本機の大きな特徴であるワンセグ機能は、ピクセラ製のチューナーカードとソフトウェアを採用している。TVチューナーカードはMini PCI Expressカードで供給され、TV番組の視聴/録画ソフトウェアにはピクセラ製の「StationMobile for NEC」を使う。番組の視聴と録画、予約録画に加え、データ放送や電子番組表の表示、字幕の表示などが行える。
左側面奥にあるアンテナ入力端子には、付属のロッドアンテナか同軸アンテナ変換ケーブルを接続する仕組みで、電波状況に応じて対応が可能だ。加えて、ワンセグチューナーを内蔵した携帯電話で録画した番組を、SDメモリーカード経由で本機と携帯電話の間で相互にムーブできるユーティリティ「SD-MobileImpact」も付属するので、外出先で録画したワンセグ放送を捨てずに取っておきたいというニーズにも応えられる。
本機のような据え置き型のモデルに、ワンセグチューナーを内蔵することを疑問に思う向きがいるかもしれないが、気軽に「ながら見」を楽しむという点では、ワンセグとの相性は良好だ。ロッドアンテナは長さが約13センチあるが、角度調整は360度柔軟にできるのでそれほど邪魔にならない。
15.4インチのワイド液晶ディスプレイは、解像度こそ1280×800ドットとクラス標準ながら色彩表現範囲をNTSC比で約72%にまで拡大したスーパーシャインビューEX2液晶の採用によって、鮮やかで明るい表示を実現している。輝度が高く左右の視野角も広めで、DVD-Videoなどの映像コンテンツを快適に鑑賞できる。光沢液晶ゆえ多少の映り込みは避けられないが、低反射処理がうまくなされているのでそれほど気にならない。また本機から、環境の明るさに応じて画面の明るさを見やすいレベルに自動変更する「自動輝度センサー」を標準で搭載したのもトピックだ。
インタフェース類は、使用頻度の高いUSB 2.0の端子を左右側面に1基ずつと背面に2基搭載するほか、メモリカードスロットと無線LANの電源スイッチを前面に、PCカードスロットとExpressCardスロットを左側面の手前側に用意したことで、使い勝手のよいレイアウトに仕上がっている。左側面にあるUSB 2.0端子は、PC本体が起動していなくても携帯音楽プレーヤーなどの充電を行える「パワーオフUSB充電」機能を備えているのも気が利く。右側のパームレストには標準でFeliCaポートが内蔵されており、Edyなどの電子マネーで簡単にネットショッピングの決済を行えるのも便利だ。
付属ソフトウェアは、オフィススイートの「Microsoft Office Personal 2007」を筆頭に、家計簿ソフト、乗り換え案内ソフト、家庭内LANを介してほかのPCやネットワークプレーヤーとの間でメディアファイルのストリーミング送受信を可能にする「DiXiM Media Server Tool」「DiXiM Media Client for Media Center」など、実用タイトルが豊富に付属するので、当面はソフトウェアの追加購入費用を気にせず活用できるのがうれしい。
こちら記事で触れたとおり、基本システムはチップセットがAMD M690V/SB600に変わった点を除けば、従来機を受け継いでいる。今回は試作機ゆえベンチマークテストなどは行えなかったが、PCに長時間負荷をかけても手の触れる部分で発熱は感じられなかった。
ボディデザインの変更に目が行きがちだが、入力環境や液晶ディスプレイの表示品質といった使い勝手に直接関わる部分の完成度は高く、家庭および個人用のノートPCとして不満なく利用できる1台にまとまっている。
前述のとおり、本機の予想実売価格は17万5000円前後とワンセグチューナーを省いてデュアルコアCPUを採用したLL570/KGとほぼ同じ価格となる。基本性能を重視するならLL570/KG、エンターテインメント機能を求めるなら本機と、必要に応じて選び分けてほしい。また、インテリア性も配慮するならば、本体カラーをパウダーホワイトやガーネットレッドなど5色から選べるLL550/KGに注目したい。
もちろん、基本性能を強化したり、より価格を下げたい場合はBTOによるカスタマイズが可能なNEC Directを訪れるとよいだろう。
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