Qosmio Gシリーズは同社のコンシューマー向けノートPCの最上位に位置づけられる。その卓越したスペックはデスクトップPC顔負けである。その前モデル「G30/596HS」ではフルHD再生が可能な1920×1200ドットの解像度を誇る17インチワイドの液晶ディスプレイと地上デジタルチューナーの組合せをノートPCとしては初めて採用した。その後継として登場した「G30/697HS」は「HD-DVD ROMドライブ」を採用している。
G30/697HSのスペックをチェックしてみる。液晶ディスプレイは17インチワイドの最大解像度1920×1200ドットでフルHD映像(1920×1080ドット)の情報を損なうことなく再生できる。地上デジタルとアナログのダブルチューナーを搭載して2番組を同時に録画可能。搭載する「HD DVD-ROMドライブ」はDVDスーパーマルチドライブの機能も兼ね備えているので、HD DVD-ROMメディアの読出しと、すべてのレコーダブルDVDメディアへの書き込みをサポートする。
CPUにIntel Core Duo T2500(動作クロック2GHz)、チップセットにIntel 945PM、GPUにはGeForce Go 7600を採用。1GバイトのDDR2メモリをデュアルチャネルで搭載し、HDDは120Gバイトのドライブを2台搭載して合計240Gバイトの容量を利用できる。また、東芝独自の「東芝RAID」に対応しているので購入後にインストールされたWindows XPを保持したままミラーリング、又はストライピングに移行できる。
大画面なディスプレイのサイズもあって幅が406ミリ、厚みが最薄部でも45.5ミリ、重量が約4.8キロとサイズ、重量共にノートPCとしては超弩級だが、現在のデスクトップ代替製品としてはさほど珍しいサイズと重量でもない。とはいっても片手でひょいと持ち運ぶには大人でもけっこう辛い重量。何とか屋内の可搬性を持たせていると考えるべきだろう。
Qosmio 「G」シリーズでより強いAV志向を打ち出したのが「G20」で、その後継「G30」のセカンドモデルがG30/697HSとなる。筐体の一部に光沢のあるアクリルパネルを施したした黒基調のデザインやインシュレータ風の「足」、タッチパネル式のAV操作ボタン、右側面の大型ダイヤル式ボリューム、デザインの一部としてあえて露出させている「Harman/Kardon」のバスレフスピーカーなど、AV機器を強く意識したデザインはG30/697HSにも継承されている。
大きいサイズのおかげで余裕を持たせているユーザーインタフェースにはノートPCにありがちな「ユーザーに無理を強いる」ところがない。幅を十分にとったキーボードは左右のシフトキー、Enterキー、BackSpaceキーといった利用頻度の高いキーもピッチを十分確保していてストロークもある。これだけ筐体に幅があるとテンキーを詰め込む配列もあるが、G30/697HSがもつ雰囲気はそれを必要としない。最上列のファンクションキーなどと1段下のキーに間隔が空けられているのもサイズの余裕を生かしている。ポインティングデバイスに独立したスクローラなどは備えていないが、パッド部の面積やボタンサイズも大きく操作性は悪くない。デザインを壊さない、という意味でもシンプルに仕上げている印象だ。
拡張ポート類は、利用頻度の高いUSBポートが背面2ポート、左側面2ポート。AV志向のノートPCらしく、ビデオ出力はHDMIとアナログRGB、S出力と最新の大画面TVとの接続も考慮されている。電源ケーブルや有線LANなど頻繁にケーブル類を抜き差ししないものは背面、各種カードスロットなどは左側面に配置されており、使い勝手も十分配慮されている。アクセスしやすい前面に配置されたHD DVD-ROMドライブが従来のQosmioで使われていた“スロットイン”ではなくなったのは残念だが、現時点では選択肢がなさそうなので致し方ない部分となるようだ。
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