自動補正と高速起動で快適さを追求――キヤノンの複合機/プリンタ07年モデル写真用紙もリニューアル(1/2 ページ)

» 2007年09月26日 11時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

高度なシーン判別が行える「自動写真補正」機能を搭載

 キヤノンが9月26日に発表した複合機/プリンタ「PIXUS」シリーズの新ラインアップは、「キレイ!をもっとカンタンに。」をコンセプトに掲げ、画像の自動補正や使い勝手の強化に注力している。「キレイ」の面では「自動写真補正」機能の追加と純正用紙のリニューアル、「カンタン」の面では「クイックスタート」機能の搭載が特徴だ。

自動写真補正のサンプル(左がオフ/右がオン)

 自動写真補正とはその名の通り、デジタルカメラで撮影した写真データを自動的に補正して印刷する機能のこと。ポートレート、風景、夜景、スナップ写真など、どのような撮影シーンでも手軽に理想的なプリント結果が得られるように、入力した画像に対して、「顔検出」「シーン分類」「シーンに適した補正処理」(色かぶり、露出、顔色、逆光、彩度、特定色強調など)を自動的に行って印刷する。

 既存の自動補正機能と比較した場合、キヤノンが所有する画像データベースから各画像の特徴量(顔情報を含む)を抽出し、それを多次元特徴量空間にプロットして数十万回におよぶ分類学習の処理を行うことで、より高度なシーン分類が可能になったとしている。入力した画像は、特徴量の類似度とEXIF情報を基に分類される仕組みだ。

 この自動写真補正機能は、複合機「MP970」「MP610」「MP520」と小型フォトプリンタ「mini360」のカード/カメラダイレクト印刷、フォトナビシートによる印刷で適用できる。また、全モデルに付属する写真印刷統合ソフト「Easy-PhotoPrint EX」、および複合機に付属する入力統合ソフト「MP Navigator EX」からも利用可能だ(ほかのアプリケーションからの印刷には非対応。

 これにより、Easy-PhotoPrint EXを使えば、複合機のエントリーモデル「MP470」やA4単機能プリンタ「iP4500」「iP3500」でも自動写真補正が使える。ちなみに、今回から各ソフトや電子マニュアルにワンクリックでアクセスできるWindows専用ランチャーソフト「Solution Menu」も追加された。

 画質に関しては、プリンタやディスプレイにおける色再現範囲外のデータ圧縮精度を向上させる「デュアルガマット色変換処理技術」により、コピーとスキャンの色再現性も強化している。

クイックスタート機能で起動時間を短縮、使い勝手も向上

クイックスタート機能
製品名 起動時間
MP970 約6秒
MP610 約4秒
MP520 約4秒
MP470 約6秒
mini360 約5秒

 クイックスタート機能とは、複合機と小型フォトプリンタの起動時間を高速化し、電源投入からキー操作が可能になるまでの時間を短縮したことを示したもの。例えば、従来機「MP600」では電源ボタンを押してから操作可能になるまで約20秒かかっていたが、新モデルの「MP610」では約4秒に短縮されている。

 印刷速度に関しては、従来機「MP800」が搭載していた計4608ノズルの高速ヘッドと、1ピコリットル/2ピコリットル/5ピコリットルのインク滴を打ち分けることでパス数を減らす「3サイズドロップレット」技術、排紙時にもモーターを使って使用ノズル数を増やす「Wエンコーダーシステム」をMP610とiP4500に採用した。いずれもL判フチなし印刷で約18秒を達成している(前モデルのMP600は約24秒、「iP4300」は約32秒)。

 また、スキャン速度についてもCCD/CISセンサーからのデータ読み出し方法の改良により、高速化を実現した。さらにMP970はスキャナ部の光源に白色LEDを採用し、スキャンとコピーのウォームアップ時間を削減している。

Easy-Scroll Wheelは健在。従来機より操作パネル全体のスペースをコンパクトにまとめて、指の動きを少なくしている

 使い勝手の面では、ホイール型ユーザーインタフェース「Easy-Scroll Wheel」のメニュー構造を変更。従来より1段浅い階層に「フチあり/なし印刷」の設定を用意したほか、9画面サムネイル表示の枠をなくして画像を大きく見せるようにした。また、ヘルプ機能のNaviモードでは、最初に表示される画面にコピー/メモリーカード/写真印刷などのカテゴリーを表示することで、検索しやすくした。

 写真に手で書いた文字や図形を合成する「手書きナビ」機能は、シートの書き込みスペースを広くしつつ、下地に合成する写真を薄く印刷することで、書き込みがしやすいように改良された。コピー機能については、原稿台カバーが浮いて黒くスキャンされてしまう部分を原稿サイズに合わせて消去する「枠消しコピー」や、任意の場所を切り出したり隠してコピーする「トリミング/マスキングコピー」も可能になった。

 複合機とA4単機能プリンタのデザインは、従来の「SUPER PHOTO BOX」を継承しつつ、複合機は小型化を実現した。MP970は従来機「MP960」に比べて高さを12ミリ、奥行きを32ミリ削減、MP610は従来機MP600に比べて高さを6ミリ削減している。

左から、MP970、MP610、iP4500の未使用時。いずれもスクエアな形状のSUPER PHOTO BOXデザインを引き続き採用する

 純正のインクジェット用紙も変更された。ミドルレンジの「スーパーフォトペーパー」は「写真用紙・光沢ゴールド」に、エントリーの「光沢紙/エコノミーフォトペーパー」は「写真用紙・光沢」に移行する。ハイエンドの「プロフェッショナルフォトペーパー」は継続だ。このほか、光沢はがきの「写真はがき・光沢」も発売される。

 写真用紙・光沢ゴールドは、キヤノン純正写真用紙では初めて6層構造を採用。スーパーフォトペーパーに比べて、黒とカラーの発色および吸収性を高め、色再現領域を拡大した。用紙サイズは、新たにKGサイズ(102×152ミリ)が導入される。写真用紙・光沢は、紙ベースの用紙で、従来品より自然な発色が得られるという。

左から、写真用紙・光沢ゴールド、写真用紙・光沢、写真はがき・光沢

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