「ダイレクト販売」を推進する──日本HPのインクジェットプリンタ発表会

» 2006年10月03日 18時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]

4つの「快適」がキーワード

 日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)の小田晋吾代表取締役社長は、同社のインクジェットプリンタ事業が今年で22年めを迎え、その間に高速化、高画質化などさまざまな技術革新を重ねることで、ワールドワイドで過去10年間シェア1位を堅持してきたとアピールした。過去22年間でインクジェットプリンタ製品の総出荷台数は3億台にのぼるという。

 同社イメージング・プリンティング事業統括コンシューマビジネス本部コンシューマ・SMBマーケティング部製品担当の黒沼進治氏は、新製品全体のテーマとして「毎日、快適。HPプリンタ。」を掲げ、誰でも毎日快適に使えるインクジェットプリンタを目指したと説明した。そのキーワードとして、「リビングにマッチする“快適”デザイン」「ストレスを感じさせない“快適”スピード」「インクを無駄にしない“快適”インクシステム」「手間を省く“快適”機能&操作性」の4つの“快適”を挙げている。

 一般家庭の約45%はインクジェットプリンタをリビングで使用しており、新製品は、こうした現状を考慮したデザインにしている。具体的にはボディカラーを、従来のシルバーを基調としたものから、リビングルームに置いても違和感が少ないホワイトに変更した。

 スピードとインクシステムに関しては、昨年のモデルから投入したスケーラブル・プリンティング・テクノロジー(SPT)を6モデルに搭載。L判写真の最速印刷時間が、従来の12秒から11秒に高速化した(新アドバンスフォト用紙使用時)。また、これらはプリントヘッドと6色独立カートリッジシステムをインクチューブで接続したインク供給システムを採用している。プリントヘッド内部に気泡が発生すると印刷がかすれてしまうため、従来はヘッドにたまった気泡を、インクを吐出することで除去していた。インクチューブを用いたインク供給システムでは、気泡を排出した後、気泡のなくなったインクをプリントヘッドに戻すことが可能であり、無駄を減らすことができる。さらに、今年のSPT搭載モデルは、ヘッドの内部構造と紙送り制御の改良によって、写真印刷時の画質が向上しているという。

 インクは、12モデルすべてが200年以上のアルバム保存をうたうHP Viveraインクを採用する。

 機能と操作性では、日本HPが従来からこだわってきた前面給排紙や自動用紙認識、A4用紙とL判(はがきも対応)を同時にセットできるマルチトレイといった機能を継続。操作パネルのインタフェースは、キオスク端末に搭載され、直感的な操作が行える「HP Photosmart Express」を採用した。また、12モデルすべてにメモリカードスロットを搭載し、「HPフォトフィックス」機能によりボタン1つで画像の自動補正が可能となっている。

今回発表された12モデルと同社代表取締役社長の小田晋吾氏。新製品は、そのほとんどでホワイトをベースとしたカラーを採用する。複合機が7モデル、A4対応単機能プリンタが3モデル、小型フォトプリンタが2モデルのラインアップだ
新製品が搭載する機能の一覧。6モデルがSPTを搭載するほか、フィルムスキャン、ADF,タッチスクリーン式液晶パネル、4GバイトHDDといった付加価値を持つ製品が用意される
A4対応単機能プリンタの最上位モデルであるHP Photosmart D7360 PrinterとiPod nanoをUSB接続し、iPod nanoに記録された画像ファイルをダイレクトプリントするデモが行われた

ダイレクト販売強化でシェア20%を目指す

 同社執行役員イメージング・プリンティング事業統括の挽野元氏は、2006年秋から2007年にかけての事業戦略について説明した。2005年秋以降の同社の戦略は「最新テクノロジー搭載の新機種を圧倒的な価格で投入」「ダイレクト販売モデルを本格的に展開」の2つだったが、2006年秋以降は「快適をキーワードに製品のラインアップを強化」「ダイレクト販売モデルのさらなる強化」の2つも加えるという。そして、2007年における国内市場の目標として、「ダイレクト販売で1位のシェア」「ダイレクト販売で対前年比2倍の成長」「シェアを現状の10%前後から20%に拡大}の3つを掲げている。

 同氏が公表した米IDCの調査結果によると、国内インクジェットプリンタ市場の動向は、2005年は好調だったが、2006年に入り減速しており、対前年比での成長率が第1四半期でマイナス9.3%、第2四半期でマイナス8.7%となっている。一方、同社はダイレクト販売が好調で、2005年上半期に対して2006年上半期は3倍に伸びており、2006年下半期では7倍に成長する見通しとのこと。市場の成長が鈍化している現状では、ユーザーニーズに応える販促活動がより重要視され、それに最適なのがダイレクト販売だとしている。

 実際、今回発売される新製品12モデルのうち、7モデルは同社直販チャンネルのHP Directplusで扱われるダイレクト販売モデル、5モデルが店頭販売モデル(ヨドバシカメラとビックカメラで販売)と、直販の比重が高い。全体的に他社の競合機種より価格は抑えているが、とくにダイレクト販売モデルはコストパフォーマンスを重視しており、複合機のHP Photosmart C6175 All-in-One(2万9820円)を除き、2万円以下の普及価格帯に収まっている。

 ちなみに同社のプリンタをダイレクト販売で購入するユーザーのプロファイルは、「自分で幅広く情報収集して、納得して購入する」「より効率を重視、買い物も手早い」「品質イコール価格ではない、という考え方を持っている」といった30〜40歳代で、購買行動としては、買い替え、価格重視、基本性能重視の傾向にあるという。

 なお、同社はダイレクト販売モデルの販促活動として、「最新HPオールインワン・プリンタに買替えよう!」キャンペーンを2006年10月3日から2007年1月15日の期間で行う。このキャンペーンは「見て納得!」、「下取り」、「30日間お試し」の3つで展開される。

 「見て納得!」キャンペーンは、印刷速度を見せる動画ファイルを同社Webサイトで公開するほか、希望したユーザーに実際の印刷サンプルや、設置面積が実寸で確認できるポスターを送付することで、購入前に製品の内容を把握できるというものだ。「下取り」キャンペーンでは、ユーザーが使用中のインクジェットプリンタを下取りし、購入製品ごとに設定された金額のキャッシュバック(最高3000円)を行う。「30日間お試し」キャンペーンでは、購入日から30日以内の返品を受け付け、購入代金を全額返却(送料や手数料はユーザー負担)する。

2006年の国内インクジェットプリンタ市場動向は、2005年に対して成長率が減速している
ダイレクト販売モデルは、年末商戦に向けて急成長を見込んでいる
ダイレクト販売モデルの販促戦略として、プリントサンプルの送付、下取りなどのキャンペーンを行う

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