VistaでDHCPサーバからIPアドレスを取得できない場合に対処するサクッとおいしいVistaチップス 22枚め

» 2007年09月14日 16時30分 公開
[織田薫,ITmedia]
今回のチップスが使えるエディションは?
エディション Home Basic Home Premium Business Ultimate
対応状況

 家庭内LANでは、TCP/IPの設定を手動で行わず、ブロードバンドルータのDHCPサーバ機能を利用することが多いだろう。DHCPサーバのDHCPとはDynamic Host Configuration Protocolの略で、インターネットに接続するクライアントPCにIPアドレスなどのネットワーク情報を提供する機能を持つ。

 ブロードバンドルータに搭載されたDHCPサーバ機能を利用すれば、特別なセットアップを行わなくても、クライアントにIPアドレスを自動で振り分け、DHCPクライアントに通知するためのDNSサーバやデフォルトゲートウェイの設定も適切に処理してくれるので非常に便利だ。実際、こうした設定を意識せずに、ブロードバンドルータを使ってインターネットに接続しているユーザーは少なくないだろう。

 しかし、Windows VistaはDHCPクライアントの動作が一部変更されており、DHCPサーバからIPアドレスおよびTCP/IPの構成情報を取得できない場合がある。ネットワーク内でVista搭載のPCだけIPアドレスを取得できない場合は、レジストリの情報を変更してWindows XP(SP2)と同じ動作を行うように設定すると解決できるかもしれない。

 Vistaで変更されたのは、DHCPのBROADCASTフラグだ。Windows XP(SP2)では、BROADCASTフラグが無効だったが、Vistaではデフォルトで有効に変更された。BROADCASTフラグとは、DHCP発見パケットのこと。詳しくは、クライアントがDHCPサーバにブロードキャストでの応答を要求するためのフラグで、IPアドレスを設定されるまでユニキャストのIPデータグラムを受け取れないクライアントであることを意味する。このBROADCASTフラグを正しく理解しないルータやそのほかのデバイスがDHCPサーバとなっている場合、VistaではIPアドレスを取得できない。

 VistaのDHCPクライアントを、Windows XP(SP2)と同様の動作に変更するにはレジストリを変更する必要がある。具体的には、レジストリエディタから「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Tcpip\Parameters\Interfaces\{GUID}」キーにDWORD値「DhcpConnDisableBcastFlagToggle」を作成し、値のデータを「1」に設定すればよい。GUIDの値は長い文字列で構成され、使用するネットワークアダプタによって異なるが、コマンドプロンプトで「getmac.exe /v」と入力して実行すれば確認できる。

「スタートメニュー」のクイック検索に「regedit」と入力し、レジストリエディタを起動する。「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Tcpip\Parameters\Interfaces\{GUID}」キーまでたどって開く。右ペインの何もないところを右クリックし、表示されるメニューから「新規」−「DWORD(32ビット)値」と選択し、名前が「DhcpConnDisableBcastFlagToggle」のDWORD値を作成する。このDWORD値をダブルクリックし、値のデータを「1」に設定すればよい(写真=左)。変更するインタフェースのGUIDは、getmacコマンドで確認できる(写真=右)

注意

レジストリの操作は、Windowsの基幹に関わる設定を変更するため、不具合が発生する可能性があります。設定を変更する場合はバックアップを取ったうえ、自己責任でお願いいたします。編集部はWindowsの設定変更により生じた損害について、一切の責任を負いません。



過去に紹介したVistaチップスと各エディションの対応状況
内容 Home Basic Home Premium Business Ultimate
21枚め:Vistaの「Windows転送ツール」を活用する
20枚め:VistaでHDDのパーティションを結合/分割する
19枚め:Vistaで接続できないNASに対処する
18枚め:VistaのWindows Updateを使いこなす
17枚め:VistaとWindows XP間の文字化けを解消する
16枚め:Internet Explorer 7のタブ機能をカスタマイズする
15枚め:Internet Explorer 7のユーザーインタフェースを改造する
14枚め:Vistaのジャンクションを理解する
13枚め:Vistaでユーザー用フォルダの参照先を変更する
12枚め:Vistaでファイルやプリンタを共有する
11枚め:Vistaの詳細ブートオプションを利用する
10枚め:Vistaの便利な機能を有効に、不要な機能を無効にする
9枚め:VistaにXP用ドライバを手動でインストールする
8枚め:ファイルとレジストリの仮想化を理解する
7枚め:「システムの復元」と「以前のバージョン」で使う領域を変更する
6枚め:WindowsメールにOutlook Expressの環境を取り込む
5枚め:非対応のWindowsヘルプを利用可能にする
4枚め:間違って削除したファイルを復元する
3枚め:「ファイル名を指定して実行」をスタートメニューに加える
2枚め:アプリケーションを管理者として実行する
1枚め:ユーザーアカウント制御を使いこなす

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