ソニーが「アナログとデジタルの融合」をコンセプトに、「Video Audio Integrated Operation」の頭文字を取ったVAIOシリーズを国内に投入してから2007年7月で満10年を迎える(米国では1996年10月に販売開始)。それを記念して発売されるのが、「VAIO“New”type T」だ。
シリーズの型番こそ異なるが、シリンダー型ヒンジを採用したボディは1997年に発売された初代VAIOノート「PCG-505」をほうふつとさせる。11.1インチのワイド液晶ディスプレイやワンセグチューナーの内蔵といったtype Tシリーズの特徴を継承しながらも、性能、デザインの両面において10周年記念モデルの名に恥じないブラッシュアップを施しているのが見どころだ。
新型VAIO type Tは、天板と底面にこれまでのtype T TXよりも1層多い6層構造のカーボン繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastics)を採用することで従来比2倍の強度を実現した。そのぶん、ボディ厚は22.5〜29.8ミリとTXシリーズの21.0〜28.5ミリと比較してやや厚みが増したが、デザインを工夫することでTXシリーズの横に並べたときでさえ「逆に小さくなったかも?」と思わせるほどのすっきりとした印象に仕上がっている。本体の幅よりもヒンジ部分を左右4ミリずつ短くし、ヒンジとボディの間にくびれを設け、さらに側面と前面を斜めに切り込んだ逆台形型の断面がコンパクトに見える秘密だ。ただ、重量は約1.22キロ(店頭モデルVAIO type T VGN-TZ50Bの場合)とTXシリーズよりも50グラム近く軽量化されているにもかかわらず、筆者が実際に手にすると意外なほど重量感があった。
この新type T TZは、店頭向け1モデルと同社直販のVAIOオーナーメードモデル(直販モデル)が用意されるが、デザインに強いこだわりがあるならばVAIOオーナーメードモデルの天板の美しさは一見に値する。店頭販売モデルの光沢感を抑えた「ブラック」もシャープな印象だが、VAIOオーナーメードモデルではブラックに加えて「プレミアムカーボン」「ボルドー」「シャンパンゴールド」の3色が選択できる。
type S SZでも用意されたプレミアムカーボンは、光の加減によってカーボン繊維のヘアライン模様と青みを帯びたラメが浮かび上がるのが華やかだ。また、シャンパンゴールドはパール感がある上品な淡いクリーム色の地にゴールドのラメが散らされていて、太陽光や白熱灯、蛍光灯など光の種類によって異なる色合いが楽しめる。1日100台限定で手作業による塗装が行われているというボルドーは、チョコレートブラウンに近い色味が一見地味に見えるのだが、パール感と呼んでも差し障りがないほど細かい微妙な色合いのラメと、つや消しの落ち着いた風合いが上質な質感を演出している。
天板のみならず、液晶ディスプレイのベゼルとワンセグ用のアンテナも天板と同じカラーになっているほか、通常は黄色のDC入力/赤色のマイク端子も黒の特別版が採用されているなど、デザインの一体感を損なわない配慮が光る。さらに、店頭向け/VAIOオーナーメードモデルを問わず、キーボードと液晶の間に挟み込んで持ち歩けるクリーニングクロスが同梱される。スペックや機能といったPCとしての本来の性能だけでなく「洗練された道具を持つ喜び」を追い求めるタイプのユーザーならば、これらのポイントに大いなる付加価値を見いだすに違いない。
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