「5年後にようやくアキバは変わり始める」――千代田区議会議員が語る秋葉原の未来5年後の秋葉原を歩く 第7回(2/3 ページ)

» 2007年07月18日 12時00分 公開
[古田雄介,ITmedia]

新宿化はしないが、ある意味すでに新宿化している?

中央通りの変化は激しく、常に閉店したショップと建設中のビルが確認できる

 現在の秋葉原は、駅前の再開発エリアに巨大なビルが建つ一方で、既存の電気街には空きテナントが目立っている。特に2007年以降は、中央通りの家電量販店が相次いで閉店した。1月にナカウラ本店(一時閉店扱い)、3月にロケット1号店と5号店が去った。PCパーツショップも、PC-Success本店やワンネスなど、有名ショップが2月に閉店したのは記憶に新しい。

 それでも小林氏は、アキバに対して楽観視しているようにみえた。

――このまま3層構造が続くと、既存の電気街が“シャッター通り”になる可能性もありますか?

小林氏 それはないですね。中央通りの土地はすぐに買い手がつく状態なので、それほど心配はしていません。裏道に入ったエリアも少し前から衰退を危惧する声を聞きますが、大丈夫。もともと店舗用のスペースが少ないところに、PCパーツショップやメイド喫茶などがひしめいている過剰な状況なんです。アキバ以外で、5階や6階の小売店がにぎわっている街は滅多にない。つまり、街の需要は十分に保っているんです。

 アキバが強いのは、サブ的な小売りが充実していることです。メジャー店では拾えないような、マニアックな商品を扱うショップがたくさんある。だから、ヨドバシカメラが来ても、街全体で見れば致命的なダメージを受けなかった。いまでも真空管ラジオを売っているショップがありますが、単にレトロなだけじゃなく、色々と組み合わせて独自性を出していく。そういうしぶとさみたいなものがあります。

――ただ、最近ではアダルト系のDVDショップなどが増え、新宿のように風俗街化することを懸念する声も多く聞かれます。

小林氏 風俗というのは、家賃が安いところにできるんですよ。安い家賃で店を構えて、女の子を安く使って、客から高くとる。だけど、アキバの安い物件はメイド喫茶やサブカルチャーショップで埋まっている。風俗化しにくい土台が出来上がっているんですよ。

 そしてもう1つ。アキバは、コミケで買えなかったものを買う街として成長した側面があります。同人販売が商業化しためずらしい街。その同人系で最も売れているのは、美少女モノです。ロリ系で2次元かもしれませんが、これもある意味風俗と言える。つまり、別の見方をすれば、アキバはすでに“新宿化=風俗街化”しているわけですね。歌舞伎町の別バージョンなんです。

――なるほど。では、“歌舞伎町の別バージョン”が街を席巻する可能性はありますか?

小林氏 サブカル関連は元が同人販売で、バリバリの経営畑出身の人が実権を握った業界じゃないから、あり得ないでしょうね。

小林氏が代表を務めるフリーのタウン誌「あきば通」。表紙は美少女キャラだが、中身は地図や街のコラムなどが充実している。「“教育”したい人に手に取ってもらいたいから、こういう表紙にした」とのこと

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