開放、共有、そして幸せになる――「FONジャパン La Fonera」“タダ”で幸せになるソフトウェアパラサイト(1/4 ページ)

» 2006年12月08日 14時52分 公開
[爪生聖,ITmedia]

 IT関連のメディアに携わる某編集者と、インスタントメッセンジャーで以下のような会話をした。

爪生 FONのサービス、日本でも始まったね。

編集G ああ、そうらしいですね。

爪生 で、いまだけルータが無料らしいんだよ。

編集G どうなんですかねえ、あれは。

爪生 とりあえず申し込んでみた。すぐ来たよ。早いねえ。

編集G ふーん、じゃあ明日、いやもう今日か、今日記事を掲載しましょう。

爪生 ……。

編集G 何か問題が?


無線LAN共有サービス「FON」上陸

12月9日まで専用無線ルータが0円で入手できる

 まずはじめに、FONが何者であるかの説明をせねばなるまい。FONはスペインで設立された無線LAN共有サービスで、同社が提供する専用無線ルータ「La Fonera」を家庭のLANに接続することにより、外部からアクセスポイントとして利用できるようにするものだ。簡単に言うと、自宅の無線LAN環境を他人に開放しているユーザーから、無料/有料でその帯域を借りる仕組み。

 このサービスのユニークな点はアクセスポイントの利用者および設置者に「Linus」「Bill」「Alien」の3つのプランが存在していることだ。名前の響きで直感的に「Linusがいいなぁ」と思うかもしれないが、いちおうそれぞれのプランが持つ特徴を見ておこう。

  • Linus: このプランでは自分のアクセスポイントを無償で開放する代わりに、他者のアクセスポイントも無償で利用できる。もしLinusが地表を覆い尽くせば、Linusは地球上のどこでも無料で無線LANが使えるというわけだ。オープンソースの代名詞、Linuxの作者であるLinus Torvaldsからとったと思われる。

  • Bill: 自分のアクセスポイントを設置し、それをAlienが利用した場合は利用額の50%を受け取ることができる。幸せをお金に換算したい人向け。マイクロソフトのBill Gatesからとったと思われる。

  • Alien: 自らはアクセスポイントを設置しないが、他者のアクセスポイントを有償で利用する。24時間利用可能なワンデーパスを3米ドル/ユーロで購入する。

 以上を見れば分かるように、FON自体の収入源は(La Fonera本体で収益をあげない限り)Alienが購入するワンデーパスからBillの取り分を引いたものになる。アクセスポイントの普及のためにはLinusがキーになるが、会社の収益はAlienに頼っているため、すべてのユーザーがLinusになるとサービスは破綻してしまう。世界はまだBillを必要としているのだ。なお、日本国内でのBillサービスの開始は現時点では未定。

 このサービスのインフラとなる専用ルータ「La Fonera」は、定価1980円と非常に安価でありながら、802.11b/gの無線LAN機能を搭載している。しかも、日本のサービスインを記念した12月9日までの5daysキャンペーンでは0円で提供されている。La FoneraはSSIDを2つ持っており、外部に公開するパブリックなアクセスポイントだけでなく、家庭内で利用するためのプライベートなアクセスポイントとしても利用できる。

 つまり、外出先で無線LANを使う予定がない人でも、無料で無線ルータが導入できるというメリットがあるわけだ。むむむ、これはちょっと幸せになれる気がする。ただ、無料といってもお金がまったくかからない、というわけではないので「予想外だ」などと驚かないようにしてもらいたい。FONの導入にあたっては以下のものが必要になる。

  • インターネット接続環境: 「FONを導入してLinusになるから今のプロバイダを解約しよう」などという考えは不可。FONはユーザのインターネット環境を利用して無線アクセスポイントを提供する。つまり、外部からの利用者はLa Foneraを通じてLANを経由し、ユーザ自身が契約しているインターネットへの接続を利用することになるのだ。また、プロバイダによっては契約者以外の利用を禁じている場合もあるので利用規約をよく読んでおこう。規約がわざと読みにくく書かれているからといって、正面からプロバイダに問い合わせても「ダメ」と言われてしまう可能性が高い。規約上はセーフでも面倒が嫌でそう答えたくなる相手の気持ちも分からなくはないが。

  • 送料/代引き手数料: 12月9日まで本体は無料だが、送料(630円)+代引き手数料(315円)の計945円がかかる。

  • FONメンバー(Fonero:フォネロ)登録: 購入に際してはFONのメンバー「Fonero」に登録する必要がある。ルータを送付する関係上、住所まできっちり登録しなければならない。

  • 無線LANカード: クライアント用の無線LANカードは付属しない。無線LANを利用するのであれば対応機器が別途必要だ。

 さて、公式サイトからLa Foneraを申し込んだら届くまでしばらく待とう。その間はアクセスポイントを提供していないためAlienとなる。

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