直販なら6万円以下でVista PCが買える!?――NEC「ValueOne MT」生まれ変わったシンプルPC(1/2 ページ)

» 2007年02月23日 16時30分 公開
[南里純一,ITmedia]

 手ごろな価格と、TV機能などの付加機能を持たず、液晶ディスプレイをも省いたシンプルさを売りにしたNECのデスクトップPC「ValueOne」シリーズがフルモデルチェンジを行い、同社の個人向けPC「VALUESTAR」「LaVie」シリーズとともにWindows Vistaモデルに一新した。

 ValueOneシリーズには、拡張性に優れたミドルタワー型の「ValueOne MT」と省スペース性に秀でた直販専用モデルValueOne G タイプST」に分かれるが、今回は店頭向けモデルの最上位機「MT850/7A」の実力を見ていこう。

まさに「生まれ変わった」ValueOne MTシリーズ

フルモデルチェンジを果たしたValueOne MTシリーズ

 従来のValueOne MTシリーズは、インテル製CPUを搭載するアドバンストタイプと、AMD製CPUを搭載するベーシックタイプで構成されていたが、今回からインテル製CPUに一本化し、ラインアップが整理された。

 新モデルの特徴としては、CPUを従来のPentium DからCore 2 Duoに変更してパフォーマンスの向上と低消費電力化(静音性の向上)を図った点と、フォームファクタを従来のmicroATXからmicroBTXに変更して排熱効率を高めた点が挙げられる。採用するOSは全3モデルともWindows Vista Home Basicで、全面的にWindows Vista Home Premiumを搭載したVALUESTARやLaVieシリーズと差別化が図られている。

 フォームファクタの変更に合わせて一新されたケースは、これまでの黒と銀のツートーンという伝統を受け継いでいるが、本機では黒を基調にすることで落ち着いた印象になった。また、アクセントとして配された前面中央の銀色部分に三日月状のスリットを用意し、通電時は奥から青いLEDランプの光が漏れる凝った仕掛けになっているのが目を引く。microBTXフォームファクタだけに、一見するとここから吸気を行うように感じるのだが、大半は右側面部に設けられた半円状のスリットや左側面から吸気する構造になっており、前面パネルのスリットはデザイン的なアクセントを付けるとともに、冷却ファンのノイズを前方に響かせなくしていると言える。

 ケースの内部を見ると、マザーボードとドライブベイがほとんど重なっておらず、かなり余裕のある構造だ。そのため、メモリやグラフィックスカード、ドライブ類の増設は手間なく行えるものの、ケースの奥行きは455ミリと長めで、容積も33.4リットルとやや大柄だ。microATXケースの従来機が420ミリ、同じmicroBTX仕様の日本ヒューレットパッカード「HP Compaq Business Desktop dc5700 SF/CT」の奥行きが342ミリに抑えられていることを考えると、本体の設置場所には気を配る必要がありそうだ。

電源を入れると、前面のスリットから青い光が漏れるギミックを備える(写真=左)。前面のパネルと側面のカバーを外したところ(写真=右)。吸気は前面だけでなく、左右の両側面からも行われる

microBTXフォームファクタに準拠した新デザインのケース。奥行きが455ミリあるので、設置場所には気をつけたい。右側面のカバーはワンタッチで取り外せ、内部スペースにもゆとりがあり増設作業は楽に行える。ただ、HDDを増設する際は長めのSerial ATAケーブルを必要とする

フォームファクタを含め内部システムを一新して性能アップ

評価機にはMSI製のmicroBTXマザーボードを採用していた。チップセットはIntel Q965 Expressで、4基のメモリスロットやSerial ATA端子を備えている。有線LANはギガビット対応だ

 チップセットはビジネス向けのIntel Q965 Expressで、同じくグラフィックス統合型のIntel 945G Expressからベースアップが図られた。Q965のグラフィックスコアは、Clear Video Technology(動画再生支援回路)やHDMI出力をサポートしない廉価版のGMA 3000となるが、Windows Aeroに対応(本機のOSはWindows Aeroを持たないHome Basicだが)しているほか、PCI Express x16をサポートしており、別途グラフィックスカードを装着すれば性能向上が図れるのは心強い。

 搭載するCPUはCore 2 Duo E6300(1.86GHz/2次キャッシュ2Mバイト×2)で、3.4GHz駆動のPentium D 945を備えた前モデルに比べ、動作クロックこそ落ちているがパフォーマンスは大きく向上している。システムバスも800MHzから1066MHzに、メモリバスも533MHzから667MHz(PC2-5300)に高速化しており、システム全体の性能アップが期待できる(試作機での評価のため、ベンチマークテストは行っていない)。

 microBTX仕様のマザーボードは、PCI Express x16×1、PCI Express x1×1、PCI×2と必要十分な拡張スロットを持つ。標準で1Gバイトのメモリ(デュアルチャンネル:512Mバイト×2枚)を搭載しているが、メモリスロットは4本あり(最大4Gバイトまで増設可能)、将来的な機能強化も問題なく行える。

 HDDは容量250GバイトのSerial ATAドライブを2台内蔵し(ともに7200rpm)、RAID 0により500Gバイトの1ドライブ構成に設定されている。HDDを大量に消費するTV機能が標準で省かれていることを考えると、いささかオーバースペックのようにも感じる。ちなみに、3.5インチベイは2基空いており、さらなるHDDの増設も可能だ。光学ドライブはDVD±R DL対応のDVDスーパーマルチドライブを装備するほか、5インチの空きベイも1基確保されており、基本性能に不満はない。なお、前面の3.5インチベイには7メディア対応のメモリカードリーダーを、下部に2基のUSB 2.0対応ポート備え、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などとのデータ連携も容易だ。

1.86GHzで駆動するCore 2 Duo E6300と、CoolerMaster製のCPUクーラーを搭載(写真=左)。メモリは標準でデュアルチャンネル動作の1Gバイト(512×2枚)を装備し、PC2-5300対応のメモリを増設することで最大4Gバイトまでサポートする。PS/2仕様のキーボードとマウスが付属する(写真=右)。マウスは3ボタンのシンプルな光学式だが、キーボードには音楽プレーヤー操作ボタンやワンタッチボタンが並ぶ

 ケース前面にあるCPUクーラーとケース背面にそれぞれ9センチ角の冷却ファンが装着され、前面から背面への空気の流れを作っている。騒音に関しても、発熱の少ないCore 2 Duoを採用したおかげか、システムに高い負荷をかけ続けてもファンの回転数は低く抑えられたままで、ファンの風切り音が気になることはなかった。

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