放っておいてもマルチコアの時代である。コアは多いに越したことはない。ところが、メーカーPCではデュアルコアCPU搭載がすべてのクラスでようやく実現したところだ。“クアッドコア”CPUとなると、依然として自作PCかショップブランドのハイエンドPCというあたりが定番となっていた。
2006年の年末であれば、クアッドコアCPUはたしかに高値の花だった。ところが、2007年夏の価格改定で、最もエントリーのCore 2 Quad Q6600に3万円台という破格な実売価格をつけてきた。これを受けて、ショップブランドPCに低価格をウリにしたクアッドコアCPU搭載モデルが一斉にリリースされた。ということで、「クアッドコアだけどこれなら買える」という、10万円台から購入できるCore 2 Quad Q6600採用モデルをピックアップしてみた。
現在供給されている、インテル製クアッドコアCPUのラインアップは、以下のようになる。
製品名 | 動作クロック | L2キャッシュ容量 | FSB | 実売価格 |
---|---|---|---|---|
Core 2 Extreme QX6850 | 3GHz | 4Mバイト×2 | 1333MHz | 13万円台 |
Core 2 Extreme QX6800 | 2.93GHz | 4Mバイト×2 | 1066MHz | 13万円台 |
Core 2 Quad Q6700 | 2.66GHz | 4Mバイト×2 | 1066MHz | 7万円台 |
Core 2 Quad Q6600 | 2.4GHz | 4Mバイト×2 | 1066MHz | 3万円台半ば |
CPU単体での実売価格では、Core 2 Extremeの2モデルで13万円台、Core 2 Quad Q6700は7万円台、Core 2 Quad Q6600は3万円台半ばとなっている。Core 2 Quad Q6600には「飛びぬけた」値頃感があるものの、まだもっと安いデュアルコアCPUがあるじゃないかというユーザーもいるだろう。
さらに、Core 2 Quad Q6600と同じ動作クロック(2.4GHz)のデュアルコアCPU「Core 2 Duo E6600」(動作クロック:2.4GHz、L2:4Mバイト、FSB:1066MHz)の実売価格は3万円を若干下まわる程度で、その差はほんの数千円だ。単純に、クアッドコア=デュアルコア×2倍のパフォーマンスとはいかないが、このことからも、Core 2 Quad Q6600のコストメリットの高さが分かっていただけるだろう。
今回ピックアップしたなかで、ドスパラの「Prime Magnate QM」と、ソフマップの「SP-AVEQ66032/07H」 (極盛)は、Core 2 Quad Q6600のステッピングに関して「G0」と“わざわざ”明記されている。Core 2 Quad Q6600のステッピングは、「B3」と「G0」とがあり、後発のG0ステッピングはB3ステッピングよりThermal Design Power(TDP)が引き下げられている。これは、G0が低消費電力で発熱も少ないということを示している。CPUクーラーのファン回転数を抑えて静音化できたりオーバークロックのチューニングでより高いクロックで動作が見込めたりと、G0ステッピングを選ぶと何かと重宝することがあるので、そういうところを重視する「違いの分かる」ユーザーとって、ドスパラやソフマップのようにステッピングを明記していることは、購入するPCの選択において重視するといいだろう。
さて、Core 2 Extreme QX6850のFSBは1333MHzだが、そのほかのCore 2 Extreme QX6800や、Core 2 Quad Q6700、同Q6600のFSBは1066MHzだ。この違いがチップセットの選択にも影響してくる。Core 2 Quad Q6600のFSBは1066MHzであるために、FSB 1333MHzに対応しない1世代古いチップセットのIntel P965 Express、または、Intel G965 Expressシリーズでも動作が公式にサポートされている。そのため、今回ピックアップしたCore 2 Quad Q6600搭載モデルにも、最新のIntel P35 ExpressやIntel G33 Express搭載マザーではなく、Intel P965 Express、または、Intel G965 Express搭載マザーを採用している製品もある。
Intel 3シリーズとIntel 965シリーズの違いは、FSB1333MHzをサポートするか否か以外にも、USB 2.0のサポート数、Serial ATAポート数、Parallel ATAのサポート、DDR3メモリの対応などが挙げられる。そのほかにも、グラフィックス統合チップセットでは、組み込まれるグラフィックスコアも異なっている。購入したPCを長期に渡って使うつもりならば、最新の規格に対応するIntel 3シリーズチップセットを選んでおくのが賢明ではないだろうか。
今回ピックアップした製品の約半数がグラフィックス機能を組み込んだ統合型チップセットを採用している。グラフィックスを組み込まないIntel P35 Express、Intel P965 Expressの両チップセットを採用している場合、標準構成で選択されているグラフィックスカードにはGPUにGeForce 8600 GTSを載せている例が多い。
各ショップブランドPCのグラフィックスカードに関するBTOメニューをチェックしてみると、やはり、その主流はミドルレンジのGeForce 8600シリーズになっている。また、それより下のセグメントになる、GeForce 7000シリーズも依然として残っている。なお、この調査をしている8月下旬において、Radeon HD 2600、同2400シリーズを採用しているモデルはそれほど多くなかった。また、ハイエンド向けのGeForce 8800シリーズやRadeon HD 2900XTをオプションに用意しているモデルは若干ながら存在する。
GeForce 8600シリーズが中心となる理由は、3Dゲームにおける性能も考慮しつつ、最近重要になりつつある映像再生支援機能も考慮しているのは十分考えられる。GeForce 8600シリーズなどでは第2世代のPureVideo HDを実装し、Radeon HD 2600シリーズでもAvivo HD(のUVD)が導入されるなど、新世代HD映像コンテンツの再生支援機能を実装している。
標準搭載の電源ユニットは500ワット前後に集中しており、一部400ワット台という製品もあった。500ワットにしろ400ワットにしろ、標準構成(Core 2 Quad Q6600+ミドルレンジGPUの組み合わせ)であれば問題はない。ただし、BTOでGPUをハイエンドクラスに変更した場合は電源ユニットもより大容量へと変更すべきだろう。電源ユニットの変更は、ユニット単体でBTOできる場合と、ケースとセットでBTOする場合があるので、見積もりページの説明をよくチェックするようにしたい。
次のページに掲載した製品リストでは、ショップブランドPCのなかでも、特にCore 2 Quad Q6600を標準で搭載するモデルをピックアップしている。しかし、ショップブランドPCという性質上、別クラスのラインアップにもBTOでCore 2 Quad Q6600を選択できるものがある。例えば、ハイエンド製品のBTOオプションをチェックすると、Core 2 Quad Q6600に強力なグラフィックスカードを組み合わせられたり、拡張性の高いミドルタワーケースにCore 2 Quad Q6600を搭載できたりと、構成を細かく指定できる場合もある。そういう意味で、Core 2 Quad Q6600は購入シミュレーションの幅が広く、購入する前から楽しめてしまうCPUともいえる。
次のページからのスペック表で、Core 2 Quad Q6600を搭載したPCの購入シミュレーションを楽しんでみよう。
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