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安くてフル装備の複合機はいかが?――「デル オールインワンプリンタ966」お手ごろ価格でFAX付き(1/3 ページ)

» 2007年02月08日 11時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

印刷速度の高速化と豊富なオプションの追加がポイント

デル オールインワンプリンタ966

 「デル オールインワンプリンタ966」は、コストパフォーマンスを重視したビジネス向けのFAX機能付きインクジェット複合機だ。「デル オールインワンプリンタ964」の後継機として昨年11月に発売されたハイエンドモデルで、印刷速度の高速化やオプション類の増強など、各種スペックをブラッシュアップしている。それでいて2万2800円というお手ごろ価格は踏襲しており、SOHOだけでなく家庭用としても導入しやすいのが特徴だ。それでは、新モデルがどのように進化したのかを見ていくことにしよう。

 まずは前モデルとなるデル オールインワンプリンタ964だが、モノクロ24ppm/カラー19ppmの印刷エンジンを搭載し、モノクロ21cpm/カラー10cpmのコピー性能を備えていた。スキャナ部は、センサがCIS方式、解像度が1200×2400dpiだ。また、4 in 1のメモリカードスロットやPictBridgeのサポートによって、各種メモリカードやデジタルカメラからのダイレクト印刷が行えたり、ADFや33.6KbpsモデムによるFAX送受信機能を盛り込むなど、個人でも十分利用可能なオールインワンプリンタに仕上がっていた。

 今回のデル オールインワンプリンタ966で進化したポイントは、印刷速度がモノクロ31ppm/カラー23ppmへ、コピー速度がモノクロ25cpm/カラー20cpmへと高速化され、さらにビジネス向けのオプションが提供されたことだ。これにより、従来機と比べて幅広いユーザーに対応できる製品となっている。

 オプション類は、有線LANと無線LANの機能を追加する有線/無線ネットワークカード(7980円)、両面印刷ユニット(6980円)、150枚の給紙(標準トレイと合わせて最大300枚)が可能な増設用紙トレイ(6980円)が用意されている。低価格な本体に必要な機能をオプションで追加可能にしたことで、個人やSOHOだけでなく、中小規模の企業や企業の部署単位などでも柔軟に運用できるようになったわけだ。

オプションの有線/無線ネットワークカードと両面印刷ユニット(写真=左)。150枚の給紙が可能な増設用紙トレイは、本体の下に重ねてセットする(写真=右)

レーザー複合機より手軽に設置可能なボディ

 本体のカラーはシルバーと光沢感あるパールホワイトを組み合わせており、落ち着いた雰囲気で安っぽさは微塵も感じない。ADFの可動部分の上部にシルバーで大きく「DELL」のロゴが鎮座しており、デルの製品であることをアピールしている。

 本体サイズは458(横)×384(奥行き)×270(高さ)ミリ、重量は約10.1キロ。ADFを搭載したインクジェット複合機としてはコンパクトにまとまっており、当然ながらレーザー複合機と比べて専有面積が少なくてすむ。このサイズと重量であれば、設置場所に困るということはないだろう。

ADFを標準搭載しているため、高さこそ270ミリあるものの、インクジェット複合機としては比較的コンパクトにまとまっている。前面給排紙機構を採用しているが、電源やUSBなどのケーブルが背面に突き出すため、壁面から数センチ離して設置する必要がある。電源はACアダプタを使用するが、ACアダプタは本体内部にすっぽりと収納できるため、じゃまにならない

 PC接続の標準インタフェースはUSB 2.0だが、USBケーブルは付属しておらず、購入時に3メートルのケーブル(1500円)を追加できる。また、オプションの有線/無線ネットワークカードを本体背面に装着することで、100BASE-TXの有線LANもしくはIEEE802.11g/bの無線LANで運用が可能だ。なお、本体と有線/無線ネットワークカードを同時購入した場合、PCとのセットアップ時にネットワークカードを認識し、ネットワーク設定ウィザードを呼び出してくれるため、設定で戸惑うことがないのは好感が持てた。

 インクジェット複合機には珍しいオプションの増設用紙トレイは、レーザープリンタと同様に本体下部に設置する。本体の高さが標準的なレーザー複合機よりも低いため、給紙トレイを増設して机の上に設置しても圧迫感が出たり、作業性が低下することはない。これで合計300枚の大量給紙が可能になるわけだが、価格は6980円と安価なので同時購入をおすすめしたい。

給紙トレイは防塵性に優れたカセット式を採用し、150枚の用紙をセットできる(写真=左)。給紙トレイの上には、封筒やポストカードを1枚ずつ給紙できるスモールサイズフィーダーを備えている(写真=中央)。コンパクトフラッシュTypeII、マイクロドライブ、SDメモリーカード/MMC、メモリースティック、xDピクチャーカードが装着できるメモリカードスロットと、PictBridge対応のUSBポートを備える(写真=右)

有線/無線ネットワークカードを本体背面に装着すれば、100BASE-TXの有線LANやIEEE802.11g/bの無線LANで接続できる(写真=左)。両面印刷ユニットは本体背面から装着する(写真=中央)。増設用の給紙トレイを装着すれば、最大300枚の給紙が可能なほか、2つのトレイに別々の用紙をセットできる(写真=右)

少人数で使うには必要十分なプリンタ機能を装備

インクタンクとプリントヘッドの一体型カートリッジを採用。標準構成はカラーインクとブラックインクを組み合わせた4色印刷だが、オプションのフォトインクによって6色印刷にも対応する

 本機のプリンタ部分はサーマルインクジェット方式を採用する。標準構成は4色印刷(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)だが、写真を出力する場合にはブラックのカートリッジを別売のフォトカートリッジ(ライトシアン、ライトマゼンタ、フォトブラック)と交換することで6色印刷が可能だ。

 カートリッジは各色独立方式ではなく、カラー3色一体型とブラックの2カートリッジ構成だ。また、インクタンクとプリントヘッドが一体化したカートリッジを採用しており、インクタンクのみを交換することはできない。交換用のインクカートリッジは、カラーインクが2630円、ブラックインクが2180円。さらに、大容量カラーインクが3480円、大容量ブラックが2680円となっている。なお、フォトカートリッジは2280円で、大容量カートリッジは用意されていない。

 印刷解像度は最大4800×1200dpiで、インク滴サイズは非公開だが、他社の最新複合機と比べると大きめだ。他社には9600×1200dpi(最少インク滴1ピコリットル)や5760×1440dpi(最少インク滴1.5ピコリットル)といった高解像度かつ極小インク滴のプリントエンジンを搭載する製品があり、それらの持つ高次元なフォトクオリティにはおよばない。

本体に装着できるインクカートリッジは2つ。ブラックとオプションのフォトインクは排他利用になる

 とはいえ、価格が割安なことに加えて、画質を最優先しないビジネスユースを中心に考えると、カラー印刷は必要十分な品質を確保しているし、テキスト印刷の読みやすさも許容範囲内だ。また、標準の4色インクはすべて顔料系インクを採用しているので、印刷時のにじみが少ないうえに耐久性が高い点は注目したい(オプションのフォトカートリッジは染料系インク)。

 ランニングコストは、カラー印刷とモノクロ印刷のどちらも約9円となっている。これは標準インクカートリッジを用いた場合の値だが、モノクロ印刷では標準的なレーザー複合機のおよそ3倍近くコストがかかる計算だ。本機の初期導入にかかるコスト、つまりイニシャルコストは確かに低いものの、ランニングコストには注意する必要がある。ただし、カラー印刷のコストは標準的なA4カラーレーザー機のランニングコストより低いので、カラー印刷の機会が多ければ、印刷コストの差は縮まるだろう。

 このようにプリンタ部は手堅い作りで、突出したスペックはないが、ビジネス向けの複合機にマッチした全色顔料インクの採用と前述した印刷速度の高速化、そして必要に応じて機能を拡充できるオプションの品揃えが特徴と言える。

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