ASUS次期主力マザー「Blitz」発見!──COMPUTEX TAIPEI 2007プレビュー(1/2 ページ)

» 2007年05月26日 02時49分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 ASUSは5月25日に、COMPUTEX TAIPEI 2007で展示する製品の事前説明会を東京で行った。展示されていたのはインテルの次期主力チップセット「Intel 3」シリーズから「Intel P35」「Intel G33」を搭載するマザーボード7モデル。このうち、メインストリームからエントリークラスまでをカバーする「P5K」シリーズは、すでに日本以外の地域で出荷されているが、R.O.G.シリーズのIntel P35マザー「Blitz Extreme」「Blitz Formula」は世界で初めてその姿とスペックが明らかにされた。

世界初披露となったR.O.G.シリーズのIntel P35マザー「Blitz Extreme」(画像左)と「Blitz Formula」(画像右)は、“Extreme”がDDR3対応、“Formula”がDDR2対応であるほかは、ほぼ同じスペックと機能を有する。画像で見てサウスブリッジの上、PCI Express X16スロットの間に見えるのが「Cross Linx」だ

 ハイエンドゲームユーザーとオーバークロックユーザーをターゲットにしたR.O.G.シリーズの「Blitz Extreme」「Blitz Formula」はともにIntel P35を搭載、サウスブリッジにはRAID機能を組み込んだICH9Rが実装される。CPUソケットはLGA775に対応し、現行のCore 2 Extreme、同Duoのクアッドコア、デュアルコアだけでなく、2007年後半に登場する予定の45ナノメートルプロセスルールCPUもサポートする。

 どちらも4本のメモリスロットを実装して最大容量8Gバイトまでメモリを載せられる、Blitz ExtremeはDDR3(DDR3-1333/1066/800)に対応しBlitz FormulaはDDR2(DDR2-1066/800/667)に対応するのが両者の大きな相違点となる(なお、DDR3-1333とDDR2-1066はASUSが独自にサポートする仕様)。そのほか、インタフェースコントローラチップとしてBlitz Extremeは「JMB363」を載せてe-SATA 3Gb/sポートをバックパネルに2つ搭載する(JMB363はこのほかにマザーボードに用意されたUltra ATA/133のIDEを1つ制御する。なお、JMB368を実装するBlitz FormulaはUltra ATA/133のIDEのみを用意している)。

 拡張スロットの仕様は両者同じでグラフィックスカード用にPCI Express X16が2つにPCI Express X1が3つ、PCIスロットが2つ用意されている。グラフィックスカード用のスロットが2本あるため、例えばAMD(ATI)のマルチGPU技術“CrossFire”が“Blitz”ファミリーでも利用できる。従来のR.O.G.マザーでIntel P965と採用した「COMMANDO」でもCrossFireをサポートしていたが、この場合、利用できるPCI Expressのレーン数が16本+4本となっていて、デュアルGPUのパフォーマンスがフルに発揮できなかった。その問題を解決するために、“Blitz”ファミリーでは新たなチップ「Cross Linx」を導入した。このチップはノースブリッジのIntel P35と接続してグラフィックスデータを受け取り、グラフィックスカード用のPCI Express X16スロットそれぞれと「8本+8本」で接続する。ASUSによると8%の性能向上が期待されるとしている。

ASUSが説明会で示した「Cross Linx」のメリットを紹介するスライド。本来なら、Intel P35と接続するPCI Express X16とDMIを介してICH9Rと接続するPCI Express X4を利用することになるが、Corss Linxでは、Intel P35からPCI Express X16で送られてくるデータを2本のPCI Express X8でGPUに転送する

 Intel P35、ICH9R、そしてCross Linxなどのチップセットから発生する熱はそれぞれのチップに載せたヒートシンクからヒートパイプで接続されたフィンユニットに誘導される。その形状は同じR.O.G.シリーズのCOMMANDOと同じで、CPUクーラーユニットのファンで強制排気する仕組みになっている。それに加えて、Blitz Extremeでは、ノースブリッジのヒートシンクが水冷用のジャケットを兼ねていて、そこにクーラントチューブの差し込み口が用意されている。ASUSはこれを「Fusion Block システム」と名づけている。マザーボードのチップセットに水冷ユニットを導入する場合、通常は各チップ用のジャケットとそれぞれのジャケットに接続するクーラントチューブの取り回しが煩雑になるため導入が困難であったが、Fusion Block システムでは、各チップの熱がノースブリッジに誘導されるため、水冷用ジャケットとクーラントチューブもノースブリッジに導入するだけで済む。ASUSの検証では定格動作で摂氏15度、オーバークロック動作で摂氏25度の温度低下を確認したとしている。

マザーボードに水冷ユニットを導入しようとすると、ジャケットやクーラントチューブの数が多くなって面倒なことになるが、Fusion Block システムでは各チップセットの熱をヒートパイプでノースブリッジのジャケット1カ所に誘導するため、クーラントチューブの数が減って組み込みが容易になる

 “Blitz”ファミリーではR.O.G.シリーズの重要のコンセプトであるオーバークロック設定にも「ロードライン キャリブレーション」「CPU Level UP」「Voltiminder LED」などの新機能が導入される。ロードライン キャリブレーションでは、負荷が重くなると低下する傾向にあるCPUコア電圧を補正して一定のコア電圧を維持することで性能低下を防ぐ。

 CPU Level UPは、オーバークロック設定を簡便に行える機能で、CPUの種類ごとに各部動作クロックや駆動電圧の設定値をテーブルにプリセットしておき、搭載しているCPUに合わせてプリセットされたモードを呼び出してオーバークロック設定を一気に行う。プリセットされたモードには具体的なCPUのプロセッサナンバがラベルとしてついていて、説明会ではCore 2 Duo E6300を搭載したBlitz FormulaのCPU Level UPの設定モードとして「Auto」「E6400」「E6550」「E6600」「E6700」「Crazy」がリストされる様子が紹介された。なお、これらのモードは必ず動作を保証するものではなく、説明会でもCrazyモード設定で動作が安定しない場面があった。

「CPU Level UP」では、搭載されているCPUに合わせて「プロセッサナンバ」のリストが表示される。例えば、ここで「E6700」を選択すると、動作クロックが2.66GHzで動作できるように、各部動作クロックや駆動電圧などが、プリセットされたテーブルの値に合わせてセットされる

CPU Level UPで用意されている「Crazy」はかなり過激な設定が用意されているようだ。Core 2 Duo E6300でこの設定を選択したところ、動作クロックは3.51GHzに設定された

 Voltiminder LEDでは、マザーボードの各部にかかっている駆動電圧の状況を「緑」「黄」「赤」の3色LEDで表示して駆動電圧設定のリスクをユーザーに視覚的に意識させる。COP EXでは、Intel P35とICH9Rの位置に取り付けられたセンサーで温度を監視して、オーバーヒートする前にシステムをシャットダウンする。システムがシャットダウンする代わりにユーザーが指定したデバイスやGPUをシャットダウンさせるようにカスタマイズ機能もオプションとして用意される予定だ。また、従来のR.O.G.シリーズでバックパネルに設けられていたPOSTコード表示モニターが外付けに変更されたほか、基板に直接配置されていたCMOSクリアボタンがバックパネルに移設されるなど、使い勝手を考慮した改善も施されている。また、高音質を意識して別基板で供給されているサウンド回りもノイズカットシールドを取り付けた「SupremeFX II」が新たに採用された。

従来のR.O.G.マザーでバックパネルにあったPOSTモニターは外付けにして見やすくなった
従来のR.O.G.マザーで基板に設置されていたCMOSクリアボタンはバックパネルに移設して使いやすく改善された
別基板で用意されるHDサウンドモジュールはノイズカットシールドを追加した「SupremeFX II」に進化している

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