“もう1つの円いVAIO”は日本のPCを変える?―デジタルチューナー「DT1」ハイビジョンはLANに流せ!(1/3 ページ)

» 2007年02月06日 17時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

見た目も中身も新しいLAN接続のデジタルTVチューナー

円形ボディが目を引くVGF-DT1。近日発売予定で、実売予想価格は5万円前後だ

 “白くて円いVAIO”ことテレビサイドPC「TP1」とともに登場するのが、デジタルチューナー「DT1」だ。「TP1」と共通の円形デザインを採用した外観は、デジタルTVチューナーにはとても見えない。中身も相当に変わっており、デジタル放送を受信し、LAN接続したPCに配信する外付け型のネットワークデジタルTVチューナーとなっている。

 DT1は、単体販売モデル「VGF-DT1」のほか、TP1とのセットモデル「VGX-TP1DT」が用意されている。今回は、VGF-DT1としての利用を中心に、TP1と組み合わせて使う場合も含めて紹介しよう。なお、今回は試作機を使用したため、製品版とは仕様が異なる可能性がある。

 これまでPC向けのデジタルTVチューナーは、ワンセグ対応製品を除けば、ほぼすべてが内蔵型で一部にUSB外付け型があるのみ、しかも単体発売はされてこなかった。そのため、外付け型かつLAN接続という本機は一体何ができるのか、ということから説明する必要があるだろう。

 簡単に言えば、PC側に付属ソフトをインストールし、本機とLAN接続することでデジタル放送の視聴と録画が可能になり、録画した番組をPCで再生できる、という機能を提供する。つまり、LAN接続の外付け型とすることで、TVアンテナケーブルがリビングにしかない場合でも、本機をリビングに設置してプライベートルームのPCでデジタル放送を視聴・録画・再生することが可能になるわけだ。この設置の自由度が同じ外付け型でもUSB接続とは大きく異なる。

 基本スペックは、地上・BS・110度CSの3波デジタルTVチューナーを内蔵。TV接続用のD端子出力(D3対応)とアナログ音声出力、光デジタル音声出力、シンクロ録画専用のS-Video付きAV出力、通信用に100BASE-TXのLANポート、モデムポートを備える。別途、無線LANアクセスポイントを用意すれば、ワイヤレスで接続したPCからデジタル放送を視聴・録画することが可能だ。デジタル放送特有の放送波で配信される電子番組表(EPG)もサポートしており、ネットワーク機能以外に単体のデジタルTVチューナーとしての機能も一通り備えている。欠落している機能を挙げるなら、D-VHSデッキなどでのデジタル録画に用いるi.LINK端子がないことくらいだ。

※記事初出時にD端子がD4対応と記載しましたが、D3対応の誤りです。お詫びして訂正させていただきます。

外形寸法は270(直径)×51(高さ)ミリ。前面はリモコン受光部を搭載する(写真=左)。背面には各種インタフェースが並ぶ(写真=右)。配線をすっきりまとめられるマグネット式のコネクタカバーも同梱される

 本機はPCとLAN接続しなくても、TVにD端子で直結してデジタル放送を視聴したり、ビデオレコーダーに接続してのアナログ録画が可能だ。ビデオ信号の入力に連動して録画の開始と終了が可能なシンクロ録画対応レコーダーと組み合わせれば、本機の電子番組表から録画予約を行うだけでアナログ録画の予約が行える。TVに接続して使う場合のリモコンも付属しているので、使い勝手としても特に問題はない。

 もちろん、PCの外付けチューナーとして使う場合、LAN接続だけで利用可能だ。PCに付属ソフト「VAIO Digital TV」をインストールすれば、PC上でデジタル放送の視聴とHD画質での録画が可能となり、録画した番組を再生できる。SD画質にダウンコンバートされるが、CPRM対応DVD-RWメディアへDVD-VRフォーマットでムーブすることも可能だ(CPRM対応DVD-Rへのムーブは不可)。基本的には、PCと組み合わせることでデジタルチューナー内蔵HDD/DVDレコーダーとほぼ同等の機能を実現できることになる。

電源は小型のACアダプタを採用する(写真=左)。底面には、D端子接続時の映像出力切り替え用スイッチと機器接続用のENTRYボタンが配置されている(写真=中央)。付属のリモコンは、TVにD端子で接続した場合に利用できる(写真=右/クリックでリモコン全体を表示)

スペックの敷居は高いが、VAIO以外のPCでも利用可能

VGF-DT1に対応可能なスペック
OS Windows Vista/XP
CPU Core 2 Extreme、Core 2 Duo、Core Duo、Core Solo、Pentium D、Pentium 4(HT)、Pentium M(Core SoloとPentium Mは超低電圧版を除く)
メモリ 512Mバイト以上
グラフィックス環境 PCI Express接続、COPP対応グラフィックスドライバ
GPU GeForce 6600以上、GeForce Go 7400以上、Mobility Radeon X600以上、GMA950以上
ディスプレイ HDMI/HDCP対応DVI、外部アナログ接続時はSD画質

 本機はVAIOブランドであることや、その外観からTP1専用のオプションと思われる人も少なくないだろうが、「Extension Line by VAIO」という新カテゴリーの製品という位置付けで、VAIO以外のPCでも利用できる。「ソニー製以外のWindows Vista搭載PCは近日正式にサポート予定」とアナウンスされており、現時点でPCに必要なスペックは右表の通りだ。

 CPUに関してはここ1〜2年の製品であれば動作するが、HD映像を高品位に視聴するには、Core 2 DuoクラスのCPUが必要な点には注意したい。グラフィックスチップはPCI Express接続かつCOPP対応ドライバの導入が前提なので、自作PCの場合はグラフィックス環境もネックになりそうだ。また、HD画質でディスプレイに表示するには、HDMI入力もしくはHDCP対応のDVI入力を備える製品が必須となるので、かなり敷居が高い(HDCP対応のPC用ディスプレイはまだ少ない)。HDMI搭載のグラフィックスカードを搭載したPCなら、TVとHDMIで接続して使うのもよいだろう。

(編集部補足:自作PCはメーカーのサポート対象外になります。また、ノートPCでは対応機種が比較的多いです)

 LAN接続するPCにはハイスペックが求められるものの、理屈上では自作PCでも利用できるという点は、デジタルTVチューナーとしては画期的と言える。本機は、デジタル放送をLAN経由で配信するのに、DTCP-IPによる暗号化を採用しており、特定のハードウェアに依存するような暗号化は行わない。このため、一定の条件を満たせばVAIOではないPCでも利用できるわけだ。それでいて、日本のデジタルTVチューナー製品に求められるデータ保護要件に適合させている。これまでPC向けのデジタルTVチューナーは、データ保護の観点から単体発売は認められず、デジタルTVチューナーを搭載もしくは付属したPCとともに販売されてきたわけだが、本機の登場でこうした状況が少しでも変わっていくことに期待したい。

 それでは、次に視聴・録画ソフトをチェックしよう。

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