第4回 最新6モデルの印刷速度を検証する小型フォトプリンタ徹底攻略ガイド(1/2 ページ)

» 2007年02月28日 10時30分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

 今回は、エプソン、キヤノン、日本HPの最新小型フォトプリンタ6モデルを集め、同一環境で印刷速度の検証を行った。取り上げたモデルは以下の通りだ。各モデルの製品概要とインプレッションは第2回、各モデルの機能比較は第3回を参照してほしい。

本特集で検証する小型フォトプリンタ
最新技術と多くの機能を備えた上位モデル
Colorio me E-700 エプソン 3万2000円前後
PIXUS mini 260 キヤノン 2万円前後
HP Photosmart A716 日本HP 2万5000円前後
小型フォトに徹したシンプルな下位モデル
Colorio me E-300 エプソン 1万8000円前後
PIXUS mini 220 キヤノン 1万6000円前後
HP Photosmart A616 日本HP 1万9950円

左から、E-700、mini 260、A716

左から、E-300、mini 220、A616

 単純にインクのノズル数で比較した場合、小型フォトプリンタは複合機やA4ダイレクト/単機能プリンタと比べて半分程度のノズル数しかないため、印刷速度の低下が予想されるが、果たして実際の印刷速度はどのような傾向にあるのかをチェックしてみよう。

 なお、各印刷テストでは、プリンタドライバおよびダイレクト印刷の色調補正に関する項目をすべてデフォルトに設定している。そのほかの計測時の条件については、各項目を参照してほしい。

PCからL判写真を印刷(フチなし/フチあり)

PCのテスト環境
CPU Athlon 64 3200+(2.0GHz)
メモリ DDR2 SDRAM 512Mバイト
HDD Seagate ST3160021A(7200rpm)
OS Windows XP Professional(SP2)

 まずは各プリンタとPCをUSBケーブルで接続し、同一の画像ファイルをAdobe Photoshop Elements 5.0 for Windows経由でL判サイズに印刷した。印刷した画像は、容量約1.8Mバイト/約600万画素のJPEGファイルだ。計測した時間はいずれも給紙の瞬間から排紙の瞬間までで、PC側の処理時間は含めていない。

 印刷メディアはすべてメーカー純正の写真用紙を使用した。エプソンのE-700とE-300は最高品位の「写真用紙クリスピア」と高品位の「写真用紙(光沢)」、キヤノンのmini 260とmini 220は最高品位の「プロフェッショナルフォトペーパー」、日本HPのA716とA616は「アドバンスフォト用紙」および「プレミアムプラスフォト用紙」を用いている。A716とA616は耐水性と速乾性があるアドバンスフォト用紙が推奨メディアだが、プレミアムプラスフォト用紙は色再現域と耐光性に優れるため、参考までにテストした。また、他機種との比較にはならないが、A716とA616は2L判までの用紙サイズに対応しているため、2L判での印刷速度も計測してみた。

 プリンタドライバの画質設定は、最高品質、最高品質の1つ下、最高品質の2つ下という3種類を選んだ。以下の表では、左から、最高品質の2つ下、最高品質の1つ下、最高品質の順に結果を並べている。また、4辺フチなしと4辺フチありの2パターンでも印刷速度を計測した。

PCからL判写真を印刷(フチなし)
用紙 標準 きれい きれい(双方向オフ)
E-700 写真用紙クリスピア 47秒05 1分29秒49 1分30秒00
E-700 写真用紙(光沢) 48秒36 1分30秒60 1分36秒26
E-300 写真用紙クリスピア 56秒86 1分32秒85 1分38秒03
E-300 写真用紙(光沢) 56秒18 1分32秒95 1分37秒50
用紙 標準 きれい 品位1
mini 260 プロフェッショナルフォトペーパー 51秒98 1分8秒1 2分38秒66
mini 220 プロフェッショナルフォトペーパー 1分15秒74 2分11秒44 2分50秒24
用紙 きれい 高画質 最大dpi
A716 アドバンスフォト用紙 52秒85 1分29秒88 1分46秒63
A716 プレミアムプラスフォト用紙 55秒84 1分30秒31 1分47秒90
A616 アドバンスフォト用紙 52秒66 1分29秒12 1分46秒06
A616 プレミアムプラスフォト用紙 55秒98 1分30秒92 1分48秒24

PCからL判写真を印刷(フチあり)
用紙 標準 きれい きれい(双方向オフ)
E-700 写真用紙クリスピア 43秒05 1分22秒90 1分23秒00
E-700 写真用紙(光沢) 43秒24 1分22秒60 1分25秒12
E-300 写真用紙クリスピア 56秒86 1分23秒52 1分26秒06
E-300 写真用紙(光沢) 57秒32 1分23秒94 1分26秒50
用紙 標準 きれい 品位1
mini 260 プロフェッショナルフォトペーパー 44秒60 59秒56 2分13秒00
mini 220 プロフェッショナルフォトペーパー 1分01秒51 2分7秒63 2分20秒46
用紙 きれい 高画質 最大dpi
A716 アドバンスフォト用紙 45秒64 1分17秒24 1分29秒89
A716 プレミアムプラスフォト用紙 49秒56 1分19秒39 1分31秒49
A616 アドバンスフォト用紙 45秒76 1分16秒98 1分30秒02
A616 プレミアムプラスフォト用紙 49秒45 1分20秒03 1分31秒20

PCから2L判写真を印刷(フチなし)
用紙 きれい 高画質 最大dpi
A716 アドバンスフォト用紙 1分21秒56 2分22秒22 2分59秒19
A616 アドバンスフォト用紙 1分21秒66 2分22秒82 2分59秒96

 当初の予想通り、ノズル数が少ない小型フォトプリンタは、複合機やA4ダイレクト/単機能プリンタに比べて、印刷速度がやや控えめだ。標準品質ではE-700が最速だが、品質を1つ上げるとmini 260が首位になり、最高品質ではE-700が再び最速の座を奪取した。mini 260の最高品質設定(品位1)は非常に高精細な出力が可能だが、1つ下の品質(きれい)でも遜色ないクオリティを出せるため、常用するなら「きれい」の設定になるだろう。エプソンの2モデルは、双方向印刷をオフにしても速度の低下は数秒程度で画質も見た目には変わらない。そのため、「きれい」が実質的な最高品質と言える。そう考えると、1分強で高品位なフチなし出力が得られるmini 260は魅力的だ。

 A716とA616は最速の座こそ逃したが、E-700とmini 260に次いで速く、高画質の設定ではE-700とほぼ横並びの速度を確保しているため、不満はない。A716とA616の速度が変わらないのは、プリントエンジンが同一なためだ。また、複合機やA4ダイレクト/単機能プリンタの場合と異なり、プレミアムプラスフォト用紙とアドバンスフォト用紙の速度差がほとんどない点にも注目したい(SPTプリントエンジン搭載の複合機やA4ダイレクト/単機能プリンタでは、アドバンスフォト用紙のほうが明らかに高速になる)。A716やA616では、鮮やかな発色が得られるプレミアムプラスフォト用紙を積極的に使うのもアリだろう。

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