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今度のSateraは“小さな実力派”――キヤノン「Satera MF4150」場所を取らずに1台4役(1/3 ページ)

» 2007年03月14日 14時15分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
1月25日に発売された「Satera MF4150」

 キヤノンのレーザー複合機「Satera MF」シリーズにおいてA4モノクロ対応製品は、高いコストパフォーマンスを誇る「Satera MF3220」(MF3シリーズ)をエントリーモデルとし、その上位は高速かつ高機能をうたう「Satera MF5770/6570」(MF5/MF6シリーズ)まで一気にジャンプアップするラインアップ構成だった。同社は今年1月、MF3シリーズとMF5シリーズの間を埋めるべく、「Satera MF4120/4130/4150」(MF4シリーズ)を追加。A4モノクロレーザー複合機のラインアップ拡充に注力している。

 MF4シリーズはエントリーモデルの高いコストパフォーマンスを継承しつつ、上位モデルに負けないスペック、そしてコンパクトなボディを兼ね備えているのが特徴だ。A4モノクロレーザー複合機の市場でキヤノンが本気でシェアを拡大しようと考える戦略的なモデルである。戦略うんぬんはさておき、高い人気を誇る同社のモノクロレーザー複合機の選択肢が増えたことは、ユーザー側としても素直に喜べるだろう。

 今回はMF4シリーズの最上位モデル「Satera MF4150」を2週間ほどバリバリ使い倒す機会を得たので、その使い勝手を紹介しよう。

MF4シリーズ唯一の4in1モデルはコストパフォーマンス抜群

 MF4150は、今回追加された3モデルの中では最上位に位置しており、プリント、コピー、カラースキャナ、FAXの4つのファンクションに対応した4in1モデルとなる。片面読み取りながらADFを標準装備しているのもポイントだ。下位モデルのMF4130ではFAX機能を省略、MF4120ではFAX機能とADFを省略することで、明確な機能差を設けている。MP4シリーズの最上位モデルとはいえ、実売で5万円を切る低価格を実現しており、FAX機能までを含めた複合機では価格面でも非常に魅力の高い製品になる。

 実売で5万円を切る価格と聞くと、機能や性能を削ることで低価格を実現しているように思えるかもしれない。確かにMF4150と上位モデルとを比較すれば、スペックダウンや機能の省略はあるが、それでも実売価格に対して十分に納得できるか、むしろ安価と思える。この辺りの絶妙な値付けには感心してしまう。

 プリントとコピーの性能は、Satera MF5770の流れを汲む20ppm/cpm(原稿台読み取り時)のエンジンを搭載するため、動作は軽快だ。ADFは片面読み取りで最大約35枚給紙でき、紙送りの速度は20cpmに合わせて毎分20枚となっている。定着方式は、用紙が通過する間だけ瞬時に加熱することで、高速起動と低消費電力を両立するキヤノンおなじみのオンデマンド定着方式を採用。ファーストコピーは9秒と短く、待機時の消費電力は3ワットと小さめだ。なお、プリントとコピーの実測テストは後半で紹介する。

 印刷解像度は600dpi×600dpi(ソフトウェア処理により1200dpi相当×600dpi)となっている。スキャナ部の読み取り方式はCISで、スキャン時の解像度は600dpi×1200dpi(RGB各色8ビット入出力)、コピー時では600dpi×600dpi(256階調)といったスペック。複写方式は間接静電転写方式であり、これらの基本仕様はMF4シリーズで共通である。

設置の容易さはMFシリーズでは随一

 MF3220以降のモノクロA4対応Satera MFシリーズを数多く触らせてもらってきた筆者から見ても、MF4シリーズの小型化には目を見張るものがあった。従来、筆者宅に届けられてきたMFシリーズは巨大な段ボールであり、そこから本体を取り出して設置するのに一苦労といったことも多かった。特に最上位モデルのMF6570は、重量が約22.8キロ(トナー含まず)と重量級であり、成人男性が1人で設置できるギリギリの重さとサイズであった。

 一方のMF4150は筆者宅に到着した時点から様子が違った。まず、箱が圧倒的に小さく、いつものように玄関で場所を取らないため拍子抜けするほどだった。しかも本体サイズは390(幅)×432(奥行き)×455(高さ)ミリ、重量は約13キロで、MF6570と比較すると約10キロも軽い。箱から取り出すのも手軽に行えたし、玄関から作業部屋へと運ぶのも苦にならなかった。

 外観は実にシンプルで立方体に近いボディデザインだが、前後と上部に曲線を取り入れつつ、ホワイトとグレーのツートーンカラーにすることで新機種らしい表情を付けている。設置面積は、数あるモノクロレーザー複合機の中でも最小クラスと言えるだろう(キヤノンは発売時、11〜20ppmクラスのレーザー複合機で横幅が世界最小とうたっている)。小型軽量ながら、4in1のマルチファンクションという非常に欲張りな製品となっているわけだ。

本体は、前面に曲線的なデザインを施す一方、両脇に本や資料を置くことを想定して側面はフラットな形状にしている。前面の下段から給紙して、上段に排紙する構造だ(写真=左)。USB 2.0ポートやモジュラージャック、電源のコネクタは背面に配置されている(写真=中央)。側面には主電源スイッチを用意(写真=右)。給紙時には本体前方にあるの程度スペースが必要となる

両面印刷をサポートするもADFは片面仕様

 MF4150は両面印刷機能を標準搭載しているのもポイントだ。受信したFAXを両面出力したり、ビジネス文書を両面印刷できるので、コスト削減などで有効だろう。しかし、ADFが片面読み取りしかできず、せっかくの両面印刷機能がコピー時には活用できないため、魅力が減ってしまうのは惜しい。低価格を実現するためにADFを片面読み取りにしたのであれば、あと1万5千円程度上乗せしてでも両面読み取り可能なADFを搭載する上位モデルを用意してもらいたかった。

 オフィスに置くことを想定した場合、オプション類が限定されているのも少々気になった。標準の給紙トレイは最大250枚セット可能と余裕があるが、増設トレイなどの給紙オプションが用意されていない(手差しトレイは1枚ごとの手動給紙)。ネットワークカードの内蔵にも対応せず、ネットワーク接続には外付けのプリントサーバを利用する仕様だ。また、標準4Mバイトのメモリは増設に非対応で、トナーも大容量タイプがない(標準トナーは7800円で約2000枚印刷可能、ランニングコストは1枚当たり3.9円)。この辺りの仕様は、低価格帯のA4モノクロレーザー複合機ということで割り切りが必要だろう。

最大250枚セット可能な給紙トレイの上に手差しトレイが用意されている(写真=左)。ADFの給紙容量は約35枚だ。トナーは約2000枚の印刷が可能

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