第5回 プリンタ6モデルの印刷品質を比較検証するダイレクト/単機能プリンタ06年モデル徹底攻略ガイド(1/2 ページ)

» 2006年12月15日 11時20分 公開
[榊信康,ITmedia]

 昨今では、家庭向けインクジェットプリンタの画質競争は一段落し、どのモデルを選んでも印刷品質が悪いと感じるようなことはなくなった。各メーカーは、画質以外の要素に注力している状況だ。しかし、言うまでもなく、画質はプリンタ選びで非常に重要なポイントとなる。

 そこでA4ダイレクト/単機能プリンタ特集の最終回は、エプソン、キヤノン、日本HPの新製品から注目モデルを集め、印刷品質を比較した。テストした製品は前回と同じ6モデルだ。予算3万円以下/ミドルハイ、予算2万円以下/ミドルレンジの2つのクラスに分けて、製品を選んでいる。各モデルの製品概要とインプレッションは第2回、各種機能の比較は第3回、印刷速度の比較は第4回を参照してほしい。

本特集で検証するA4プリンタ
予算3万円以下/ミドルハイクラス
Colorio PM-D870 エプソン ダイレクトプリンタ 2万3000円前後
PIXUS iP6700D キヤノン ダイレクトプリンタ 3万円前後
HP Photosmart D7360 Printer 日本HP ダイレクトプリンタ 2万3000円前後
予算2万円以下/ミドルレンジクラス
Colorio PM-G850 エプソン 単機能プリンタ 1万8000円前後
PIXUS iP4300 キヤノン 単機能プリンタ 1万8000円前後
HP Photosmart D7160 Printer 日本HP ダイレクトプリンタ 1万4910円

L判写真印刷の画質(メーカー純正写真用紙/最高品質設定)

 画質のテストは、各モデルで同じ画像ファイルを印刷し、それらを見比べるというものだ。いずれもPC上のプリンタドライバから、最高品位の設定で印刷を行った。色補正については、すべてデフォルトの設定だ。印刷に使った用紙は、メーカー純正の最高品質メディア。エプソンのPM-D870とPM-G850は「写真用紙クリスピア」、キヤノンのiP6700DとiP4300は「プロフェッショナルフォトペーパー」、日本HPのD7360とD7160は「アドバンスフォト用紙」を使用している。

 以下は各モデルの印刷サンプルを1200dpiでスキャンし、PNGファイルに変換したものだ。各縮小画像をクリックすると、1200dpiでスキャンした画像データの一部が実寸表示される。各画像サイズは1024×768ドットと大きいので注意してほしい。実際の印刷サイズは幅56ミリ、高さ85ミリと小さく、虫眼鏡を使ってもこれほど拡大されて見えることはないが、細部の描写の違いを確認するため、参考までに掲載した。各印刷サンプルを凝視しても、このように粒状が目立つことはなく、見た目の印象としては縮小表示に近い。

 各印刷サンプルはカラースペースがsRGBの環境で見た目の傾向が最も近くなるが、表示される画像は実際の印刷サンプルよりも色域が狭くなっている(実際の印刷サンプルはより鮮やかな発色になる)ため、色再現性は正確ではない。また、表示するPC環境の違い、とくにディスプレイの違いによって画像の見た目が大きく変化することから、掲載した印刷サンプル画像はあくまで各モデルの傾向を相対的に判断するための参考で、評価は各縮小画像のキャプションを確認してほしい。実際の印刷品質は、店頭でチェックするとよいだろう。

PM-D870:自動色補正のオートフォトファイン!EXは人物写真に強いが、このサンプルでは色彩が少し沈んだ。ただし、細部の解像力と再現性は非常に高く、金属の鈍い光沢にも粒状がない
iP6700D:彩度が高く、全体的にあっさりとした発色。黒の締まりは不足気味だが、果物やワインの微妙なシャドー階調が自然に描けているのは好印象だ。目を近づけても粒状は気にならない
D7360:全体的にコントラストが強調されているため、第一印象は悪くない。他機種と比べると、ハイライトは少し飛び気味、シャドーは潰れがちだ。凝視すると、果実などに粒状が見られる

PM-G850:D870と同様、色彩が少し沈んだ印象で、マゼンタのカラーバーは紫色に近くなった。描写力は優れており、陰影や金属の質感がよく表現されている。つぶさに見てもドットがない
iP4300:シャドーが沈み、彩度が高いため、見栄えがする。トランプや金属は印象がよいが、ワインボトルは少々平坦だ。粒状は明暗部にわずかにあるが、凝視しなければ判別できない
D7160:明暗差が強い描写はD7360より少し緩和されている。D7360とドライバのチューニングを変えているのかもしれない。グラスやワインボトルのハイライト部に粒状のざらつきがある

 なお、D7360とD7160のプリントエンジンはアドバンスフォト用紙に最適化されているが、日本HPの純正写真用紙にはプレミアムプラスフォト用紙もある。プレミアムプラスフォト用紙は速乾性でアドバンスフォト用紙に劣り、印刷速度が低下するものの、色域が広く、耐光性100年以上をうたっている。アドバンスフォト用紙とプレミアムプラスフォト用紙における画質傾向の違いは、複合機特集の第5回を参照してほしい。

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