第3回 LOOX UとSH6をメディアプレーヤーとして活用する真夏のUMPC徹底攻略(2/3 ページ)

» 2007年08月16日 11時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

バッテリーでの動画再生時間は?

 U50WNとSH6WP10Aをポータブルメディアプレイヤーとして活用する場合、パフォーマンスとともに気になるのがバッテリーでの動画再生時間だ。ここでは先のテストで最もCPU使用率が高かったDivXファイルを再生し、標準バッテリーでの再生時間を計測した。

 省電力設定については、U50WNでは「バッテリの最大利用」、SH6WP10Aでは「省電力」をベースにして、スタンバイ状態へ移行したり、液晶ディスプレイがオフにならないように設定した。液晶ディスプレイのバックライトは必要十分という判断から、どちらも半分の明るさにしている。内蔵スピーカーの音量はU50WNのほうが大きめなので、屋内での動画再生に問題がない程度で同じくらいの音量に調整した。バッテリー残量5%でスタンバイ状態に移行するように設定して、スタンバイするまでの時間を計測している。

 動画再生は、内蔵HDDから直接行う場合とIEEE802.11gの無線LAN経由で行う場合の2通りで行った。自宅内であれば、無線LAN経由での再生が自然と判断したからだ。また、バッテリー駆動や無線LAN経由でも動画再生が問題なく行えることは事前に確認している。

標準バッテリーでの動画再生時間

 結果は、2製品で逆の傾向を示しているのが興味深い。U50WNでは無線LAN経由のほうがずっと長く動画再生が可能で、再生時間は126分と2時間を超えた。U50WNは消費電力の低い1.8インチHDDを採用しているが、それでも全体の消費電力に占めるHDDの消費電力の割合が大きいということだろう。

 対してSH6WP10Aは大きな差が出なかったが、内蔵HDDからの再生のほうが動作時間は長かった。インターネット接続時のバッテリー動作時間テストでも無線LAN利用時があまり良好な結果ではなかったので、無線LANに対してのOSやドライバのパワーマネージメントに課題があるのか、OSがWindows VistaゆえにHDDアクセスをともなうバックグランドタスクが影響を与えたのもしれない。

 U50WNでは無線LAN経由時に限定されるが、両製品とも標準バッテリーでの動画再生時間は2時間をほぼクリアしており、バッテリー駆動でのメディアプレイヤーとしての資質は十分と言えそうだ。これ以上の再生時間を望むならば、両製品とも約2倍の動作時間延長が期待できる大容量バッテリーがオプションとして用意されているので、そちらを利用してほしい。

SH6WP10AのBluetoothで音声を再生するとどうなる?

 SH6WP10AはBluetoothを内蔵しており、音声をワイヤレスでステレオ再生することが可能だ。そこで同じ条件のまま、BluetoothのA2DPで音声をワイヤレス再生させ、動画ファイルの再生状況とCPU使用率をチェックしてみた。Bluetoothオーディオデバイスとして利用したのは、ソニーのヘッドセット「DR-BT21G」だ。

 結果はやはり内蔵スピーカーでの音声再生時よりもCPU使用率が上昇し、DivXに加えて、MPEG-2(9Mbps)、WMVの動画ファイルでも瞬間的にCPU使用率が100%に達するようになった。ただし、MPEG-2(9Mbps)やWMVの動画ファイルでは目に見えてコマ落ちしたり、映像と音声の同期がずれることはなかった。

 DivXでは一瞬映像の途切れを感じることがあったので、平均ビットレートが1Mbps程度の動画ファイルを再生してみたが、こちらはまったく問題がなかった。万全とは言わないまでも、ワイヤレス音声での動画再生もこなせると言えそうだ。

Bluetoothヘッドセットを利用し、MPEG-2ファイルを再生した場合のCPU使用率(写真=左)。グラフは左から、4Mbps、9Mbpsだ。同じく、Bluetoothヘッドセットを利用し、DivXとWMVの動画ファイルを再生した場合のCPU使用率(写真=右)。グラフは左から、DivX、WMVだ

SH6WP10Aはワンセグチューナーも搭載

 ポータブルメディアプレーヤーという点では、SH6WP10Aはワンセグチューナーも搭載している。ワンセグを利用するには、液晶ディスプレイ上部に付属のアンテナを装着することが必要だ。ワンセグ用のアンテナは、底面にマグネットを備えた据え置きタイプと、ロッドタイプの2つが同梱されている。室内では据え置きタイプ、屋外ではロッドタイプといった使い分けが可能だが、アンテナは本体に収納できないため、外出時に利用するには少々使い勝手が悪い。アンテナのオン/オフは「FN」キーと「F6」キーの同時押しで切り替えられる(タスクトレイでアンテナの状況が確認できる)。

 ワンセグ放送の視聴と録画は付属ソフトの「DigiBest TV for KOHJINSHA」を利用する。EPG表示や字幕表示に対応するほか、番組の予約録画が可能だ。視聴用のウィンドウは右端をドラッグ&ドロップすることで画面サイズを柔軟に変更でき、手軽にワンセグ放送を視聴するぶんには問題ない。付属アンテナの感度も十分だ。ただし、EPGを利用した予約録画は開始時の動作に時間がかかるせいで、冒頭の数秒間が録画されず、スクリーンセーバーの起動にともない録画が強制終了してしまうトラブルも見られたため、注意してほしい。

ワンセグ用のアンテナは据え置きタイプ(写真=左)とロッドタイプ(写真=中央)を用意。視聴と録画は付属ソフトの「DigiBest TV for KOHJINSHA」で行う(写真=右)

 一方、U50WNはワンセグチューナーやBluetoothといった機能は搭載していない。U50WNでは小型化と軽量化を優先しているほか、ビジネス向けの「FMV-U8240」とほとんどの仕様を共通化している関係で、個人向けPCらしい付加機能は省かれているのだ。今後のモデルではこうした機能の標準搭載に期待したい。

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