Santa Rosaとワイド液晶でVistaがより快適に――富士通「FMV-BIBLO MG70W/V」を試す定番スリムノートが大変身(1/4 ページ)

» 2007年05月29日 16時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

富士通の定番A4スリムノートがフルモデルチェンジ

FMV-BIBLO MG70W/V

 富士通の「FMV-BIBLO MG70W/V」(以下、MG70W/V)は、A4スリムノートPC「FMV-BIBLO MG」シリーズの2007年夏モデルにおいて、最上位に位置する製品だ。富士通ではよりコンパクトな「FMV-BIBLO LOOX」の存在もあり、これまでの「FMV-BIBLO MG」はビジネスユーザー寄りの質実剛健なモバイルノートという色が強かった。

 しかし、夏モデルではWindows Vistaの登場にともなったトレンドでもあるワイド液晶ディスプレイをFMV-BIBLO MGシリーズに初めて導入。プラットフォームを刷新しつつ、よりスリム化、軽量化を果たしながら、標準バッテリーでの動作時間を約6.5時間(2007年春モデルでは約5時間)に延長するなど、従来よりもモバイル性能を高め、個人ユーザーにも目を向けた製品になっている。

 プラットホームは、新たにSanta Rosa世代の「Centrino Duo」を採用した。これについては既報の通りなので詳細は触れないが、チップセットがIntel 945GM ExpressからIntel GM965 Expressに変更となり、CPUはFSB 800MHzのCore 2 Duo T7100(1.8GHz)を搭載している。無線LAN機能についてはIEEE802.11a/g/b準拠で、Santa Rosaに採り入れられたドラフト11nはサポートしていない。

 FSB 667MHzのCore 2 Duo T5500(1.66GHz)を搭載した2007年春モデル「FMV-BIBLO MG55U」と比較した場合、L2キャッシュは2Mバイトのままだが、動作クロックとFSBが高速化したことに加えて、シングルコア動作時に最大クロックを200MHz引き上げる新機能「Intel Dynamic Acceleration」も採用され、CPUパフォーマンスは大幅に向上した。さらに、チップセット内蔵のグラフィックス機能がGMA 950からGMA X3100にグレードアップし、新機能の「Intel Turbo Memory」機能もサポートするなど、処理能力は全般的に強化されている。

 メモリは1Gバイト(PC2-5300/512Mバイト×2)とギリギリのスペックだが、HDDは120Gバイト(5400rpm/Serial ATA)と余裕があり、モバイル用の1.8インチHDDではなく、標準的な2.5インチ9.5ミリ厚HDDを搭載している点に注目したい。光学ドライブは、9.5ミリ厚のDVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブを備えている。

 A4スリムというボディサイズは従来製品から踏襲している。本体サイズは、幅が314ミリ、奥行きが234ミリ、高さが22.4〜31.5ミリだ。2007年春モデルの13.3インチスクエア液晶ディスプレイ搭載機と比べて、ワイド液晶ディスプレイの採用で幅が19ミリ増えたぶん、奥行きが4.5ミリ短くなったが、フットプリントはそれほど変わらない。

 注目すべきはボディの高さと重量の削減で、前面の最薄部が22.4ミリと従来機から8.3ミリも薄くなり、これが携帯性に寄与することはもちろん、キーボードの傾斜もより適切になった。重量については、光学ドライブ装着時でも約1.71キロと約180グラムも軽量化されている(光学ドライブ非装着時は約1.6キロ)。

13.3インチスクエア液晶ディスプレイを搭載した下位モデル「MG50W」の上に重ねて、側面(写真=左)と前面(写真=右)を比較。ワイド液晶ディスプレイの採用により横幅は19ミリ長くなったが、奥行きは4.5ミリ、厚さは最薄部で8.3ミリ、最厚部で1.5ミリ薄くなった

 以上のように、全体的なデザインは継承されているが、プラットホームから筐体まで完全な新設計によるフルモデルチェンジだ。

 なお、今夏から1024×768ドット表示の14.1インチスクエア液晶ディスプレイを搭載機は店頭モデルから姿を消した。ただし、直販のWEB MARTでは14.1インチスクエア液晶ディスプレイを備えた2007年春モデルの最上位機「FMV-BIBLO MG75UN」が継続販売されている。

1Gバイトのフラッシュメモリを内蔵して「Intel Turbo Memory」に対応

 従来モデルと比較した場合のスペック面での大きな進化が「Intel Turbo Memory」への対応だ。1GバイトのNAND型フラッシュメモリを内蔵し、Windows Vistaの「ReadyDrive」「ReadyBoost」に対応する。本機に限らずCentrino DuoプラットホームのノートPCでは採用例が多いが、具体的にどの程度効果があるのかはやはり興味深いところだろう。

Turbo Memory用のNAND型フラッシュメモリはPCカードスロットの下にオンボードで実装されている(写真=左)。Turbo Memoryはユーティリティで「ReadyBoost」「ReadyDrive」を個別にオン/オフすることも可能だ。HDDアクセスの削減はバッテリー動作時間の延長にも繋がるので、基本的に機能を無効にする必要はないだろう

 ここではWindows Vistaの起動時間と、休止状態からの復帰に要する時間を計測してみた。起動に関しては明確な基準付けが難しいのでTurbo Memoryが有効と無効な場合で電源オンからウェルカムセンターの表示まで、休止状態からの復帰はデスクトップの表示までの時間を計測している。なお、休止状態に入る前にはInternet Explorer 7で4つのWebサイトにアクセスし、Word 2007とExcel 2007を利用中の状態としてみた。

Turbo Memoryのテスト結果
起動時間 復帰時間
Trubo Memory無効 1分44秒 35秒
Turbo Memory有効1回目 2分22秒 29秒
Turbo Memory有効2回目 1分26秒 27秒
Turbo Memory有効3回目 1分6秒 31秒
Turbo Memory有効4回目 1分19秒 27秒
Turbo Memory有効5回目 1分9秒 28秒

 結果は右表の通りで、起動に関してはTurbo Memoryを有効にした最初の起動のみ、無効の場合より時間がかかっているが、後は有効のほうが確実に早い。結構バラツキがあるので複数回計測しているが、最短では32秒、比率にして約37%も短時間で起動した。メーカー製PCは起動時に読み込まれるドライバや常駐ソフトなども多いので、最短で1分6秒という起動時間は体感的にかなり早く、Vistaだから起動が遅いという印象はない。

 休止状態からの復帰については、起動時間ほどの効果はなかったものの、やはりTurbo Memory有効時のほうが確実に高速だった。そもそも復帰の場合、HDD上のメモリ退避用ファイルは基本的に連続領域なので、起動時間ほど効果がでないのは当然だろう。それでも最大で約23%は高速に復帰しており、おそらく休止状態の利用頻度が高いモバイル利用では、十分なメリットが得られそうだ。

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