「Radeon HD 2600 XT」を「GeForce 8600 GT」と比較するイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2007年06月28日 20時41分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 5月14日に発表されたATI Radeon HD 2000シリーズのミドルレンジモデルとなるのがATI Radeon HD 2600シリーズだ。80ナノメートルという従来と同じプロセスルールを採用していたハイエンドモデルのRadeon HD 2900 XTと異なり、Radeon HD 2600シリーズと同時に出荷を開始するバリューモデルのRadeon HD 2400シリーズは、Radeonとしては初めてとなる65ナノメートルプロセスルールを採用したことでも注目される。製品発表会やアキバのイベントなどで、AMD(ATI)は「65ナノプロセスルールを採用するATI Radeon HD 2600シリーズと同2400シリーズを搭載したグラフィックスカードの出荷は6月末あたり」といってたが、辛くもその約束は守られたことになる。

 Radeon HD 2000シリーズに導入された新技術やRadeon HD 2600シリーズのスペックについては、こちらの発表記事に記載されている。Radeon HD 2600 XTの動作クロックに限ってみると、コアクロックが800MHzでメモリクロックは1100MHz(DDRのデータ転送レートで2.2Gbps相当)、統合型シェーダユニットの数は120個(5個を“ひとまとまり”とみると24単位相当と見ることもできる)となる。今回、評価用として使うのは、Radeon HD 2600 XTを搭載したグラフィックスカードとしては最も早い段階で日本向け製品をリリースしていたSAPPHIREの「Radeon HD 2600XT 256MB GDDR3 PCIE」であるが、ビデオメモリにGDDR3を採用しているこのグラフィックスカードの動作クロックをCatalyst ControlPanelで調べたところ、3D処理時におけるコアクロックは800MHzと定格であったものの、メモリクロックは700MHz(DDR転送レートで1.4Gbps相当)に抑えられていた。Radeon HD 2600 XTの動作クロックを評価作業で用いたドライバ「Catalyst」は製品パッケージのドライバCDに収録されていた「Catalyst 8.38-070517a-043674C-ATI」を適用している。

 Radeon HD 2900 XTと同じく、Calatystを導入するときに、Radeon HD 2000シリーズでHDMIインタフェースを単体でサポートするためにGPUに組み込まれたサウンドコントローラのドライバなども一緒に導入される。AMD(ATI)は、Radeon HD 2000シリーズからサポートされると説明していたUVD(Unified Video Decoder)について、従来、Radeon HD 2900XTでは「後に登場するCatalystで使えるようになる」としていたのを、先日のリリースで「Radeon HD 2900XTではUVDは使えない」ことを正式に明らかにした。そのため、UVDをサポートする製品はこのRadeon HD 2600シリーズとRadeon HD 2400シリーズがはじめてとなる。コンテンツ再生環境を重視するユーザーはUVDのHDコンテンツにおけるCPU負荷率などに興味を持つと思われるが、この記事では時間の関係で3D性能に絞って評価する。UVDの性能については、後日NVIDIAの“第2世代PureVideo HD”との比較も含めて紹介する予定だ。

 先ほども紹介したように、今回の評価作業ではSAPPHIREの「Radeon HD 2600XT 256MB GDDR3 PCIE」を使っている。こちらの記事で紹介しているように、このカードのクーラーユニットは薄型の空冷タイプを搭載、パッケージにはDVIに取り付けるHDMIインタフェースアダプタも用意されている。8ピン+6ピンという大掛かりな外部12ボルト入力を必要としたRadeon HD 2900 XTと異なり、外部電源入力用のコネクタは持たない。

 ただし、評価作業にはRadeon HD 2900 XTのレビューでも登場した8ピンのPCI Express12ボルトコネクタを有するEnermax(クーラージャイアント)の電源ユニット「INFINITI EIN720AWT」を使用している。現在市場に出ている8ピンPCI Expressコネクタを持つ製品の中で720ワット級(ピーク出力800ワットに対応)で3万円以下というコストパフォーマンスが特徴の電源ユニットだ。また、液晶ディスプレイもデルの30インチワイド「3007WFP-HC」を利用して「1920×1200ドット」の高解像度環境で測定している。

 比較するのはNVIDIAのDirectX 10世代ミドルレンジGPU「GeForce 8600 GT」とその下位バージョン「GeForce 8500 GT」、そして参考値として旧式ミドルレンジ「GeForce 7600 GT」を選んだ。今回は調達機材の関係で従来のATI製GPUのミドルレンジ「Radeon X1650 Pro」とは比較していない。

 なお、Radeon HD 2900 XTの評価のときと同様に、今回も3DMark系ベンチマークが起動しない。出荷される製品に同梱されているCatalystでも同様の現象が発生する可能性があるが、この場合、3DMark系ベンチマークテストの起動パラメータとして「-nosysteminfo」を与えると動作するようになる。今回の評価作業でもこのパラメータを与えて3DMark系の測定を行った。

評価に使ったRadeon HD 2600 XT搭載カード「Radeon HD 2600XT 256MB GDDR3 PCIE」
裏面を見る限りメモリチップはGPUの周囲に4個配置されている

クーラーユニットは1スロット分の薄いタイプが搭載されている。AMD(ATI)の発表であったリファレンスカードからイメージは変わっている
パッケージにはHDMIインタフェースアダプタが標準で付属する

評価作業には8ピンのPCI Express12ボルトコネクタを有するEnarmax(クーラージャイアント)の電源ユニットを使用した
評価用のディスプレイはおなじみのデル「3007WFP-HC」を使っている

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