工人舎の8万9800円ミニノートPCを試す少ないボーナスでも安心!?(2/2 ページ)

» 2006年11月08日 09時30分 公開
[田中宏昌,ITmedia]
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サイズゆえの制約もあるが操作性には工夫が見られる

日本語77キーを採用する。A5サイズのボディで16.8ミリのキーピッチを実現しているが、不規則なキー配列も目立つ

 前ページの欠点を補うべく、液晶の両側にスティックポインタとクリックボタン、液晶の輝度調整ボタン、スクロールボタンが用意されている。これは液晶パネルを180度開いたオープンスタイルや、液晶を回転させて折りたたんだリバーススタイルなどでスティックポインタを用いて各種操作を行うときに使うものだ。

 液晶パネルの左側にはスティックポインタと液晶の輝度調整ボタンがあり、右側にはスティックポインタのクリックボタンとスクロールボタンが上下に並ぶ。とくにリバーススタイルでは両手で本機を持ち、Web閲覧やMPEG4の動画再生といった使い方に適している。ボタンの配置も適切で、扱いやすい。欲を言えば画面解像度の一発切り替えボタンがあるとなおよかった。

 キーボードのサイズに合わせて設計したと言うだけに、小型ながらキーボードにもこだわりが見られる。何より、A5サイズの小型ボディながらキーピッチ16.8ミリ/キーストローク1.5ミリのキーボードを備え、慣れればタッチタイプも可能だ。しかし、その代償としてキー数が77と少なく、半角/全角やF9〜F12のほか、無線LANやBluetoothのオン/オフなどFnキーとの組み合わせで代用されるキーも多い。さらに「け」「む」「ろ」「へ」といったキーが右カーソルの上やファンクションキーの並びにあるなど、カナ入力ユーザーには酷な配置になっている。

 一方で前述のスティックポインタに加え、2ボタンのタッチパッドを備えているのもユニークだ。さすがにタッチパッドの面積が少なく、ホームポジション直下ではなく左右中央部分にあるため最初は違和感を覚えるが、右クリックボタンが長めで、Synapticsの多機能ドライバーが導入ずみなので、慣れれば意外と重宝する。

液晶を回転させて折りたたむとリバーススタイルになる(写真=左)。ただ、リバーススタイル時は液晶のロックボタンがなく本体に固定できないので、使っていると画面がやや傾きがちになる。となりの写真は液晶パネル左側にあるスティックポインタと輝度調整ボタン、そのとなりは液晶パネル右側にあるスクロールボタンとクリックボタンだ。右の写真はプリインストールずみのebi.BookReader Ver.3.0Jで、電子書籍の“立ち読み”が可能だ

 拡張性は2基のUSB 2.0にD-Sub 15ピンのアナログRGB出力、CF Type IおよびSDメモリカード(SDHCおよびSD I/O対応)/メモリースティック/MMC対応のメモリカードスロットを用意する。ボディサイズを考えれば満足できる構成と言えるだろう。

 通信環境にも抜かりはなく、100BASE-TX/10BASE-T対応の有線LANにIEEE802.11g/b準拠の無線LAN、そしてBluetooth 2.0+EDRを標準で搭載しているが心強い。とくにBluetooth用のユーティリティにIVTのBlueSoleilが導入ずみで、Bluetooth対応のヘッドセットやGPS受信機、携帯電話などをグラフィカルに設定することが可能だ。

前面に各種アクセスランプやヘッドフォン、マイク端子、SDメモリカード/メモリースティック/MMC対応のメモリカードスロットが並び、電源スイッチや音量調整スイッチ、有線LAN端子は左側面にある。USB 2.0端子は左右に1基ずつ用意され、背面はバッテリーが占める。なお、SDメモリカードを挿入するとカードが前面に1センチほど出っ張る

気になるバッテリー駆動時間は……

 気になるバッテリーの駆動時間は、公称値で約5時間となっている。標準で11.1ボルト2600mAhのリチウムイオンバッテリーが付属しているが、大容量バッテリーは用意されないとのこと(標準添付のバッテリーがオプションで用意される予定だ)。試しに液晶の輝度を最高にして前述のVOBファイルを連続再生させたところ、約2時間30分でWinDVD 5が終了してスタンバイ状態に入った(バッテリー残量は約10%)。同じく液晶の輝度を最高にして放置したところ(XPの電源設定はポータブル/ラップトップ)約4時間弱動作した。いずれも試作機での値なので、製品版では変わる可能性がある。あくまで目安として見てほしいが、輝度を下げればもう少し駆動時間を延ばせそうだ。

 ちなみに、ACアダプタはサイズが40(幅)×99(奥行き)×27(高さ)ミリ、ケーブル込みの重量が約355グラムと小ぶりなので、携帯もそれほど苦にならない。

 細かいスペックはこちらの記事に譲るが、本機は標準で512Mバイトのメインメモリ(PC2700対応)を実装し、最大1Gバイトまで搭載可能だ。ただ、メモリスロットには底面から簡単にアクセスできるが、スロット自体が1基しかないため、増設する際は出荷時のメモリモジュールが無駄になる点は覚えておきたい。

 HDDは1.8インチではなく2.5インチのParallel ATAドライブを採用している。先の分解記事でも触れたように、絶対的なサイズでは1.8インチドライブにかなわないが、2.5インチドライブは性能と容量、入手性の高さで有利だ。本体の分解作業が必要だが、いざとなればドライブを換装することも不可能ではない。パーティションはCとDドライブに分けられており(容量はどちらも16.7Gバイト/NTFS)、試作機では確認できなかったが不可視領域にリカバリイメージを用意し、外付けドライブを使わずにリカバリが行える仕様だ。

ACアダプタは比較的小ぶりで、携帯性は悪くない(写真=左)。メモリスロットには底面から簡単にアクセスできるが、スロットは1基しかない(写真=右)。なお、標準バッテリーの重量は約175グラムだ

割り切りは必要だが、やはり8万9800円の価格は魅力

 いろいろと述べてきたが、タブレットPCやUMPCといった現状では“中途半端”なプラットフォームではなく、いさぎよくサブノートPCを目指したことには好感が持てる。入力環境や画面解像度などでどうしても割り切りは必要になるが、それらに妥協できるのであれば、本機の8万9800円という安価な価格は非常に魅力的だ。

 本機は同社の直販サイトのほか、従来のヨドバシカメラと上新電機に加え、新たにビックカメラとソフマップ、ベスト電器でも販売されるため、店頭で実機に触れる機会が増えている。まずは店頭で本機に触れ、工人舎の心意気を感じてほしい。現在、12月1日の発売までに同社の直販サイトで本機(SA1F00A)を予約すると、3000円でHDD容量を80Gバイトに増やせる記念キャンペーンを実施中だ(通常は1万円)。購入を考えているユーザーは同社のWebサイトをチェックするとよいだろう。

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