“Vista待ち”のあなたは、大きな勘違いをしているいまPCを買うなら(ミドルレンジ編)(2/3 ページ)

» 2006年12月08日 01時40分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

スモールタワーPC「MR3100」でのWindows Vista

 デスクトップPCのミドルレンジとしてチョイスしたのは、CPUにCore 2 Duoも選択可能なスリムタワーPC「MR3100」だ。チップセットはVistaでの利用を意識して設計されたグラフィックス機能「GMA3000」を内蔵するIntel G965 Expressで、オンボードでも「Aero Glass」に対応できる。

 ちなみに今回は以前レビューで試用したシステム構成を流用した。Core 2 Duo E6600に1Gバイトのメモリ、グラフィックスカードにATI Radeon X1600Proと、いまならちょっとリッチなミッドレンジPCという位置付けだろうか。

 なお、3Dゲームをしない人ならオンボードグラフィックスという選択もあるので、オンボードとATI Radeon X1600Proの両方で動作をチェックしてみた。また、ディスプレイ解像度は17〜19インチディスプレイで一般的な1280×1024ドットに設定している。

 さて、Vistaのインストールは30分ほどで終了。RC1にはIntel G965 Express用のビデオドライバが含まれていないため、インテルのWebサイトからVista対応ドライバを入手してインストールした。これ以外のハードウェアに関しては、ATI Radeon X1600ProもあわせてRC1にすべてのドライバが含まれており、問題なく動作したのでそのまま利用している。なお、オンボードグラフィックスではドライバインストール後の再起動後に、ATI Radeon X1600ProではVistaインストール時に「Aero Glass」は自動的に有効になった。

オンボードグラフィックスを利用し、Vistaをインストールした直後のデバイスマネージャー。ディスプレイアダプタが「標準VGAグラフィックアダプタ」になっている以外、サウンドチップなども問題なく認識されている(画面=左)。オンボードグラフィックスで「Aero Glass」有効時の「Flip 3D」。描画はスムーズで透過効果も有効になっている事が判る(画面=右)

エクスペリエンス インデックスのスコアと実際の使用感をチェック

 次にVistaを使用するさいの快適度を示す1つの基準として「Windows エクスペリエンス インデックス」でチェックした。異なるのは「グラフィックス(Windows Aero のデスクトップパフォーマンス)」と「ゲーム用グラフィックス(3D ビジネス及びゲームグラフィックス パフォーマンス)」の2つ。これらのスコアに明確な基準は設けられていないが、現状においては最高5.9で3点以上が「Aero Glass」を快適に利用できる、とマイクロソフトが発表会などで述べている。「Aero Glass」の動作に関してはオンボードグラフィックスでも余裕があり、CPUのランクを少し落としても問題はなさそうだ。

オンボードグラフィックスとATI Radeon X1600Pro利用時のそれぞれの「Windows エクスペリエンス インデックス」。どちらも「Aero Glass」の快適利用の基準であるスコア「3」は余裕を持ってクリアしている

 では実際の操作感はどうだろうか。デスクトップ上での操作やVistaが標準で備えているソフトを利用する限り、内蔵グラフィックスとATI Radeon X1600Proの差異はほとんど感じない。「Aero Glass」の特徴的な機能である「Flip 3D」の動作も同様で、IE7をフルスクリーンウインドウで9つ開き、これをすべて最小化してから「Windows+TAB」キーを押しっぱなしにして「Flip 3D」で10回ループさせてみたが、要した時間はどちらもほぼ19秒となっており、描画自体にも変化はなかった。

 ただし、動画の再生では若干差が見られた。オンボードグラフィックスはビデオメモリとメインメモリを共有するためか、HDの動画再生(WMV HD 1440×1080ドット)を行うとCPU使用率に変化があった。もっとも、どちらも再生にはまったく問題はなく、再生ウインドウを振り回しても描画はきちんと追従する。若干オンボードグラフィックスのほうが追従性が悪い印象も受けるが、「印象を受ける」というレベルなので露骨に操作に影響するということはない。

左がオンボードグラフィック、右がATI Radeon X1600Pro利用時のWMV HD再生時のCPU使用率の変化。CPU使用率の違いははっきり分かる。もっともどちらの場合でも再生そのものにはまったく問題がないし、再生ウインドウをブンブン振り回してもコマ落ちはなかった

一般的な利用なら内蔵グラフィックスでも十分

 これらの結果を元に考慮すると、MR3100においてはヘビーな3Dゲームなどを楽しむ、デュアルディスプレイを利用する、といったことがない限り、オンボードグラフィックスで必要十分とも言える。例えば、グラフィックスカードを追加するよりはその分のコストでメモリをより多く搭載したほうがメリットは大きいだろう。

 また「Windows エクスペリエンス インデックス」のスコアから考察すると、CPUも試用機より下のCore 2 Duo E6300や同E6400辺りでも大きな問題なさそうだ。ガイドラインとしては、CPUはCore 2 Duo、メモリは1Gバイト以上で、あとは予算との兼ね合いになる。

 逆に、デュアルディスプレイ環境を構築したい人や、ヘビーな3Dゲームも楽しみたいのであれば、高い3D描画性能を持ちビデオメモリを256Mバイト搭載したATI Radeon X1600Proを選ぶことになるだろう。もちろん、安価な17インチ/1280×1024ドット表示の液晶ディスプレイでデュアルディスプレイを利用する場合は、「Aero Glass」で必要とされるビデオメモリは計算上128Mバイトとなるため、これが目的ならばNVIDIA GeForce 7300LE(ビデオメモリ128Mバイト)を選択しても間に合う。しかしより高解像度なディスプレイの低価格化も進んでいることを考慮すると、ビデオメモリがギリギリというのはちょっと不安だ。

 なおメモリ容量に関しても少し補足しておこう。ほぼクリーンインストール状態のOSを起動して、メモリの使用量が安定するように5分ほど経過した後にモニターしたところ、Windows XPでは物理メモリを250Mバイトほど、Aero Glassを有効にしたVistaでは440Mバイトほど消費しており、その差は約190Mバイトとなっていた。つまり、Windows XPと同じアプリケーションを利用するつもりであれば、余裕を持っていまの搭載容量+256Mバイト程度を見ておけば、VistaにしたらWindows XPの時よりもスワップが増えた、といった事態は避けられるだろう。

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