それでは、CG-WLBARGE-Pの性能をチェックしよう。今回のテストでは、FTPサーバからクライアントPCにファイルをダウンロードする速度を計測した。FTPサーバを100BASE-TXでルータに接続し、無線LANで接続したクライアントPCにコマンドプロンプトのFTPを用いて、20MバイトのZIPファイルを転送した。クライアントPCは、Pentium M 1.6GHz搭載のThinkPad X41を使用。CG-WLBARGE-P付属のPCカード(ドラフト11n)で接続した場合と、ThinkPad X41内蔵の無線LAN(IEEE802.11g)で接続した場合の速度を比較した。FTPサーバは、CPUがCore Duo L2400(1.66GHz)、メモリが512Mバイト、HDDが80Gバイト(5400rpm)、OSがWindows XP Professional(SP2)といったスペックだ。
以下に示したテスト結果の表は、ファイル転送時間を5回計測した平均値だ。「同じ部屋」はサーバとクライアントとの距離を障害物なしで約3メートルに設定した状態、「別の部屋」はサーバが置かれた部屋から約8メートル離れた部屋でドアが閉められた状態となっている。暗号化はすべてWPA2-PSK(AES)を使用した。
ドラフト11nとIEEE802.11gの無線LAN接続テスト | |||
---|---|---|---|
無線LANクライアント | 無線規格 | 同じ部屋 | 別の部屋 |
製品付属の無線LANカード「CG-WLCB144GE」 | ドラフト11n | 84.76Mbps | 72.22Mbps |
ThinkPad X41内蔵の無線LAN「Intel PRO/Wireless 2915ABG」 | IEEE802.11g | 40.21Mbps | 27.71Mbps |
テスト結果は、IEEE802.11gと比較して飛躍的な速度向上が見られた。また、別の部屋で計測した場合の速度減衰も抑えられており、遠距離での通信安定化の効果も表れている。IEEE802.11gの結果からも分かる通り、今回試したテストはスループットの値が出やすい環境だったが、それでも84.76Mbpsという高速な値が出たのは驚きだ。実際の運用ではこれほど高速な値が得られるケースは珍しいだろうが、XSPAN対応ドラフト11nの実力を十分に示した結果と言える。
なお、他社のドラフト11n対応製品との接続については保証対象外となるが、付属のPCカードを利用せず、ドラフト11n対応の無線LAN機能を搭載した「ThinkPad T60 26237XJ」と接続したところ、ドラフト11nで通信できることが確認できた。
CG-WLBARGE-Pの価格は3万3390円で、既存のIEEE802.11a/g/b対応無線LANルータキットと比べて少々高めだが、導入による高速化と通信の安定化を考慮すると、妥当な価格設定に思える。ただし、無線LANの規格はあくまでドラフト11nに準拠したもので、将来的にIEEE802.11nの正式規格準拠製品が登場した場合、接続できない可能性がある点には注意したい。IEEE802.11nの正式規格に準拠した機器をあとからネットワークに追加することを考えているならば、ドラフト11nの将来性を過信しないほうが無難だ。
とはいえ、IEEE802.11nの規格策定は約1年後かそれ以降になると見られており、それまで待てないという人もいるだろう。光接続などの高速な通信環境で、早急に高速かつ安定した無線LAN機能が欲しいならば、CG-WLBARGE-Pは有力な選択肢に違いない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.