Neroは9月26日、デジタルメディア統合ソフトウェアの最新版「Nero 8」を発表した。11月9日よりダウンロード版の先行販売を行い、11月23日にパッケージ版を発売する。同社直販サイト「Nero オンラインショップ」の価格は、標準版が1万490円、アップグレード版が8392円。
「Nero」シリーズは、ライティングやバックアップ、ビデオ編集、オーサリングをはじめ、デジタルコンテンツを活用するための機能を1つにまとめた統合ソフトウェア。前作の「Nero 7 Premium」は18種類のツールで構成されていたが、今回さらにその数を増やし、20種類以上のソフトを収録している。
同日行われた発表会では、同社テクニカルディビジョン 小林由和氏が登壇し、“操作性”“ハイディフィニション”“オンラインコミュニティ”“セキュリティ”“Windows Vista”という5つのキーワードに沿って、最新バージョンの新機能を説明した。
1つめの“操作性”は、アプリケーションランチャー「Nero StartSmart」の改良だ。具体的には、利用頻度が高い音楽CDの作成などをメニューの左に並べ、ワンクリックで直接実行できるようになった。また画面上部に、リッピングして書き込む/作成と編集/ホームエンタテインメント/バックアップというタスク別の項目を用意し、目的に沿って各アプリケーションを呼び出せるようになっている。このほか、Neroが持つすべてのアプリケーションを一覧表示したり、Nero StartSmart上でRSSニュースの表示なども行える。
続く“ハイディフィニション”と“オンラインコミュニティ”の説明では、ビデオ編集/オーサリングソフト「Nero Vision」によるデモを交えながら新機能が披露された。最新版では、「Nero 7 Premium Plus」と同じくAVCHDの入出力やAVCHD規格のDVD作成、BD-AVのオーサリングと再生に対応するほか、追加プラグインによって、HD DVDビデオのオーサリングと再生、BD-ROMの再生も可能になる(提供開始時期は年内を予定/価格は4000円以下を目標にしているという)。
また、YouTubeやMySpaceから動画をダウンロードして、直接DVD-Videoを作成できるようになったのもトピックだ。一部、認証などの手順はあるものの(アップロード時)、ほぼワンクリックでYouTubeなどの動画を一覧表示し、そのまま編集用素材として利用できる。β版のデモ機では「おすすめの動画」や「人気の動画」などが並ぶだけだったが、製品版ではYouTubeで提供している検索機能とほぼ同等のものを使えるようになるという。なお、YouTubeから素材としてダウンロードした動画(FLV形式)は、「エクスポート」で各対応フォーマットに変換しローカルに保存できる。
このほか“セキュリティ”として、バックアップ/リストア用のブータブルCDを作成する「Nero BackItUp」や、傷ついたディスクなどからデータを復元できる「Nero RescueAgent」、データ自体の保護とともにアクセス制御を実現する「SecureDisc」(同技術は日立LGデータストレージとの共同開発によるもので、利用には対応ドライブが必要。詳細はWWW.SECRDISK.NETを参照)などを紹介。また、“Windows Vista”用のオリジナルガジェットや、メディアファイルのプレビュー機能なども新たに追加されている。
ドイツやフランスをはじめ、ヨーロッパで高いシェアを持つNero製品だが、2004年に日本法人を設立し、2005年末のNero 7 Premiumでようやく直接的なマーケティング活動を開始した国内市場においては「まだまだ発展途上の段階だ」(同社)という。
「日本での成功が目標であり、そのノウハウはヨーロッパ市場でのさらなる成功と中国などの新興市場の獲得に繋がると思う」。同社は今後1年間で4万本の販売をめざす。
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