エプソンが放つ新たな刺客――カラリオ・スキャナ「GT-F650」(1/2 ページ)

» 2006年07月27日 14時26分 公開
[榊信康,ITmedia]
GT-F650

 エプソンは夏商戦に向けて、カラリオ・スキャナのラインアップを更新した。今回のモデルチェンジは、ラインアップ全体の底上げを狙うとともに、ドキュメント方面への注力を目的とする。前者については、インクジェット複合機の伸びが大きく作用しているのだろう。ローエンド向けとなる1200dpiクラスはインクジェット複合機にまかせて、スキャナには専用機ならではのスペックを持たせるという戦略だ。

 これにより、従来機のGT-7400U(1200dpi/実売1万円前後)を排し、新たにGT-S600(3200dpi/実売1万2000円前後)を加えている。用途に応じ、GT-X(高品位フィルムスキャン)、GT-F(汎用機)、GT-S(反射原稿専用)という区分となり、製品が選びやすくなった。

 上位のGT-Xは2モデルとも続投する格好だが、ミドルレンジのGT-Fは全面的に入れ替えが行われた。3200dpiのフィルム対応機GT-F520およびF570は引退となり、GT-F650が後継機として登場した。さらにこの上位には、GT-F初の4800dpiモデルGT-F700が投入された。

 もう1つのドキュメントスキャンについては言わずもがなであろう。これまでのGTスキャナは高品位画質という点では定評があったものの、マルチページのPDF生成は苦手とした。これはスキャン品質の問題ではなく、スキャンユーティリティの作りこみに起因したのだが、今回はこれを大幅に改善したEPSON Scan Ver.3.0を開発し、新モデルのすべてに搭載している。また、続投となったGT-Xシリーズにも、Web上で無料配布を行うとのことだ(7月末予定)。

競合機は言うまでもなく……

 ダラダラと書いてきたが、かいつめばローエンドとミドルクラスにおける競争力を強化したわけである。他社製品(というのもいまさら白々しいので、CanoScan LIDEと決め付けるが)の支持層を奪うべく投入されたのが、今回の3モデルということになる。それぞれ面白みのある製品だが、ここは真ん中を取って、GT-F650を紹介していこう。

 先にも記したとおり、GT-F650はGT-F520とGT-F570の後継にあたる。GT-F570の特徴だった自動フィルムフィーダこそ持たないものの(AFLはGT-F700に継承された)、エンジン性能は拮抗している。ただし、完全な同型エンジンというわけではない。GT-F650はCCDセンサやモータなどのパーツを極力コンパクトにしている。これは言うまでもなく、キャビネットのサイズを小型にするためだ。

 CanoScan LIDEが大幅なシェアを獲得したことからもわかるが、ローエンドやミドルクラスでは、スペック以上にデザインやサイズが重視される傾向がある。さりとて、エプソンの品質ラインをクリアするには、CCDセンサは欠かせない。このジレンマを解消するために、資金と時間をかけてコンパクトCCDを開発したというわけだ。

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