Intelがホームエレクトロニクス向け統合プラットフォーム「Viiv」を発表してから1年経つが、順調に(でも、少しずつ)成果を上げてきているようだ。例えば、Viivで重要となる“協力コンテンツプロバイダ”の数が、2006年1月時点で50以下だったのが、現状では150と半年で3倍に増えている。コンテンツの種類も全米的に放送されたメジャーなTV番組に加えて、音楽、スポーツ、映画など多岐にわたる。
今回のIDFでは、Viivの最新アップデートとして3つの発表が行われた。1つは「DMA」(Digital Media Adaptor)と呼ばれる機器で、このハードウェアを組み込むことで部屋にある家電のTVでViivコンテンツを楽しめるようになる。NetgearなどのメーカーがDMA対応製品の発売を表明しており、250ドル(約3万円)前後で販売されることになるという。もう1つがDirecTVによるViiv対応セットトップボックスだ。この筐体の中には、DirecTVのチューナーに加えてViivコンテンツの再生やHDDレコーダの機能が組み込まれている。最後が「Intel Core Challenge」と呼ばれるViiv対応機器開発コンテストで、今後1年をかけてデザインや機能性で最も優れている製品を開発したメーカーを表彰する。賞金総額100万ドルの大規模なイベントになる。
このように「少しずつ」進化を続けるViivだが、Intelによれば今後3つの課題を順次クリアしていかなければならないという。その1つが、冒頭で紹介した「安全なコンテンツの配信」だ。コンテンツのさらなる充実、そしてコンテンツの安全な配信のためのインフラ構築が求められている。コンテンツ事業者はこの配信ネットワークを介してコンテンツを流すことで、Viivで要求されるサービス基準を一通り網羅できることになる。「コンテンツ」「ハードウェア」「インフラ」の総称がViivともいえる。
第2の課題が「保存されているデータの連携」だ。一般家庭にはPCはもちろんのこと、HDDレコーダに、ゲーム機、携帯電話など、内部にデジタルデータを保存できる機器がいくつも存在している。だが、これらはそれぞれが独立したスタンドアローンの状態でいるために、保存されているそれぞれのデータがバラバラに存在しているだけ、というケースが多い。家庭内LANを組んで複数のPCにあるデータを共有することは増えているが、PC以外の機器とデータを共有しているケースはまだ少ない。またユーザーが保存するデータの量は年々増加してきており、今後5年以内で保存用ストレージの容量が増加許容範囲を超えてしまうという予測もある。ストレージを単純に増設すればいいという意見もあるかもしれないが、長期間に保存する必要があるデータは限られているのであまり効率のよい手段ではない。この解決方法として考えられているのが、家庭内の情報家電機器を効率的に管理する包括的な仕掛けだ。家庭内でネットワーク化し、異なるデバイス間でデータを共有する手段を提供することで、こうした将来の「爆発的に増える保存データ容量」の問題解決にあたる。
第3の課題は「サポート」だ。PCの家電化が進むにつれ、PC初心者の数は増大する。それなのに、PCの操作は未だに容易だとはいえない。このままでは、ヘルプデスクやサポートの負担がさらに増大することは目に見えている。この問題を解決する手段の1つがリモート管理だ。サポートのプロフェッショナルが遠隔地から該当ユーザーのPCの状態を監視し、必要に応じて問題の分析や修正をリモートで行えるようにする。従来もこうした方法があったが、OSの機能や通常のアプリケーションとして提供されるもので、ハードウェアなどのより低いレイヤで発生している問題や、OSそのものにトラブルが起きた場合の対処が難しかった。今回IDFで紹介されたのは、ブルースクリーンが発生したマシンで起こっている問題をリモートPCから修正するというデモだ。もしトラブルの多くがリモートで容易に解決できるようになれば、サポートデスクの負担は減り、ユーザーもマシン復帰までのダウンタイムが減るというメリットを享受できるようになる。
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