結果になっているが、やはりE6700+Intel P965の組み合わせはE6700+Intel 975Xを上回っている。

 TMPGenc 4は、代表的なエンコードソフトウェアで、今回は6312フレームのMPEG2をWMV 3MbpsないしはMPEG4 AVC 3Mbpsに変換する時間を計測し、そのフレームレートを計算した。結果はグラフの通りで、Core2 Extreme X6800がトップとなっている。また、やはりCore2 Duo E6700+Intel P965がIntel 975Xとの組み合わせを上回っている。

 MAXON ComputerのCineBench 2003は、3Dの画面をレンダリングすることで、CPUの性能を計測するベンチマークプログラムだ。レンダリングはシングルCPU時と、マルチCPU時の両方が計測される。

 ここでも、Core2 Extremeがトップで、Intel 975XよりもIntel P965とCore2 Duo E6700が上回るという傾向が見て取れる。もう1つ注目したいのは、Pentium XE 965では、シングルスレッドの性能がマルチスレッドの半分以下であるのに対して、Core2 Duo系では、シングルスレッドの性能はマルチスレッドの半分を上回っている。つまり、シングルスレッドでも十分な性能を持ち、かつマルチスレッドでも速いというCore2 Duoの傾向がここから分かるのだ。

 Lameは、コマンドラインのMP3エンコードソフトウェアで、WAVファイルをMP3に計測する時間を計測して、フレームレートを計算で導き出している。ここでも、先ほどのCineBenchと同じように、Pentium XEはシングルスレッドでの落ち込みが著しいのに対して、Core2 Duoはシングルスレッドでもそこそこの結果をだしている(実際Core2 ExtremeのシングルスレッドはPentium XEのマルチスレッドに匹敵する結果となっている)。

 FutureMarkの3DMark06、3DMark05は最もメジャーな3Dベンチマークで、3Dゲームエンジンを利用してフレームレートなどを計測し、PCの3D描画性能を計測できる。3DMark06、3DMark05のどちらも3Dの総合性能を示す3DMarkに関してはいずれもGPUの性能が大きく影響するため、大きな差はでていない。3DゲームのでのCPU性能を示すCPUテストでは、やはりほかのテストと同じようにCore2 Extreme X6800が最高性能を示した。

 DOOM3、FAR CRY、Final Fantasy XIはいずれも定番、かつ“重い”と言われている3Dゲームだ。ここでは、GPUの性能が大きく影響する高解像度より、CPUの性能で結果が変わってくる低い解像度での結果に注目したい。VGA、XGAといったあまり高くない解像度では、やはり他のテストと同じようにCore2 Extreme X6800が結果を残している。さらに、Final Fantasy XI Official Benchmark 3 Version 1.0 High Resolutionでも同様の傾向がでていることが分かる。

SYSmark2004 SE/Office Productivity
SYSmark2004 SE/Internet Content Creation
TMPGenc 4 Xpress(MPEG2 6312 to WMV 3Mbps)

TMPGenc 4 Xpress(MPEG2 6312 to MPEG4 AVC 3Mbps)
CineBench 2003
Lame WAV>MP3エンコード

3DMark06 3DMark
3DMark06 CPU
3DMark05 3DMark

3DMark05 CPU
DOOM3 timedemo demo1
FarCry

Final Fantasy XI Official Benchmark 3 Version 1.0

今回は“エクストリーム”な性能を発揮したCore2 Extreme

 以上のような結果から、Core2 Extreme X6800は言うに及ばず、Core2 Duo E6700に関してもAthlon 64 FX-62をすべてのテストで上回って見せた。さらに、Core2 Extreme X6800に関しては、クロックがE6700に比べて高いこともあり、さらに高性能を発揮していた。Pentium Extreme Editionシリーズでは、Pentium Dに比べてどのあたりが“Extreme”なのかいまいちよく分からなかったが、少なくとも今回のCore2 Extremeは、その名にふさわしく、現時点での最高性能を発揮している(なお、今回は価格が現時点では未発表であるので、コストパフォーマンス比較は省略している)。

 重要なことは、Intel Core2が単に性能が高いだけでなく消費電力もPentium XE/Pentium Dに比べて圧倒的に低くなっていることだ。現時点では価格が明らかになっていないため、Pentium Dとの価格差がどの程度になるのかは分からないが、Pentium Dはそれなりに安価でないと選択する理由がなくなるのではないだろうか。

 なお、Intel 975XとIntel P965の比較では、明らかにIntel P965が高い性能を発揮している。そうした意味では、今後Core2 Duo用のマザーボードを検討するのであれば、マルチGPUの必要ないのであればIntel 975Xよりも、Intel 965シリーズを優先するのが良いということも言えるのではないだろうか。

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