第2回 今シーズン注目のプリンタ6モデルをまとめてチェックダイレクト/単機能プリンタ06年モデル徹底攻略ガイド(1/2 ページ)

» 2006年12月12日 14時00分 公開
[榊信康,ITmedia]

 前回は、エプソン、キヤノン、日本HPが投入したA4ダイレクト/単機能プリンタの強化ポイントと最新ラインアップを紹介した。今回は、各メーカー注目の6モデルを予算別にカテゴリー分けして取り上げ、インプレッションをお届けしよう。各モデルの詳しい比較は、次回から行う予定だ。

予算3万円以下/ミドルハイクラスのプリンタを狙う

Colorio PM-D870(エプソン) 実売価格2万3000円前後

Colorio PM-D870

 Colorio PM-D870は、エプソンが今シーズン投入した唯一のA4ダイレクトプリンタ。インク滴を5種(1.5ピコ/2ピコ/6ピコ/13ピコ/20ピコリットル)のサイズに打ち分けるAdvaced-MSDT対応の新型プリントエンジンを搭載するとともに、操作パネルやメニュー構成を大幅に見直した意欲作だ。

 まずは操作パネルだが、ボタンを左から右へと移動しながら押すことで、電源オンから設定、印刷実行までが行えるようにレイアウトを工夫している。液晶モニタは3.5インチと大型化されたため、メニューの視認性は昨年のPM-D800(2.4インチ)よりも格段に向上した。ただし、複合機の上位モデルPM-T990とPM-A970とは異なり、液晶モニタは広色域タイプのPhoto Fine Ultraではなく、画像補正後の写真をプレビューできる「仕上がりView」機能は割愛されている。

 メニューは作業ステップが少なく、比較的あっさりとした作りだ。ただし、設定項目は非常に豊富なため、機能面での不足はない。画像処理エンジンのREALOIDを搭載したことで、ダイレクト印刷時の応答性が高速化されているのは好印象だ。印刷機能は複合機のPM-A920と同レベル。CD/DVDレーベル印刷機能や、デジタルカメラで撮影した動画ファイル(Motion JPEG、MPEG-1)を12コマ割り付け印刷できる機能、携帯電話と赤外線通信してメールを送るような操作感で写真上に文字入力が行える機能などが用意されている。

 給紙機構は背面トレイのみで、前面からの給紙は行えない。前面のUSB 2.0ポートは、デジタルカメラからのダイレクト印刷だけではなく、外部ストレージデバイスとの接続が可能だ。これにより、データのバックアップや外部機器からの印刷にも対応する。

 昨年のPM-D800は「PCレスでも運用可能」というコンセプトが発展途上にあるように思えたが、PM-D870の完成度ならば素直に頷ける。軽快なメニュー動作、液晶モニタの視認性、データ処理の速さなど、いずれを取っても不満がない。何より、REALOIDのおかげでハーフトーン処理がPCからの印刷と同等になったため、画質を気にしてダイレクト印刷を避ける必要がなくなったのは、昨年と大きな違いだ。

PIXUS iP6700D(キヤノン) 実売価格3万円前後

PIXUS iP6700D

 PIXUS iP6700Dは、iP6600Dの後継モデルにあたるA4ダイレクトプリンタだ。モデルチェンジの目新しさはほとんどなく、カラーが一部変わったくらいしか変更点は見られない。名前変われど、中身変わらずといったところだが、この中身がよくできている。

 何がよいかというと、スタンドアロン時の操作性だ。昨今の複合機やダイレクトプリンタはとにかく多くの機能を詰め込んでいるため、操作が煩雑になりがちだが、iP6700Dは機能のグループ化が適切で、各機能の所在を把握しやすい。また、メニューの表示についても、アイコンと機能の簡易説明が画面の半分ずつを占めているので、初心者でも操作に迷うことは少ないだろう。液晶パネルは3.5インチと大きめなので、視認性も良好だ。今年の同社の複合機はホイール型インタフェースのEasy-Scroll Wheelを特徴としているが、iP6700Dはこれを搭載していない。しかし、ホイールがなくても快適に使えるのだ。

 プリントエンジンは6色染料構成で、フォトシアン(Pc)とフォトマゼンタ(Pm)のインクに1ピコリットルと5ピコリットルのノズルを搭載しているのが特徴だ。高速、高画質をもって鳴らしたエンジンだけに、一年を経ても衰えた印象はない。ただし、相対評価となると、今年はエプソンがエンジンにかなり力を入れてきたため、遅れを取っている面もある。L判はともかく、A4サイズになると、その差が現れる場面も出てくる。

 とはいえ、2Way給紙機構や自動両面印刷、CD/DVDレーベル印刷に対応しながら、ボディを大きすぎないサイズかつスタイリッシュにまとめている点や、操作の平易さは魅力だ。

HP Photosmart D7360 Printer(日本HP) 実売価格2万3000円前後

HP Photosmart D7360 Printer

 HP Photosmart D7360 Printerは、日本HPのA4フォトプリンタでは最上位に位置するモデルだ。量販店(ヨドバシカメラ、ビックカメラ)で扱われるダイレクト機となっている。

 最大の特徴は、他機種と異なる操作性だ。タッチパネル式の液晶モニタを搭載しているため、画面に直接指で触れるだけで各種の作業が行える。単純に考えてもカーソルの移動を省略できるぶんだけ、操作手順を簡略化できるわけだから、これほど直感的に扱えるインタフェースはない。液晶パネルは3.4インチと大きめで視認性は良好だ。キオスク端末風メニューのHP Photosmart Expressは同社のほかのモデルでも採用しているが、D7360では「ホーム」や「戻る」などのボタンも画面内のメニューに収めている。煩雑なボタン操作が不要で、操作の大半が液晶モニタの中だけで完結するため、使いやすさが格段に違う。

 ただし、ダイレクト印刷の機能は豊富とは言い難い。設定項目がシンプルなのはよいが、ここまで大掛かりなメニューを用意したならば、機能も拡充してほしかったところ。たとえば、L判、2L判、はがきへの印刷は1コマのフチなし印刷しか行えないため、周辺を断ち切りたくない場合は困る。ページ辺りのコマ数とフチの有無などの選択肢は必要だろう。A4サイズに関しては不満はなく、インデックス、4コマ、3コマ、2コマ、1コマフチあり、1コマフチなしなどのレイアウトを用意している。L判やはがきに対して、意図通りに印刷したいならば、PCから印刷するのがベターだ。

 プリントエンジンは染料6色インク構成のSPT(スケーラブル・プリンティング・テクノロジー)を採用し、ヘッドクリーニング時の無駄なインク消費をなくすAAM(アクティブ・エアー・マネジメント)機構も備える。先進的なプリントエンジンではあるが、最小インク滴が5ピコリットルと他社に比べて大きいこともあり、粒状感は若干ある。

 CD/DVDレーベル印刷は行えないが、前面2系統の給紙トレイを持つ前面給排紙機構や、用紙種別と用紙サイズの自動認識機能、オプションながら自動両面印刷に対応するなど、ペーパーハンドリングのよさは見逃せない。iPod写真プリントの機能もポイントだ(iPodの対応機種はこちら)。

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