FSB1333MHzで性能はどうなる?──「Core 2 Extreme QX6850」「Core 2 Duo E6750」を検証するイマドキのイタモノ(2/2 ページ)

» 2007年07月17日 06時00分 公開
[笠原一輝,ITmedia]
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順当な性能向上だが、FSB1333MHzの効果はDDR2で発揮されず

 FSB1333MHzで性能はどのように変わるのか、ベンチマークプログラムを利用して具体的にチェックしていこう。テストに利用したベンチマークプログラムは、筆者がITmediaのベンチマーク記事で通常利用しているもので、過去の記事とまったく同じシステム環境、バージョンを利用している。グラフィックスカードのドライバも同一であるので、過去記事と結果の互換性がある。興味があるユーザーは参考にしていただきたい。

 今回の評価で比較対象としたのは、Core 2 Extremeシリーズの各製品、Core 2 Quad Q6600、Core 2 Duo E6700、Athlon 64 FX-62、Athlon 64 X2 6000+、同5000+、同4800+である。なお、Core 2 Duo E6700に関しては、Intel P35マザーでの結果とIntel 975Xマザーでの結果を併載している。

CPUAthlon 64 FX/X2Core2 Duo/Extreme(1333FSB)Core2 Duo Extreme/Core2 Duo
チップセットnForce 590 SLIIntel P35Intel 975X
マザーボードASUS M2N32 DeluxeDP35DPD975XBX2
メモリDDR2-800DDR2-800DDR2-667
メモリモジュールPC2-6400(5-5-5)PC2-6400(5-5-5)PC2-5300(5-5-5)
容量1Gバイト
GPUNVIDIA GeForce 7900 GT
ビデオメモリ256Mバイト
ビデオドライバNVIDIA ForceWare 90(v91.03)
標準解像度1024×768ドット、32ビットカラー
HDDWesterDigital WD360
フォーマットNTFS
OSWindows XP Professional+ServicePack2+DirectX9.0c

SYSmark2004 SE Office Productivity
SYSmark2004 SE Internet Content Creation

TMPGenc 4 Xpress(MPEG2toMPEG4 AVC 3Mbps)フレームレート
CineBench 2003

3DMark06/3DMark
l_kn_f1333d06scr.jpg,,3DMark06/CPU

DOOM3(timedemo demo1、HighQuarity)
Final Fantasy XI Official Benchmark 3 Version 1.0

 FSB 1333MHzに対応したCore 2 Extreme QX6850がほぼすべてのベンチマークでトップの結果を残している。この製品がリリースされる時点においてCore 2 Extreme QX6850が最強のCPUとなる可能性は高いだろう。気になるのはCore 2 Duo E6750で、その結果はFSB 1066MHz のCore 2 Duo E6700とほとんど変わっていない。加えて言うなら、Core 2 Duo E6750とIntel P35といった最新の組み合わせは、Core 2 Duo E6700とIntel 975Xといった“旧式”システムにも及んでいない。

 この傾向に関して2つのことが指摘できるだろう。1つは、Intel 975XとIntel P35の比較において、今のところIntel 975Xが高い性能を発揮しているということ、もう1つは、今回利用したIntel P35のマザーボードはDDR2-800のみをサポートする「DP35DP」で、1066MHzというより高速な転送レートを実現できるDDR3をサポートしていないという点だ。ただ、DDR2-800のデュアルチャネル構成の帯域幅は12.8Gバイト/秒で、FSB1066MHzでも8.5Gバイト/秒、さらにFSB1333MHzでも10.6Gバイト/秒というFSB側の帯域幅からするとDDR2-800でも十分と考えられるのだが、それでもDDR3にすればもう少しパフォーマンスがアップできるはずだ。

 そうした意味では、DDR3が普及していない「2007年の夏」においてFSB1333MHzによる性能向上のメリットを多くのユーザーが享受できるか疑問を感じずにはいられない。

即効的なのは消費電力の低減

 ベンチマークの結果からクアッドコアのCore 2 Extreme QX6850に関しては従来製品のCore 2 QX6800に比べて動作クロックがアップした以上の性能向上が実現されているといえる。Core 2 Duo E6750に関しても、FSB向上によるメリットはあまり感じられないが、それでも若干向上することは分かった。

 しかし、性能向上より、新しいCPUを導入することで得られる大きなメリットが「消費電力の低減」ではないだろうか。Core 2 Extreme QX6850もCore 2 Duo E6750も従来製品に比べてアイドル時やアプリケーションロード時の消費電力が下がっているなど、新しいステッピングへリビジョンを変更した効果がはっきりと分かる。すでに述べたように、従来製品に比べてCore 2 Extreme QX6850は性能が向上し、Core 2 Duo E6750もほぼ同等の性能を実現しているので、消費電力が下がったということは電力あたりの性能が改善されていることを意味することになる。日本のユーザーは、こうした性能をとくに重視する傾向があるので、この点が評価される可能性は高いだろう(もっとも、従来製品でもGステップが導入されれば同じような効果が期待できる)。

 なお、インテルは9月にはIntel 3シリーズの最高峰であるIntel X38を投入する予定になっている。このチップセットではDDR3-1333を採用するなどIntel P35に比べて機能強化が図られており、それに伴い、FSB1333MHzのメリットをフルに引き出した性能向上も期待できる。高性能を期待したいユーザーであれば、Core 2 Extreme QX6850とIntel X38の組み合わせがもっともふさわしいものになるのではないだろうか。ただし、この組み合わせを購入するコストがいくらになるのか考えたくもないが。

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