最新「MacBook Pro」の本当の意味(1/4 ページ)

» 2006年11月06日 13時40分 公開
[林信行,ITmedia]

 ついにIntel Core 2 Duoを搭載した「MacBook Pro」が登場した。外観が前モデルとそっくりなうえに、製品発表リリースもひかえめに「39%ほど高速」なことしか触れられていない。このため、マイナーアップデートと思っている人も多いだろう。

 しかしこのマシン、ディテールを見れば見るほど、魅力が浮き出てくるマシンなのだ。2.33GHzのCPUを搭載した15インチモデルを借りることができたので、さっそくその実力を検証してみた。

ちなみに写真は、筆者の机に置いた15インチMacBook Pro。これまでのMacBook Proと何も変わっていないようにも見えるのだが……

待望のMac 64ビットノートPC

 2月に出荷された初代MacBook Pro 15インチは、Macのインテル移行のご祝儀として買える熱心なMacユーザー以外にはやや勧めにくいパソコンだった(関連記事:「4倍高速」なMacBook Pro、魅力は何倍?)。当時はまだプリンタなど周辺機器まわりの互換性問題もあったうえに、SuperDriveがシングルレイヤー仕様であったり、バッテリー動作時間が5時間を切っていたりと、インテル移行を急いでいた感があった。その後、かなりプライスパフォーマンスに優れた17インチモデルも登場したが、15インチモデルの仕様は据え置き状態だった。

 今回登場したMacBook Proは、前回とは異なり、自信を持ってお勧めできる。実はこれこそが、アップルが満を持して発表した「これがやりたかった」という製品かもしれない。

 製品名も外観も同じとあって、ただ39%速くなっただけのマイナーアップデートと考えている人も多いのが残念だ。本当は飛躍的なアップデートであるにも関わらず、アップルがその違いをあえて目立たないようにしている印象すらある。その真意が分からないのが不安といえば不安だが、このマシンは来年になればさらに大きな魅力を開花させる。

 その第1にして最大の理由はCPUの変更だ。新MacBook ProではCPUがIntel Core Duoから、最新のIntel Core 2 Duoになった。これこそ多くのMacユーザーが長らく待ち望んでいた変更のはずだ。

 Intel CoreとIntel Core 2との最大の差は前者は32ビットの命令しか実行できないが、後者はEM64Tというインテルの64ビット命令セットに対応した64ビットCPUであること。アップルはPowerPC時代に、64ビットのPowerPC G5を搭載したノート型PCを開発したがっており、ユーザーの間でもそうした要望が強く出ていた。しかし、これは発熱量の問題でついにかなうことはなかった。

 同社がインテルCPUへの移行を決意した理由の1つは、PowerPCでは64ビット版ノートPCが作れないことだった。そういう意味では、このMacBook Proはアップルにとってマイルストーンとなる。今回晴れて64ビット仕様のOSも動作させることができるようになったのだ(現状ではドライバなどの関係で万全とはいえないが)。

AMD64用の64ビット仕様Gentoo Linuxをインストールしたところ問題なく動いた。また32ビット版Windowsからは起動できない「Windows Vista RC1 64ビット版」のインストーラもDVD-ROMから起動することで実行できた。ライセンスさえあればちゃんとインストールできたはず

 あいにく64ビット版Windowsが手元になく動作を試せなかったが、Windows Vista RC1の64ビット版もインストーラまでは動作するのが確認できた(このインストーラーは64ビット仕様なので、32ビット版Windowsからは起動できない)。またGentoo Linuxの64ビット版バイナリをインストールし起動できた。

 Mac OS Xでは、OSもアプリケーションも、外観上32ビット/64ビットの区別がないので分かりにくいが、来年リリース予定のMac OS X“Leopard”では、64ビット性能がさらに強化されると言われており、その意味では来年以降のパフォーマンス向上も楽しみなマシンだ。

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