Blu-ray Discの普及を目指す――ソニーの家庭向け新ノートPC「VAIO type F(FZ)」BDドライブ搭載サンタさん(1/3 ページ)

» 2007年06月12日 15時00分 公開
[富永ジュン,ITmedia]

“Santa Rosa”とBlu-ray Discドライブを搭載しながら実売価格25万円前後を実現

Blu-ray Discドライブを搭載した上位機「VAIO type F VGN-FZ70B」

 インテルの新プラットフォーム“Santa Rosa”を搭載したノートPCは、現時点ではビジネス向けが多いが、ソニーが6月12日に発表した新VAIO type FことFZ(VGN-FZ)シリーズは、“Santa Rosa”を採用しながら、「シンプル」「ハイパフォーマンス」「魅力的な価格」をうたう家庭向けノートPCのニューフェイスだ。

 このFZシリーズは、一足先に米国で発表が行われたモデルで、先日国内で開かれたインテルの発表会でも参考出品されていたが、日本の店頭向けには2モデルが展開される。これまでのtype Fと同様、1280×800ドット表示の15.4インチワイド液晶ディスプレイを搭載しながら、一回り以上コンパクトな355.8(幅)×254.4(奥行き)×24.9〜34.5(高さ)ミリというボディ(以前は366×274.5×26〜35.5ミリ)を実現して、“Santa Rosa”の導入とHDMI端子を標準搭載したのが見どころだ。しかもここで取り上げる上位機「VGN-FZ70B」は、Blu-ray Discドライブを内蔵しながら、実売25万円前後と戦略的な価格を打ち出した注目のモデルである。

(編集部追記――記事初出時、HDMI Ver.1.3aとの表記がありましたがソニーから追加のアナウンスがあり、正しくは「本機のHDMI端子はテスト規格としてHDMI Ver.1.3aに準拠していますが、1.3a仕様のx.v.Colorや、DVD-Audioには対応していません。Ver.1.0以上の機能としては、1080p/1080iのみのサポートです」となります)。

 

 NTSC比で90%の色域と色再現性を高めた新クリアブラック液晶(ピュアカラー90)を採用し、色鮮やかな表示を実現しているのも大きなトピックだ。大画面TVやHDVカメラなどデジタルホーム機器のハイビジョン化をうけて、17インチワイド液晶ディスプレイ搭載のフラッグシップノートPC「VAIO type A」のハイビジョン機能を手軽に楽しめる、メインストリーム向けの魅力的な製品に仕上がっていると言えるだろう。もっとも、パームレストには「Full HD 1080」のロゴシールが輝いているものの、本機が搭載する液晶ディスプレイの画面解像度は1280×800ドットまでの対応となる。

 なおFZシリーズの発売予定日は6月23日で、4月に投入されたVAIO type F(FE)シリーズは併売される。

基本スペックは大幅に強化されるもIntel Turbo Memoryは非対応

下位モデルの「VGN-FZ50B」。キーボードとパームレストのカラーリングが異なる

 このVGN-FZ70Bの基本スペックは、Intel PM965 Expressチップセットを核に、CPUは1.8GHz駆動のCore 2 Duo T7100(FSB 800MHz/L2キャッシュ2Mバイト)、メモリはPC2-5300対応の512MバイトSO-DIMMが2枚差しでデュアルチャネル駆動、HDDは容量160Gバイトの5400回転Serial ATAドライブとなっている。メモリスロットは2本のみなのでメモリ容量を増やしたい場合は、初期出荷時に装着ずみのメモリモジュールを外さなければならないが、最大2Gバイトまで増設が可能だ。グラフィックスチップは、グラフィックスメモリの容量がローカル256Mバイト(最大511Mバイト)のNVIDIA GeFoce 8400M GTが採用され、動画や静止画を美しい画質で快適に楽しめる。

 ちなみに、下位機のVGN-FZ50Bは、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、HDD容量が120Gバイト、ローカルグラフィックスメモリが128Mバイト(最大使用量が383Mバイト)となる点と、キーボードおよびパームレスト面のカラーリングがVGN-FZ70Bの黒から白いマット調になっている点を除けば仕様は共通で、実売価格は20万円前後まで下がる。

 両モデルともIntel Turbo Memoryは搭載されず、ドラフト802.11nの対応も店頭モデルでは見送られているのが少々残念なところだ。

上位モデルのVGN-FZ70Bは、右側面にBlu-ray Discドライブを標準で内蔵しているのが特徴だ(写真=左)。一方、HDMI端子は2モデルとも左側面中央部分に搭載する(写真=中央)。2基のメモリスロットとHDDベイは底面にある(写真=右)。約2.5時間の駆動が可能なバッテリーパックS(11.1ボルト 4800mAh)が付属し、別売のバッテリーパックL(11.1ボルト 7800mAh)を装着すると約4時間に延びる。バッテリーパックについては、従来モデルとの互換性はない

Windowsエクスペリエンス インデックスの画面で、左が上位機のVGN-FZ70B、右が下位機のVGN-FZ50Bだ

銀色を中心とした外観は2モデルとも共通だ(写真=左と中央)。ACアダプタはやや大柄で、サイズは63(幅)×140(奥行き)×30.5(高さ)ミリ、重量は約450グラムある(写真=右)

 そのほかの共通機能としては前述のHDMI端子に加え、100BASE-TX/10BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11a/g/b対応の無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR、31万画素のWebカメラ「MOTION EYE」、FeliCaポート、SDメモリーカードとメモリースティックPRO対応のメモリカードスロットが内蔵されている。OSはWindows Vista Home Premiumで、Office Personal 2007がプリインストールずみだ。内蔵のTVチューナーは地上デジタル/地上アナログとも提供されず、別売オプションとしてExpressCardタイプのワンセグチューナー「VGP-DTV10」(直販価格1万6800円)が用意されるだけなので、TV機能を重視する場合は気をつけたい。

TV機能は内蔵されず、VAIOオーナーメードモデルのBTOメニューにはワンセグ放送対応のExpressCard「VGP-DTV10」が用意される(写真=左)。標準で3種類のアンテナが付属するが、FZシリーズに取り付けるとアンテナがややじゃまになる(写真=中央)

 一方、直販モデルのVAIOオーナーメードモデルでは、CPUがCore 2 Duo T7700(2.4GHz)/同T7500(2.2GHz)/同T7300(2.0GHz)/同T7100(1.8GHz)、メモリは2Gバイト/1Gバイト/512Mバイト(Vista Home Basic選択時のみ)、グラフィックスチップはNVIDIA GeForce 8400M GT(ローカルグラフィックスメモリは256Mバイトと128Mバイトから選択)/GMA X3100(Intel GM965 Expressチップセット内蔵)となる。HDDは250G/200Gバイト(4200回転)、160G/120G/80Gバイト(5400回転)から、光学ドライブはBlu-ray Discドライブ/DVDスーパーマルチドライブ/コンボドライブで、無線LANはドラフト11n準拠のほか、IEEE802.11a/g/b、Bluetoothの有無、キーボードの種類(日本語/英語)などを指定できる。OSはWindows Vista Home Premium/Business/Basicの3種類が用意されている。

 ほぼすべての項目で幅広い選択肢が用意されており、店頭モデルよりもさらに基本性能を高めたい場合など目的に合わせて柔軟な構成が可能だ。ただ、VGN-FZ50Bと同じ白のキーボードとパームレストのカラーリングを選んだ場合はBlu-ray Discドライブを搭載できず、グラフィックスチップもIntel GM965 Expressチップセット内蔵のみに限られるので注意したい。なお、Blu-ray Discドライブのスペックは、書き出しが2層BD-REおよびBD-Rが約等速/1層が約2倍速だ(BD-RE Ver.2.1とBD-R Ver.1.1対応)。

それでは、具体的な使用感を次のページで報告していこう。

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