初日の基調講演でも説明があったように、45ナノメートルプロセスルール世代のCPUでIntelが目指すのは、PC向けCPUのコンフィギュレーションを充実させる(1〜8と可変するコア、グラフィックスコアのCPU統合など)ほかに、大規模システム向けの処理に特化させたCPU(Larrabee、開発コード名)、小型デバイス向けに特化させたCPU(Silverthorne、開発コード名)など、搭載デバイスの水平展開である。特に、Silverthorneは低消費電力やCPUのシステム化を推進することで、現在の携帯電話や組み込み機器で主流となっているARM系CPUへの対抗を目指す。
Intel ウルトラモビリティ部門シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのアナンド・チャンドラシーカ氏が主張するのは、「モバイル機器の課題はパフォーマンスだけでなく、ソフトウェアの互換性の問題にある」という点だ。Silverhorneによってx86系CPUを組み込みデバイスの世界に展開することで、PC用のソフトウェアやツール、ノウハウなどをそのまま流用できるようになり、それが結果として開発者やユーザーの利益につながる。
「携帯電話などのモバイル機器でインターネット・アプリケーションの利用が広がらないのは、ソフトウェアの互換性に問題がある」というのがIntelの主張だ。ARM互換の道を捨てたIntelにとって、x86系CPUによる組み込み市場への再進出は、プラットフォーム水平展開の大きなチャレンジとなる。
この、SilverthorneをCPUとして組み込んだ小型デバイスのフォームファクタが「Menlow」(開発コード名)だ。通信機能の組み込みに標準で対応しており、インターネット端末としての利用が想定されている。MicrosoftやLinuxとの提携をはじめ、Adobeなどのソフトウェアベンダーからも協力を得るなど、プラットフォームの投入当初からPC世界の強力な資産を引き継いだ小型デバイスが登場することになりそうだ。
Menlowに続いて、低消費電力化とシステム化をさらに進めた「Moorestown」(開発コード名)というプラットフォームが待っている。2008〜2009年ごろに登場するとみられるこのプラットフォームは、「2010年までに(アイドル時の)消費電力低減をさらに10倍進める」というIntelの目標を実現することが期待されている。この世代のコンセプトモデルとしてIDFで紹介されたのが、話題の「あの」携帯電話そっくりのデバイスだ。そう、発売から74日間で100万台を売り上げた“あの”製品のことである。
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