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SOHO向けの“全部入り”新型複合機「MFC-8870DW」(1/2 ページ)

» 2006年09月27日 09時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
MFC-8870DW

 ブラザーのA4モノクロレーザー「HL-5200」シリーズがプリントエンジンを刷新し、エントリー層にまで24ppmという高速印字を拡大したのが今年2月。それから待つこと約半年、ついに同社のSOHO/ビジネス向け複合機「MFC」シリーズにも高速プリントエンジンを搭載する新モデルが登場した。

 その待望ともいえるニューフェイスは「MFC-8460N」「MFC-8870DW」の2モデル。上位のMFC-8870DWが標準で無線LANをサポートし、両面読み取りが可能なADFと両面印刷ユニットを搭載する以外は、プリンタ/スキャナ/コピー/FAXの各機能から有線LANの標準搭載までほぼ共通の仕様となっている(記事初出時、MFC-8460Nの仕様に誤りがありました。MFC-8460Nは自動両面読み取り機能と両面印刷ユニットを搭載していません。お詫びして訂正いたします)。価格はともにオープンプライスで、実売はMFC-8870Dが6万8000円前後、MFC-8870DWが8万5000円前後だ。今回は最上位モデルのMFC-8870DWを試用する機会を得たのでその使い勝手を見ていこう。

大柄ながら設置性に優れる本体デザイン

 レーザー複合機は、コピー機をベースにしたものとレーザープリンタをベースにしたものに分けられる。このMFC-8870DWはモノクロレーザープリンタHL-5200シリーズをベースにマルチファンクション化を行った製品――つまりA4モノクロレーザーの最上位モデル「HL-5280DW」から出発して、撮像素子にCCDを搭載するフラットベッドスキャナと自働両面読み取りのADF、そしてFAX機能を加えたモデルと考えてよい。

 本体のデザインを見てもA4モノクロレーザー機にそのままADF付きのフラットベッドスキャナを載せた恰好だ。外観はまるでキノコの傘のように上部が出っ張り、本体サイズが531(幅)×450(奥行き)×475(高さ)ミリ、重さも約16.7キロとやや大柄な印象を受ける。ただし、底面積はHL-5200シリーズの371(幅)×384(奥行き)ミリと同程度のサイズに収まっている。実際の設置にはフットプリント分のスペースとスキャナ用の空間が確保できればよいわけで、例えば袖机に置くなど見た目以上に設置の自由度は高いといえるだろう。

左から本体前面/背面/左側面/右側面

フロントオペレーションでメンテナンスも楽々

 前述したように本機のプリンタ部はHL-5200シリーズと共通となっており、運用・保守面もこれに準じている。メンテナンス作業の大部分を本体前面から行えるようになっており、印刷時の紙詰まりやトナー交換などは非常に簡単だ。

 一方、大量印刷を前提とする利用シーンで重要なポイントとなる給紙機構は、本体フロント部に多目的トレイを用意し、A4用紙なら50枚、標準の250枚給紙カセットと合わせて合計300枚までセットできる。また、オプションのローワートレイユニットを増設することで最大550枚の給紙が可能だ。ただ、強度の問題なのかローワートレイユニットが1段までしか増設できず、HL-5200シリーズの最大800枚給紙(2段増設時)よりも少なくなってしまった点は少々残念だ。多機能な複合機ゆえに印字頻度は単機能モデルよりも高くなるため、2段重ねにも対応してもらいたかったところではある。

 対応する用紙サイズは、多目的トレイがA4、レター、リーガル、B5、A5、A6、システム手帳用紙、封筒(洋形4号、定形最大120×235ミリ)、官製はがき。給紙トレイ(ローワートレイユニット)にはA4、レター、B5、A5、官製はがきをセットできる。2種類までのサイズならトレイを切り替えることで対応できるだろう。

 トナーとドラムは運用コスト面で有利な分離型を採用しており、標準トナー以外にオプションで大容量トナーも用意されている。大容量トナーで運用したさいのランニングコストは2円/枚、その後のドラム交換を含めても3円/枚とランニングコストも抑えられている。印刷可能な枚数は、標準トナー(8562円)が約3500枚、大容量トナーが約7000枚(1万4700円)、ドラムは約25000枚(2万6250円)となっている(いずれもA4/5%印字時)。

標準で300枚の給紙を行える。紙詰まりやトナー交換などのメンテナンスも容易だ

機能別にボタン類を配置 ビジネス向けツールを添付

 本機に用意されている操作ボタン類は、各機能ごとにまとめられており、操作パネル左下から「Print」機能向けボタン、次に「FAX」機能向けボタン、その上部に「ワンタッチ/短縮ダイヤル」操作ボタンが配置される。中央部には5ライン×22桁表示の液晶パネルの下にFAX/Scan/Copyの切り替えボタン、そして右側下部には「Copy」機能ボタンとなり、液晶パネルの右側中央に「OK」ボタンを置くメニュー操作用の十字キー、その右側に文字/アルファベットキー兼用のテンキー、停止/終了、スタートボタンといった配置だ。各機能ごとにまとめられているため、どのボタンがどういった役目を持つのかを理解しやすく操作に迷うことはないだろう。

 また、5ライン×22桁表示の液晶に表示されるデータも豊富で、これらのボタンを駆使することで初期設定をPC経由でなくても本体だけで細かく設定できる。例えばLANの設定や無線LANの接続を本体のボタン操作だけで行えるなどの使い勝手の向上にも役立っている。無線LAN機能ではバッファローの簡単接続規格である「AOSS(AirStation One-Touch Secure System)」をサポートしており、同規格をサポートするAirStationシリーズとの接続は簡単に行える。

 ビジネス向けだけあって、本機をビジネス利用する場合により便利に使えるツールも多い。まず常駐ソフトである「ControlCenter2」は、本機のマルチファンクション機能をPCで利用する場合に欠かせないツールである。スキャン/カスタム/コピー/PC-FAX/デバイス設定といったタブ構成で、それぞれの機能の設定や各種操作などをこのツール上から行える。本機は本体内部にHTMLベースの設定画面を持っており、Webブラウザを利用してプリンタ側の初期設定なども可能だが、ControlCenter2内のデバイス設定にある「リモートセットアップ」機能を利用すれば、同様の設定をより手軽に行えるようになっている。

「ControlCenter2」は、本機のマルチファンクション機能をパソコンから利用する際に役立つツールだ。スキャン/カスタム/コピー/PC-FAX/デバイス設定といったタブ構成で、それぞれの機能の設定や各種操作などを行える(画面=左)。本機は本体内部にHTMLベースの設定画面を持っており、パソコンを通じてWebブラウザを利用してプリンタ側の初期設定なども可能だ(画面=中央)。ControlCenter2内にもこのWebページの設定内容を読み込んで設定を変更できるデバイス設定にある「リモートセットアップ」機能が用意されている(画面=右)

 また、付属の「Presto! PageManager」を利用すれば、スキャンデータの管理や各種連携機能(OCRやPDFデータ化)なども手軽に行える。こうしたツール類と組み合わせることで、ビジネスユースでより便利に使えるようになっているわけだ。なお、プリンタドライバはブラザー製品ではお馴染みのインタフェースを採用しており、タブ構成とボタンの組み合わせによって各種設定項目を呼び出せる。

 特に本機で目を引くのは「セキュリティ印刷」の項目だろう。これは単機能のHL-5200シリーズには用意されていなかった機能で、他人に知られたくない文書や機密文書の出力をパスワードで管理できる機能だ。個人情報保護や情報漏洩防止が叫ばれる現在では、非常に有効な機能と言える。ただし、TWAINドライバは必要十分な設定項目だけが用意される同社お馴染みのドライバで、非常に細かい設定を行った上でスキャナを利用するような用途には、あまり向いていないことに注意したい。

NewSoft Technology Corpの「Presto! PageManager」を利用すれば、スキャンデータの管理や各種連携機能なども手軽に行える(画面=左)。プリンタドライバはブラザー製品ではお馴染みのインタフェースを採用しており、タブ構成とボタンの組み合わせによって各種設定項目を呼び出すようになっている(画面=中央)。特に目を引くのが「セキュリティ印刷」の項目。他人に見られたくない文書や機密文書の出力をパスワードで管理できる(画面=右)
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