インテルは11月15日に、クアッドコアCPU「Core2 Extreme QX6700」「Xeon 5300」シリーズを発表。それにあわせて日本では製品発表会が行われた。吉田和正インテル代表取締役共同社長は、2006年におけるビジネス展開について「意味の深い年」と表現。「新しいアーキテクチャ」「CPUのデュアルコア化」「仮想化」を推し進めていった年であったと述べた。
また、これから先の展望についても、「テラ」コンピューティングにむけて研究開発を集中させていくと言明し、さらに「2010年には“テラ”から“ペタ”へ技術を革新させていく」と、今後4年間でペタクラスのパフォーマンスを実現していくと語った。
当日発表されたクアッドコアの具体的な紹介は、阿部剛士インテルマーケティング本部本部長が行った。その説明の中で、阿部氏は2006年におけるインテルの生産活動が好調さを示す数値として、65ナノメートルプロセスルールを採用したCPUの出荷が4600万個に達し、デュアルコアCPUの出荷も600万個に及んでいる事例を挙げて「インテルはデュアルコアの出荷実績をあげてきた」と述べている。その阿部氏は、クアッドコアCPUの出荷目標として、年内100万個、クアッドコアXeonに関しては2007年第2四半期までにデュアルCPU搭載サーバ市場の40%を占める予想を掲げた。
「ダイサイズは280平方ミリ」「構成トランジスタ数は5億8200万個」という具体的なスペックを紹介する阿部氏は、クアッドコアのXeonが発揮する性能について、「動作クロック3.60GHzのシングルコアXeonを1としたとき、性能で4.5倍、消費電力あたりの性能は4倍」になると、ともに大幅に向上しているとアピールした。また、阿部氏はCore2 Extreme QX6700について、ゲームユーザーや金融関係ユーザーなどの性能に対して敏感なユーザーに向けたCPUと紹介した上で、「Core2 Extreme QX6700は“Viiv”プラットフォームには対応するが、企業向けの“vPro”プラットフォームには対応しない」と、同じクアッドコアながらクライアントシステム向けのCPUはXeon 5300シリーズとは異なるセグメントを目指していることを示唆した。
発表会では、クアッドコアCPUのパフォーマンスをアピールするデモンストレーションも行われた。Xeon 5355を2基搭載したHPのワークステーション「xw8400 Workstation」では、ザイオソフトが開発した医療用画像処理ソフトを使って、「1000枚のCTスキャンデータを用いて人体3D画像モデルを構築してぐるりと回転させる処理」を実行。Xeon 5160を搭載したシステムが30秒台で行う構築処理を20秒で終わらせている。
Core2 Extreme QX6700を搭載したシステムでは、1080iのHD画質の動画を再生しながら、同じくHD画質の分割されたファイルのマージ編集と再エンコード処理を行うデモを実施。デュアルコアのCore2 Extreme X6800を搭載したシステムではCPU負荷が100%に達し、HD動画の再生ではコマ落ちが発生する状況で、Core2 Extreme QX6700を搭載したシステムは再生もスムーズで、なおかつ、CPUは20%のヘッドルームを確保している状況が紹介された。
発表会は「クアッドコアCPUはXeonをはじめとするハイエンドシステムに注力していく」というインテルのメッセージが目立つ内容になっていた。クライアント向けのCore2 Extreme QX6700も、その対応チップセットが最上位モデルのIntel 975Xのみであるなど、ハイエンド路線であることを感じさせる。2007年にはCore2 Quadの投入が予定されているが、阿部氏は「クライアントPC市場においてクアッドコアCPUが占める割合は1桁のパーセンテージになるだろう。2007年の少なくとも前半まではCore2 Duoが主流でありつづけると思う」という見通しを述べている。
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