メインストリーム層をターゲットにした家庭向けデスクトップPCに「スリムな液晶一体型PC」という新たなカテゴリーを生みだした、元祖“ボードPC”ことソニーの「VAIO type L」。2006年4月の登場以来、外観の変更はなかったが、2007年秋冬モデルでは「360度どこから見ても美しいデザイン」をキャッチフレーズに、デザインの大がかりなブラッシュアップが行われている。
今回のレビューは、15.4インチワイド液晶ディスプレイを搭載したタイプの中ではハイエンドに位置するモデル「VAIO type L VGC-LJ50DB/W」に的を絞ったものだが、まずはシリーズ全体に共通する新しいデザインから紹介しよう。
従来モデルは、透明なポリカーボネート製フロントパネルに液晶ディスプレイ一体型の本体を組み合わせることで、まるで何もない空間に本体が浮かんでいるように見える斬新なデザインを打ち出していた。それに対し、新モデルは、透明なフロントパネルと本体の組み合わせはそのままに、フロントパネルの透明度を上げ、フロントパネルの周囲をヘアライン加工が施されたアルミレールで囲み、さらにはフロントパネル内にLEDランプを埋め込むことで、見た目から受ける「浮遊感」や「軽さ」といったイメージをより一層強めている。
単にデザインコンセプトを推し進めただけでなく、細部まで手が込んでいる。スピーカーホールの位置と直径は、Webカメラやリモコン受光部のLEDが点灯した際の光の大きさ、マイクの穴などに合わせて設計されているほか、リアパネルやサイドパネルをフロントパネルと同じカラーリングにしてイメージの統一を図っている。カラーリングの統一は、従来モデルではエバーホワイトのカラーのみで実現していたものだ。また、背面全体を覆う着脱式のリアカバーでケーブル類やネジ穴などを隠すことにより、後ろから見た場合のメカメカしさを排除して、すっきりとした印象を与えることに成功している。
なお、LEDや電源のランプはDVD-Videoや地上デジタル放送の全画面視聴時には自動的に明度が半分ほどになり、視聴中にLEDが明るすぎて気が散るといったことがないように配慮されている。また、本体上部の中央に内蔵されているWebカメラ(MOTION EYE)は30万画素から131万画素にアップグレードされ、ズーム時もクリアな画質でビデオチャットなどを楽しめる。動画撮影は、640×480ドット(VGA)に対応する。
ボディ内部にサブウーファー(最大5ワット)を内蔵して音質を向上させながら、従来モデルより奥行きがわずかに短くなっているのも見逃せないポイントだ。15.4インチワイド液晶搭載モデルは、キーボード収納時の奥行きが最小傾斜角度時で135ミリ、最大傾斜角度時で224ミリと、15.4インチワイド液晶搭載のノートPC「VAIO type F(FZシリーズ)」の奥行き260ミリよりも短い。
ただし、ディスプレイの左右にステレオスピーカー(最大3ワット+3ワット)を内蔵した幅広のベゼルがあり、さらにその外側にクリアパネルがあしらわれているため、ボディの幅は486ミリになる。デザイン性は高いものの、左右の設置スペースは通常のノートPC以上に必要な点に注意しよう。
音質については迫力のサウンドとまではいかないが、サブウーファーを内蔵した効果もあり、確かに従来モデルと比較すると中低音域に厚みがある。外付けの高音質スピーカーを取り付けたり、外部AV機器に接続したりといった手間をかけるほど音質は追求していないが、主にPCで音楽やDVD-Videoを楽しんでいるユーザーにとって、音質の向上はやはりうれしいポイントだろう。
type Lのラインアップは、バッテリーと折りたたみ式キーボードを備えた15.4インチワイド液晶搭載モデルと、ワイヤレスキーボードおよびマウスが付属する19インチワイド液晶搭載モデルに加えて、新たに液晶ディスプレイを大型化した22インチワイド液晶搭載モデルが投入された。
従来からの15.4インチワイドモデルと19インチワイドモデルは、それぞれデザインと特徴が異なるため、type Lにはエントリー向けとメインストリーム向けの2つのシリーズが共存していると見ることができる。秋冬モデルで追加された22インチワイドモデルは、19インチワイドモデルと共通のデザイン、特徴を持つことから、メインストリーム向けの上位シリーズが拡充された形だ。
以後は15.4インチワイドモデルを詳しく見ていこう。
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