性能アップで価格はダウン!? のモバイルPC──デル「XPS M1210」ダイレクトPC最前線(1/2 ページ)

» 2006年12月22日 10時00分 公開
[兼子忍,ITmedia]

 デルの個人向けプレミアムブランド「XPSシリーズ」において、最小・最軽量モデルが「XPS M1210」である。12.1インチのワイド液晶を搭載したモバイルユース対応PCで、同社おなじみのBTOを駆使して、細かく仕様をカスタマイズできるのが特徴だ。

 本機の詳細なレビューはすでにこちらでお伝えしているが、BTOの選択肢が更新され新たにCore 2 Duoなどが選べるようになった。これにより、さらなる高性能の獲得に成功している。ここでは、現行製品に加わった新要素を中心に見ていこう。

最新パーツの導入により、パワフルな構成が選択可能に

デルの個人向けPCでもっとも小柄なXMS M1210

 BTO対応モデルの魅力の1つが、最新アーキテクチャをいち早く反映したPCを入手できる点だ。本機が発表された当初、Core Duo T2500(2.0GHz)と同T2300(1.66GHz)およびCeleron M 420(1.6GHz)、同410(1.46GHz)の4種類が用意されたCPUは、現行のBTOメニューではCore 2 Duo T7200(2.0GHz/L2キャッシュ4Mバイト)と同T5500(1.66GHz/L2キャッシュ2Mバイト)、Celeron M 430(1.73GHz)の3種類に整理され、ハイスペック、ミドルレンジ、ローエンドと選び分けられるようになった。

 どの選択肢も発売当初に比べ性能は向上しているが、パフォーマンスを最重視する上級者にとって、4Mバイトの2次キャッシュを搭載したCore 2 Duoが用意された点は、うれしいところだろう。

 HDD(Serial ATA)の選択肢には5400rpmの160Gバイトドライブが追加された。モバイルノートながらパフォーマンス重視の構成を選べる本機は、必要に応じて持ち歩くことも可能なメインマシンというマルチプレーヤーにもなりうるだけに、使い勝手を格段に向上できる大容量HDDは心強い。なお、ゲームを快適に楽しみたいユーザーは、7200rpmの100Gバイトまたは80Gバイトのドライブを選択するといいだろう。

 メモリは最小で512Mバイト、最大で4Gバイトまでを搭載可能で、512Mバイト選択時に実装方法をシングルチャネルとデュアルチャネルから選択できる。容量や選択肢は発表当初から変わっていないが、動作クロックはCore 2 Duoの採用に伴ってDDR2 677MHzに一本化された。2007年1月30日のWindows Vista登場を目前に控えて、今購入するならばメモリはなるべく豊富に搭載しておくのが望ましい。512Mバイトを選択するなら、デュアルチャネル構成(256Mバイト×2枚)でパフォーマンスの向上を狙うより、あえてシングルチャネル構成を選んで増強の余地を残しておくのも手だ。

2.5インチHDDは左パームレスト直下にある(写真=左)。そのうえにはExpressカード54/34対応のスロットがある。ACアダプタはサイズが58(幅)×137(奥行き)×28(高さ)ミリで重量が約360グラムと大柄なのが難点(写真=中央)。ちなみに、電源ケーブルは2ピンタイプだ。液晶ディスプレイ上部にLogitech製のWebカメラを搭載できるのも特徴の1つである(写真=右)

エスケイネットのワンセグチューナーカードで、Expressカードでの供給は現時点でデルだけだ

 さらに細かな変更点としては、無線LANモジュールがインテル製(Intel Pro/Wireless 3945ABG)のみに絞られ、デルブランドのモジュールが削除された点と、9セルバッテリーの容量が80ワットアワーから85ワットアワーに強化された点が挙げられる(標準の6セルバッテリーの容量は53ワットアワーに据え置き)。

 エンターテインメント性能を向上するオプションには、USB接続のアナログTVチューナーユニットと、Expressカードのエスケイネット製ワンセグチューナーユニット「MonsterTV 1D Expressカード for DELL」が加わった。ワンセグ放送は解像度が320×240ドットまたは320×180ドットと粗く、受信地域が限られるが、気軽にTV番組を見られるので重宝する。本機をモバイルノートとして利用し、かつ予算にも余裕があるなら、ぜひ追加を検討してほしいアイテムだ。対応機種が本機のほかInspiron 6400/640m/1501/1300に限られるが、既存のユーザーが本カードを追加購入できるのも見逃せない。

Core 2 Duoを搭載した最新モデルの性能を検証

 では、Core 2 Duoを搭載した最新のXPS M1210が持つパフォーマンスをベンチマークテストにより明らかにしていこう。テストに使用した実機のスペックは下記の通りで、ベンチマークプログラムにはPCMark05と3DMark05、そしてFINAL FANTASY XI for Windowsオフィシャルベンチマークソフト 3を使った。

ベンチマークテスト
項目 最新機 前回評価機
CPU Core 2 Duo T7200(2.0GHz) Core Duo T2400(1.83GHz)
メモリ 1GB(DDR2-667MHz) 1GB(DDR2-533MHz)
HDD 80GB(5400rpm) 同左
グラフィックス GeForce Go 7400 TurboCache 同左
PCMark05
PCMark 3896 3424
CPU 5092 4243
Memory 3882 2876
Graphics 2361 2250
HDD 2883 2939
HDD - XP Startup 5.710 5.773
Video Encoding 366.245 286.638
Image Decompression 28.171 21.800
WMV Video Playback 50.271 38.934
3DMark05(1024×768ドット/nonAA/nonAniso)
3DMark Score 2068 2055
FFXI Bench 3
低解像度 7542 6856
高解像度 4534 4206

 いずれの結果もCore 2 Duoを搭載した最新モデルが良好なスコアを記録しており、確実にパフォーマンスが上がっているのが分かる。ただ、1つ気掛かりなのがCPUの発熱だ。発売当初に搭載されていたCore Duo(Yonah)のTDPが31ワットだったのに対し、現在選択できるCore 2 Duo(Merom)のTDPは34ワットと、わずかながら発熱量が増加しているからだ。

吸気口が底面にあるので設置場所には気を配りたい

 そこで、システムに高い負荷のかかるベンチマークテストの実行中に、ファンノイズの具合と本体の発熱状況を確認した。排気口がユーザーに近い左側面の中央に置かれたこともあって、冷却ファンが高速回転している間は大きめの風切り音が聞こえてきたが、高音成分が少ないためか、それほど耳障りに感じることはなかった。

 ただし、排気はかなり熱を持つほか、HDDのカリカリという動作音は一般的なノートPCより大きく、ファンの風切り音よりこちらの方が耳に付く印象だった。今回の評価機は、大きな熱源となるグラフィックスチップにNVIDIA GeForce Go 7400 TurboCahce(ローカルメモリは64Mバイト)を内蔵しており、BTOでチップセット内蔵(Intel 945GM Express)に変更すれば、もう少しファンの風切り音を抑えられる可能性がある。

 なお、ファンが高速回転している状態で、パームレストやキーボード、タッチパッドに触れてみたところ、ほんのりと温まる部分はあっても、不快感を覚えるほど発熱する部分はなかった。長文の入力やビジネス文書の作成、ゲームプレイなど、本体に長時間触れる場合でも、発熱が気になる心配はなさそうだ。もっとも、長時間にわたって使用し続けていると、ボディ全体が熱を帯びる傾向にある。

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