昨今では、家庭向けインクジェットプリンタの画質競争は一段落し、どのモデルを選んでも印刷品質が悪いと感じるようなことはなくなった。各メーカーは、画質以外の要素に注力している状況だ。しかし、言うまでもなく、画質はプリンタ選びで非常に重要なポイントとなる。
そこでA4ダイレクト/単機能プリンタ特集の最終回は、エプソン、キヤノン、日本HPの新製品から注目モデルを集め、印刷品質を比較した。テストした製品は前回と同じ6モデルだ。予算3万円以下/ミドルハイ、予算2万円以下/ミドルレンジの2つのクラスに分けて、製品を選んでいる。各モデルの製品概要とインプレッションは第2回、各種機能の比較は第3回、印刷速度の比較は第4回を参照してほしい。
本特集で検証するA4プリンタ | |||
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予算3万円以下/ミドルハイクラス | |||
Colorio PM-D870 | エプソン | ダイレクトプリンタ | 2万3000円前後 |
PIXUS iP6700D | キヤノン | ダイレクトプリンタ | 3万円前後 |
HP Photosmart D7360 Printer | 日本HP | ダイレクトプリンタ | 2万3000円前後 |
予算2万円以下/ミドルレンジクラス | |||
Colorio PM-G850 | エプソン | 単機能プリンタ | 1万8000円前後 |
PIXUS iP4300 | キヤノン | 単機能プリンタ | 1万8000円前後 |
HP Photosmart D7160 Printer | 日本HP | ダイレクトプリンタ | 1万4910円 |
画質のテストは、各モデルで同じ画像ファイルを印刷し、それらを見比べるというものだ。いずれもPC上のプリンタドライバから、最高品位の設定で印刷を行った。色補正については、すべてデフォルトの設定だ。印刷に使った用紙は、メーカー純正の最高品質メディア。エプソンのPM-D870とPM-G850は「写真用紙クリスピア」、キヤノンのiP6700DとiP4300は「プロフェッショナルフォトペーパー」、日本HPのD7360とD7160は「アドバンスフォト用紙」を使用している。
以下は各モデルの印刷サンプルを1200dpiでスキャンし、PNGファイルに変換したものだ。各縮小画像をクリックすると、1200dpiでスキャンした画像データの一部が実寸表示される。各画像サイズは1024×768ドットと大きいので注意してほしい。実際の印刷サイズは幅56ミリ、高さ85ミリと小さく、虫眼鏡を使ってもこれほど拡大されて見えることはないが、細部の描写の違いを確認するため、参考までに掲載した。各印刷サンプルを凝視しても、このように粒状が目立つことはなく、見た目の印象としては縮小表示に近い。
各印刷サンプルはカラースペースがsRGBの環境で見た目の傾向が最も近くなるが、表示される画像は実際の印刷サンプルよりも色域が狭くなっている(実際の印刷サンプルはより鮮やかな発色になる)ため、色再現性は正確ではない。また、表示するPC環境の違い、とくにディスプレイの違いによって画像の見た目が大きく変化することから、掲載した印刷サンプル画像はあくまで各モデルの傾向を相対的に判断するための参考で、評価は各縮小画像のキャプションを確認してほしい。実際の印刷品質は、店頭でチェックするとよいだろう。
なお、D7360とD7160のプリントエンジンはアドバンスフォト用紙に最適化されているが、日本HPの純正写真用紙にはプレミアムプラスフォト用紙もある。プレミアムプラスフォト用紙は速乾性でアドバンスフォト用紙に劣り、印刷速度が低下するものの、色域が広く、耐光性100年以上をうたっている。アドバンスフォト用紙とプレミアムプラスフォト用紙における画質傾向の違いは、複合機特集の第5回を参照してほしい。
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