“Santa Rosa”の「Intel Turbo Memory」「Intel GMA X3100」を検証するイマドキのイタモノ(2/3 ページ)

» 2007年05月09日 18時30分 公開
[笠原一輝,ITmedia]

Windowsの起動時間を劇的に短縮するIntel Turbo Memory

Intel Turbo Memory ConsoleでNAND型フラッシュメモリの機能を設定する

 Windows VistaではHDDの高速化機能としてランダムアクセスの遅さを隠蔽する(ごまかす)仕組みが導入されている。1つがWindows Ready Boost(以下Ready Boost)でもう1つがWindows Ready Driveだ。

 Ready Boostには、主に2つの機能が実装されている。1つは、いわゆるメモリスワップファイルを高速なUSBメモリなどのフラッシュメモリ上にキャッシュして高速にする仕組みだ。スワップファイルもランダムアクセスでアクセスが行われるため、HDDより高速なフラッシュメモリにキャッシュしておけばメモリスワップが大量に発生してもシステムの性能低下を防ぐことができる。もう1つの機能は、“Windows Prefetch”と呼ばれるOSやアプリケーションの起動データなどをシーケンシャルデータとしてHDDにキャッシュしておき、OSやアプリケーションが起動するときにそこから読み出すことで起動時間の高速化を実現する。余談になるが、Windows Prefecthのためにキャッシュされたデータは「c:\windows\Prefecthフォルダ」に格納されている。試しにこのデータを削除するとOSやアプリケーションの起動が遅くなるのを容易に体感できる。性能評価で試用したノートPCでも、Prefetchが効いている状態と効いていない状態でOSの起動時間が十数秒違っていた。

 これに対してReady Driveは、HDDの内部にNVキャッシュと呼ばれるNAND型のフラッシュメモリを内蔵し、これをHDDのキャッシュとして利用する(これを“ハイブリッドHDD”)。これをうまく利用することで、CPUはHDDの円盤そのものにはアクセスせずNVキャッシュのみにアクセスするという使い方ができる。HDDの円盤の回転を停められるので、消費電力という観点でもメリットがある。

 Intel Turbo Memoryでは、この“Ready Boost”“Ready Drive”両方の機能を実現できる。Intel Turbo Memoryには1Gバイトと512Mバイトの2種類の容量が用意されているが、いずれも半分をReady Boostに、半分をReady Driveに割り当てられている(容量をどちらか一方の機能に割り当てることはできない)。どちらの機能を有効にするか、あるいは両方を有効にするかは付属のツール「Intel Turbo Memory Console」で設定できる。なお、Ready Driveは本来ハイブリッドHDD向けの技術だが、Intel Turbo MemoryのコントローラであるDiamondLakeがその機能をエミュレーションしている。なお、いずれもWindows Vistaの機能であるReady BoostとReady Driveを利用するため、Windows Vistaでのみ利用可能となっている。

 では、それぞれどんな効果があるのか「すべてオフ」「Ready Boostだけオン」「Ready Driveだけオン」「両方オン」それぞれの状態でOSのブート時間を計測してみた。

Windows起動時間をReadyBoost、ReadyDriveそれぞれを有効無効にて比較する

 まず、Ready BoostもReady Driveもオフにした状態では起動時間に60秒以上かかっていた。ちなみに、この時間は、POST(BIOS画面などが表示される起動時のセルフテスト)の時間を含んでいる。POSTには十数秒かかっているので、OSの起動時間としては実質50秒程度だ。何もしていない状態でも5回めの起動以降いきなり10秒程度短縮されている。これはWinodws Prefecthが効いてくるためで、あとは安定して50秒台であった。

 Ready Driveを有効にすると、2回め以降で全無効状態においてPrefecthが有効になったときとほぼ同じ時間で起動するようになった。高速なフラッシュをPrefecthのキャッシュとして使えるため、起動時間が少し短くなっているのがグラフからも分かる。Ready Driveのみを有効にした場合、4回め以降ではWindows Prefecthが有効になるまで30秒台だったのが、Windows Prefecthが有効になったあとは40秒台になってしまった。HDD業界の関係者などからは、現在のWindows VistaにおけるReady Driveの機能はまだ最適化が進んでいないという指摘もあるので、Windows Prefetchとの最適化もまだ十分ではないのかもしれない。

 最も速かったのはReady BoostもReady Driveも有効にした状態だった。この状態では安定してほぼ40秒という起動時間であった。Windows Prefetchも効いていない状態に比べると20秒以上も短縮しており、さらにいえば、40秒のうちPOST時間が十数秒かかっていることを考えると、Intel Turbo Memoryの効果は絶大だと考えていいだろう。

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