第4回 プリンタ6モデルのスピードを検証するダイレクト/単機能プリンタ06年モデル徹底攻略ガイド(1/2 ページ)

» 2006年12月14日 15時30分 公開
[榊信康,ITmedia]

 家庭向けのインクジェットプリンタは、ビジネス向けのレーザープリンタほどスピードは重視されない。かつては高画質なら低速でも許されるという風潮さえあった。しかし、昨今では各社ともプリンタの高速化に努めており、印刷速度は製品選びで見逃せない要素になっている。そこで今回は、エプソン、キヤノン、日本HPが投入したA4ダイレクト/単機能プリンタの注目モデルを一堂に会し、印刷速度を計測した。取り上げる製品は前回と同様、以下の6モデルだ。予算3万円/ミドルハイクラス、予算2万円/ミドルレンジクラスの2つの価格帯に分けて、製品をセレクトしている。各モデルの製品概要とインプレッションは第2回、各種機能の比較は第3回を参照してほしい。

本特集で検証するA4プリンタ
予算3万円以下/ミドルハイクラス
Colorio PM-D870 エプソン ダイレクトプリンタ 2万3000円前後
PIXUS iP6700D キヤノン ダイレクトプリンタ 3万円前後
HP Photosmart D7360 Printer ダイレクトプリンタ 日本HP 2万3000円前後
予算2万円以下/ミドルレンジクラス
Colorio PM-G850 エプソン 単機能プリンタ 1万8000円前後
PIXUS iP4300 キヤノン 単機能プリンタ 1万8000円前後
HP Photosmart D7160 Printer ダイレクトプリンタ 日本HP 1万4910円

左から、PM-D870、iP6700D、D7360

左から、PM-G850、iP4300、D7160

 各印刷テストでは、プリンタドライバおよびダイレクト印刷時の色調補正に関する項目をすべてデフォルトに設定している。そのほかの計測時の条件は、各項目を参照してほしい。


PCからA4モノクロ文書を印刷

 各プリンタとPCを付属のUSBケーブルで接続し、JEITA規格のプリンタ用標準テストパターン「JEITA J1」(A4モノクロ文書)をMicrosoft Office Word 2003からA4普通紙に印刷した。計測時間は、紙送りが始まる瞬間から、排紙が完了するまでの瞬間だ。実際は、PCで印刷開始を実行してから、紙送りが開始されるまで数秒かかる。プリンタドライバの印刷設定は、最速、最速の1つ上、最速の2つ上という3種類にセットした。D7360とD7160は、用紙種類、サイズ、給紙場所を自動ではなく、手動で設定した。自動設定だと用紙の認識時間が加わるため、印刷時間は少し延長する可能性がある。

PCからA4モノクロ文書を印刷
用紙 レベル1 レベル2 標準
PM-D870 普通紙 3秒72 3秒72 17秒66
PM-G850 普通紙 3秒75 3秒73 17秒85
用紙 品位5 速い 標準
iP6700D 普通紙 5秒28 7秒70 15秒88
iP4300 普通紙 2秒83 3秒98 5秒38
用紙 はやい最速 はやい標準 きれい
D7360 普通紙 6秒30 6秒91 8秒04
D7160 普通紙 6秒37 6秒95 8秒43
PCのテスト環境
CPU Core 2 Duo T5500(1.66GHz)
チップセット Intel 945GM Express
メモリ DDR2 SDRAM 512Mバイト(PC2-4200)
HDD HGST HTS541210H9SA00(5400rpm)
グラフィックス Intel 945GM Express内蔵
OS Windows XP Professional(SP2)

 計測結果は、ノズル数を増強したiP4300が2秒台と非常に高速で、もっとも遅い製品に2倍以上の差をつけた。次に続くのが、PM-D870とPM-G850で、いずれも3秒台後半で給紙から排紙を終えている。iP6700Dは5秒台前半、D7360とD7160は6秒台半ばだ。PM-D870とPM-G850は、レベル1とレベル2の設定で印刷時間が変わらないが、印刷品質も違いが判別できなかった。なお、資料の配布などを考慮し、ある程度の印刷品質を求める場合、どの製品も最速から2つ上の設定がよい。この場合も、iP4300が5秒台前半でほかを大きくリードしている。

PCからL判写真を印刷(フチなし/フチあり)

 各プリンタとPCを付属のUSBケーブルで接続し、画像ファイルをAdobe Photoshop Elements 4.0からL判サイズに印刷した。印刷した画像は、約1.8Mバイト/約600万画素のJPEGファイルだ。使用した用紙はすべてメーカー純正の写真用紙。エプソンのPM-D870とPM-G850は「写真用紙クリスピア」、キヤノンのiP6700DとiP4300は「プロフェッショナルフォトペーパー」、日本HPのD7360とD7160は「アドバンスフォト用紙」を使用した。日本HPは、色域と耐光性に優れたプレミアムプラスフォト用紙も発売しているが、D7360とD7160は速乾性と耐水性の高いアドバンスフォト用紙が推奨のメディアで、プリントエンジンもこれに最適化されている。

 プリンタドライバの画質設定は、最高品質、最高品質の1つ下、最高品質の2つ下という3種類を選んだ。より高速に出力することも可能だが、写真印刷の品質を考えると、実際は標準以上の設定にするのが無難だ。以下の表では、左から、最高品質の2つ下、最高品質の1つ下、最高品質の順番に結果を並べている。また、4辺フチなしと、フチありの2パターンで印刷を試した。

PCからL判写真を印刷(フチなし)
用紙 標準 きれい きれい(双方向オフ)
PM-D870 写真用紙クリスピア 27秒18 1分47秒95 3分06秒50
PM-G850 写真用紙クリスピア 27秒67 1分48秒34 3分07秒03
用紙 標準 きれい 品位1
iP6700D プロフェッショナルフォトペーパー 41秒73 53秒81 2分02秒22
iP4300 プロフェッショナルフォトペーパー 31秒18 49秒73 2分24秒77
用紙 きれい 高画質 最大dpi
D7360 アドバンスフォト用紙 23秒45 49秒92 58秒20
D7160 アドバンスフォト用紙 22秒26 50秒12 59秒20

PCからL判写真を印刷(フチあり)
用紙 標準 きれい きれい(双方向オフ)
PM-D870 写真用紙クリスピア 25秒11 1分24秒14 2分25秒88
PM-G850 写真用紙クリスピア 25秒12 1分24秒98 2分25秒90
用紙 標準 きれい 品位1
iP6700D プロフェッショナルフォトペーパー 29秒03 42秒65 1分38秒89
iP4300 プロフェッショナルフォトペーパー 24秒56 37秒52 1分56秒61
用紙 きれい 高画質 最大dpi
D7360 アドバンスフォト用紙 21秒66 47秒57 53秒45
D7160 アドバンスフォト用紙 21秒44 45秒74 52秒04

 総合的に、SPTプリントエンジンを搭載したD7360とD7160が高速だった。最高品位から2つ下の設定ではエプソンの2モデルが有利、最高品位から1つ下の設定ではキヤノンの2モデルが有利な結果となっている。画質に配慮するならば、どのモデルも最高品位の1つ下の設定がおすすめだ。最高品位の印刷結果と画質を見比べても、差はほとんどない。エプソンとキヤノンのモデルは、最小インク滴が小さく、インク滴打ち分けの精度が高いこともあり、最高品位から2つ下の設定でも粒状感は気にならないレベルだ。日本HPのモデルは、最高品位から2つ下の設定では比較的ドットが見えやすいため、長期保存や配布を考えると、最高品位から1つ下の「高画質」設定がよい。

 参考までに、D7360ではプレミアムプラスフォト用紙の4辺フチなし印刷時間も計測してみた。「きれい」で1分20秒30、「最高画質」で1分35秒74、「最大dpi」で1分45秒61と、推奨のアドバンスフォト用紙よりかなり低速になるが、発色にこだわるならば試してみる価値はある。

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