前回は各マザーボードの概要をお伝えしたが、今回から各部を細かく見ていくことにしよう。マザーボードの性能を比較する上で大事なポイントがいくつか存在する。そのなかからこの短期集中横並びレビューでは以下の項目に着目する。
(1)オンボードデバイスの種類と性能
(2)マザーボードに使用されているパーツの品質
(3)CPUに電源を供給するための、電源回路の品質
(4)BIOS設定の自由度とオーバークロック設定
(5)パフォーマンス
(6)パッケージに含まれる付属品
(7)マニュアルの分かりやすさ。日本語での解説など
(8)付属ユーティリティソフトの使い勝手と有用度
まずは、オンボードデバイスに注目してみよう。ミドルレンジのマザーボードにおいて、オンボードデバイスの豊富さをとるか機能は減ってもマザーボードの品質が高級(例えば使っているコンデンサや電源回路のフェーズ数など)であるのがいいのかというトレードオフになる。両方とも実現できている製品は、価格帯的にハイエンドモデルとなってしまうからだ。
7ポート用意されたSerial ATAのうち、6ポートはサウスブリッジICH8Rがコントロールするポートで、残りの1ポートはJMicronのJMB363 Serial ATA/Ultra ATAコントローラが制御する。Ultra ATA/133に対応したIDEポートもこのJMB363がサポートしている。
Intel 965シリーズのサウスブリッジであるICH8、もしくはICH8Rは、Ultra ATAのコントロールをサポートしていない。依然として光学ドライブをUltra ATAで接続することが多い現状では、IDEインタフェースをサポートするため、ICH8、ICH8Rのほかに、専用のコントローラチップとしてJMicronのSerial ATA/Ultra ATAコントローラを搭載するケースが多い。今回取り上げているほかの2製品も同じチップを実装してIDEインタフェースを使えるようにしている。
P5B-E Plusでは、背面のインタフェースパネルに用意された外部接続用のe SATAポートも、制御用チップとしてJMB363が利用されている。以上、すべてを含めるとP5B-E Plusには合計で8つのSerial ATAポートが用意されている。
オーディオのコーデックチップは、ADIの「AD1988A」を搭載している。これは、7.1ch HDオーディオとなっており、背面のインタフェースパネルには、光と同軸のSPDI/Fポートが用意されている。ネットワークコントローラは、MarvellのギガビットLANを搭載。USB 2.0はインタフェースパネルに4ポートあるほかに、同梱されてる拡張用コネクタで6ポートが利用可能なので合計10ポート用意されている。IEEE 1394aも搭載しており、インタフェースパネルにポートが設けられている。
GA-965P-DS4には、Serial ATAポートが8つ用意されている。このうち6ポートは、ICH8Rが制御するが、残りの2つはSerial ATAとUltra ATAのコントローラとして搭載されている専用チップの「GIGABYTE SATA2」がサポートするものだ。このコントローラチップは、GIGABYTEオリジナルのように見える。OSからは「Gigabyte GBB36X Controller」というデバイス名で認識されているが、ドライバを提供するベンダーはJMicronとなっている。“GBB36X”という名称や、2ポートのSerial ATAポートが利用できるあたりから、JMicron JMB363の同等品と考えられる。eSATAポート用の拡張ブラケットが付属するが、内部のSerial ATAポートに接続して利用する方式なので、内部SATAと外部SATAは排他利用となる。
オーディオコーデックは、Realtek ALC883で、MSI P965 Platinumと同様に7.1 ch.出力に対応する。背面のインタフェースパネルからの出力は。8つのアナログポートと、光と同軸のSPDI/F出力ポートとなっている。USBポートは、インタフェースパネルの4ポートと拡張ブラケットの6ポートが利用可能で、合計10ポート用意されている。ネットワークは、Marvellの88E8053で、P5B-E Plusが搭載する88E8056と同シリーズのギガビットLANコントローラだ。
今回用意した3種類のマザーボードの中で、GA-965P-DS4だけが、PCI-Express X16スロットを2本搭載している。しかし、2本同時に使用すると、片方はX4動作となってしまうため、注意が必要だ。
P965 Platinumは、低価格ながらもMSIのIntel P965マザーのハイエンドモデルらしく、豊富なオンボードデバイスを搭載している。
Serial ATAポートは、ICH8Rが制御するものが6ポートと、JMicronのJMB361が制御するものが1ポートの合計7ポート実装している。ASUSのP5B-E Plusと同じ構成だ。P5B-E Plusが搭載するSerial ATA/Ultra ATAコントローラJMB363とJMB361の違いはサポートするSerial ATAのポート数で、JMB361が1ポート、JMB363が2ポートとなっている。ただし、P5B-E Plusでも、JMB363がコントロールしているSerial ATAは1ポートのみなので、マザーボードとしての実質的な違いはない。
オーディオコーデックは、Realtek ALC883を搭載しており、7.1ch出力に対応している。ここで取り上げているほかの2製品と同様に、背面のインタフェースパネルに、光と同軸の2つのSPDI/F出力端子を装備している。
USB 2.0は、背面インタフェースパネルに4ポートと、ピンヘッダに接続する拡張ブラケットで2ポートが使用可能なため、合計6ポートとなる。IEEE 1394aをオンボード搭載しているが、インタフェースパネルにはポートが用意されていないので拡張ブラケットを利用しなければならない。ネットワークコントローラは、Realtek RTL8111Bを搭載していて、ギガビットLANに対応する。
なお、PCI-Express X16スロットが2本あるように見えるが、黄色いスロットははPCI-Express Liteとなっており、PCI-Express x4として動作する。
3種類のマザーボードのオンボード機能は、基本的にはどれもフル装備に近い状態であり、大きな差はない。強いて言えば、MSIのP965 PlatinumのPATA/SATAコントローラが違っていることで、チップとしてサポートするSerial ATAポートが1ポート少ないということくらいである。このことがマザーボード選びの決定的要因となることはないだろう。
拡張スロットに関しては、3製品ともPCI-Express X16が1スロットと、PCI-Express X4/同 X1の組み合わせで共通だ。P5B-E Plusのみ、PCIスロットが3本用意されているので、ほか2製品より1本多い。PCIの拡張カードを2枚以上利用したい場合には、P5B-E Plusを選ぶことになるだろう。
次回は、マザーボードに実装されているコンデンサや回路の品質について比較してみたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.