“メイドさん”の現在と未来5年後の秋葉原を歩く 第2回(2/3 ページ)

» 2007年05月03日 12時00分 公開
[古田雄介,ITmedia]

第1のテーマ:アキバは本当に“メイドのメッカ”なのか?

――以前、街頭でアキバのイメージ調査を行ったところ、「電気街」に次いで「メイド喫茶」という回答が多くありました。「メイドといえばアキバ」というイメージに対して、そのメリットやデメリットを感じますか?

くろすろ〜ど店長(秋葉原) 小さなエリアに何店もメイドショップがあるのはアキバの魅力の1つでしょう。メイド産業における“アキバブランド”はたしかに強いです。ディズニーランドに入場した人が各種アトラクションを楽しみにするように、秋葉原に遊びに来る人は、メイド喫茶やリフレを利用したがる層が多い。

 また、ほかの街はともかく、アキバにメイドさんがいるのは当然のことと認識されているので、たとえばメイドさんが路上でチラシを配っていたり、普通に信号待ちをしていても、誰も違和感を感じていません。

おぎメイド店長(中野) 人材確保の面でいえば、“非アキバ”であるほうが、競合他社が少ないぶん有利ですね。実際、当店のスタッフは東京の西側を生活圏内にしている人がほとんどです。距離的に秋葉原へ通勤するのが厳しいメイドさんたちが集まってくれるわけです。そして長期間在籍する。

 おぎメイドは1年半前に開店しましたが、10人以上のメイドさんが1年以上働いています。メイドさんが長く働く店には、コアなお客さんととスタッフとの間に連帯感が生まれ、独自の魅力が備わるようになります。秋葉原ではライバル店の引き抜きが激しく、スタッフが定着しにくいと聞きますから、こういった魅力やサービスを提供するという面では、アキバは不利かもしれませんね。

おぎメイドゆりさん(中野) 休日には、趣味でアキバのメイドショップを巡ります。いつもはサービスを提供する側なので、受ける側になると楽しいですよ。アキバは各ショップがバラエティに富んでいるのが魅力的ですね。ただ、当店と比べてサービスの質の差は感じません。

おぎメイドに入って1カ月のゆりさんは昼メインで働いている。就職後「スタッフや常連さんが手作りした連帯感をすぐ感じました。閉鎖的な雰囲気ではないので、参加しやすくてうれしかったです」という。店内には、売れっ子メイドさんの写真が飾られていた

ピュア ポップ店長(池袋) アキバと乙女ロードは同じ“オタクの街”といわれますが、メイドさんの市民権でいえば雲泥の差を感じます。池袋ではメイドの格好でチラシを配ると浮きます。乙女ロードに行く層でも、メイドショップに多少の抵抗感があるようですね。その点でアキバは非常に有利ですが、ブームが落ち着くとともに、そのアドバンテージは小さくなっている気がします。後発になることもありますが、いまからアキバに店舗を出すメリットはあまりないでしょう。

ピュア ポップ華音さん(池袋) アキバに特別な感情はありません。もしアキバ支店ができても、池袋に残ると思います。

ピュア ポップの白石華音さん。1〜2畳の狭い個室で、2人きりになって背中をマッサージしてくれる。安心感を持ってもらうため、女性客向けの部屋のほうが、やや広く作ってあるという

 3店舗とも「メイドのメッカ=アキバ」の図式を認めてはいるが、その効力については見解が分かれている。特に非アキバ組は、メイド喫茶が過密しているアキバの現状を不利と捉えている様子だ。ピュア ポップ店長がいうように、メイドブームがピークを越えた現状では、デメリットが目に付くようになっているのかもしれない。アキバの将来を探る前にメイド産業自体の今後を聞いた。

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