――そのほかに大きく状況が変わった点はありますか?
マイク 「最大のポイントは、セキュリティ上の脅威がHDDを狙う攻撃からオンライン上の通信そのものを狙う攻撃に変化したことだね。目的はPCの破壊なんかじゃなくて、個人情報などだ。インターネットそれ自体がOS化したような現在のPC利用環境では、これらの攻撃にプラットフォームの区別なんてない。つまり、フィッシング詐欺などはMacユーザーだって同じように脅威にさらされているんだ」
――昨年11月に御社からMac向けの「Norton Confidencial」がリリースされましたが、これもいま指摘した状況を受けたものなのでしょうか。
マイク 「その通り。インターネットを利用する人なら、WindowsユーザーであれMacユーザーであれ、自分が意図しない相手にクレジットカード番号のような大事な情報を送信してしまう危険性はあるからね」
――Windows版との機能的な違いはありますか?
マイク 「もちろん。リリースはWindows版が先行しているけど、Macユーザーに必要なセキュリティを、Macユーザーのために提供するんだから、Windows版の“いいとこ取り”をして適当にMacintosh版を出すということはしたくないと考えている。そのためには例えば、インターネットを利用する際のSafariやFirefox、QuickTimeといったアプリケーションレベルで、Mac固有の脆弱性に対応する必要があるんだ。機能面で言えば、Mac版には“ファイルガード”という、ファイルを勝手に変更できないようにロックする機能もある」
――最近のAppleの発表では新規のMacユーザーが増えているということですが、Macintosh向けセキュリティ製品の需要も同様に増えているのでしょうか。
マイク 「具体的な数字をこの場で出すことはできないけど、セキュリティに対する関心がMacユーザーの間でも高まっていることは確かだよ」
――最後に、Macユーザーに対して何かアドバイスをお願いします。
マイク 「最近Macを買った人やこれからMacを買おうと思っている人は、ぜひMac OS Xでの素晴らしい体験を楽しんでほしい。でも、いま自分が何をしようとしているのか――メールに添付されているファイルがどんなもので、いま自分がアクセスしているサイトはどんなところなのか、そういったことには、Windowsのときと同じように疑いの気持ちを持って行動したほうがいいと思う。それは“Macだから安全”と言えることではないんだ。もちろん、最適な対策は、Mac版のNorton Confidencialを導入することだね(笑)」
――ありがとうございました。
いまPCを使うということは、多くの時間をインターネットに費やすということを意味する。オンラインバンキングやネットショッピングを利用する人にとっては、さらにその依存度が高くなるだろう。その一方で、セキュリティ攻撃はインターネット上に罠を張り巡らせ、個人の情報や資産を狙うものへと変化してきた。これらの攻撃に対して、ウイルスに対するアドバンテージを表現した“風邪を引きやすく、防具で身を固めたPC”と“ボクは平気なMac”という図式はあてはまらなくなってきている。Windowsユーザーを揶揄するようなAppleのCMは確かに愉快だけれど、笑ってすませてしまうのではなく、少し真面目に考える必要はありそうだ。
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